注目すべきソーシャルメディアトレンド
~Facebook・Instagram・TikTok・YouTubeは、こう変化する!〜
企業にとってサービスの周知のみならず、顧客とのコミュニケーションツールとして、ソーシャルメディアの活用が重要性を増しています。とくに海外向けに情報発信をする企業にとってソーシャルメディアは無くてはならないツールの1つです。
インターネットでの情報交流サービスの総称である「ソーシャルメディア」。その形態は、SNS・ブログ・投稿サイトなど、実にさまざまです。ソーシャルメディアマーケティングをする際は、各メディアの特性とメディアごとに違うトレンドを意識した展開をしていくことが大切です。とくにソーシャルメディアにおけるトレンドは、Googleの仕様を変更させてしまうほどのインパクトがあり、非常に大きな影響力を持っています。
今回の記事では、Facebook・Instagram・TikTok・YouTubeそれぞれの最新ソーシャルメディアトレンドをご紹介するとともに、今後どのように活用していくべきかを探っています。
目次
Facebookトレンド
世界中で圧倒的多くのユーザーを獲得しているソーシャルメディア「Facebook」。最近では社名を「Meta」へと変更し、現実と仮想世界を繋げる「新しい扉」を開くなど、話題に事欠かないソーシャルメディアの1つでもあります。
Facebookと言えば、日本では一時期に比べて落ち着いてきている印象ではありますが、2023年MAUは30億人、DACも20億人を超えています。現在でもユーザー数は増加傾向にあるFacebookは、海外市場では依然として人気のあるプラットフォームの1つです。世界の企業とって、欠かせないユーザーとのコミュニケーションツールの1つであるFacebookの最新トレンドについて解説します。
▼ Facebookリールは引き続き人気が高い&Metaも注力を明言
動画コンテンツはここ数年ソーシャルメディア全体の人気トレンドであり、その勢いは2023年も衰える気配はありません。動画コンテンツが人気の傾向として顕著なのが、やはり短編動画の席巻です。短編コンテンツは TikTok で世界的に人気が爆発して以来、短編動画の可能性を感じた多くのソーシャルメディアのプラットフォームが動画機能を導入したことで、さらに注目度が高くなりました。
<Meta:Reelsについて>
Facebookリールも同様に再生数は2022年と比較しても2倍以上となり、リールのシャアは約6か月間で2倍となりました。Facebookにおける動画投稿は、静止画像と比べて135%のエンゲージメントが高くなる傾向があります。
Facebook創始者のザッカーバーグ氏の発言からもわかるように、Facebook社のビジネス戦略でも「今後、リールに焦点を当てていく」とみられおり、今後、Facebookを活用している企業はFacebook戦略にリールを追加することをおすすめします。
▼ Facebookストーリーズも人気が継続
友達やフォロワーに写真や動画を24時間だけ共有できる機能、「Facebookストーリーズ」の人気は、2023年後半になっても依然継続するだろうと見られています。
ストーリーズはスマートフォンでも共有しやすいうえ、公開するメンバーが選べるなど、ユーザーのプライバシーに配慮されています。投稿しても「全世界に周知」ではないため、ユーザーに安心感を与えています。ユーザーフレンドリーな投稿手順によって、誰でも簡単に新規投稿がおこなえるため、若者世代にも人気が高まっています。
そんなFacebookストーリーズは、1日あたり10億件以上の投稿があります。今後もFacebookストーリーズのトレンドは続くでしょう。
▼AIによるショッピング広告が大規模に拡張中
Facebookが近年特に注力しているのが、AIの注力です。2023年2月Facebook創始者であるザッカーバーグ氏は、「AIがFacebookの広告ビジネスの基盤であり、さらなる変革が可能となる」と述べており、今後Facebook内部でもAIを駆使した自動化サービスなどが加速していくものと予想されています。2022年、商品プレイリストの作成や商品にタグ付けすることができた「ライブショッピング機能」は終了してしまいましたが、商品の販売を目的とした広告配信に特化した完全自動化されたキャンペーン「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」がスタートしたことで、多くのEC業界から再度注目を集めています。
<Meta:https://www.facebook.com/business/help/1362234537597370>
Advantage+ ショッピングキャンペーンでは、手動のショッピング広告よりキャンペーン作成時に必要な入力事項が少なく、オーディエンスの選択肢もシンプルで、クリエイティブの管理プロセスも合理化されています。更に、機械学習により、Metaのアプリやサービス全体から最も価値の高い顧客を特定してターゲットに設定することが可能となりました。
▼個人向け承認バッチ「Meta Verified」の企業展開はある?!
<Meta_Become Meta Verified>
2023年2月に発表された有料公式承認マークの「Meta Verified」は、Facebook・Instagramを運用する企業やクリエーター向けサブスクリプションバンドルです。現時点ではクリエーター向けのサービスであり、オーストラリアとニュージーランド、米国のみに試験的に導入されており、現時点で以下のサービスが含まれています。
- 承認:承認バッチによって本人であることの証明
- アカウントの保護:アカウントのモニタリングによりなりすましの防止
- 限定機能:FacebookとInstagramのストーリーズとリールで限定ステッカーを獲得
- アカウントの直接サポート:アカウントに関する問題が発生したとき、人的サポートが受けられる
今後、改良を加え企業を含めた全てのユーザーにサービスを提供する意思が示されているため、FacebookやInstagram運用を行う企業の担当者は注目しておく必要があります。
Instagramトレンド
ユーザーの61%以上が34歳未満であるInstagramのユーザー数は2023年13億人を超え、若者に非常に人気の高いソーシャルメディアの1つです。プラットフォームの特徴としては、写真・動画などの視覚的アプローチに重点を置いたプラットフォームであり、Instagramユーザーたちの多くは「最新のトレンド・ブランド・魅力的なコンテンツ・新しいアイデア」を求めてInstagramを利用しています。
▼ 通常の投稿より、「リール」がより多く表示される
最大90秒の縦型動画が投稿できる「Reels/リール」は、Instagramでも多くの人に支持されています。リールはBGMやエフェクトなどを活用して、誰でも簡単に短編動画を作成できることから、サービス開始から非常に人気の高いサービスとなりました。
リールそのものは2020年にローンチされた機能で、とりわけ新しいわけではありませんが、2022年からは通常の画像投稿よりも「リール」を積極的に推奨する仕様に変更されており、2023年になってもその傾向は継続されています。実際に1カ月毎日リールを投稿したインスタグラマーはフォロワー数が33%増加したという結果も出ています。
<Meta_Instagram Reels>
Facebookの段落でもご紹介した通り、今後 Metaとしてもリールに注力していくと明言しており、2023年、Instagramではより多くのリールがおススメされる傾向であると予想されています。海外向けにInstagramを活用する企業は、リール戦略を検討していく必要があるでしょう。
▼ TikTokに投稿した動画をInstagram リールに投稿すると、ランクが下がる
先述したようにFacebook・Instagramは2023年後半さらにリールに注力していくことを表明しています。これは他のソーシャルメディアコンテンツを意識した対策であり、Metaは他社を明らかに意識した対策を強化しています。
Instagramのクリエーターマーケティングマネージャーである、Brooke DeVard Ozaydinliは「Instagram成功のヒント」を投稿しており、そこには小さい文字で、「他のアプリに投稿したコンテンツはInstagramリールには投稿してはならない」の文字が。。。
明らかに再利用されたコンテンツや低品質のコンテンツは優先順位が下がるため、複数のソーシャルメディアを同時に運用している場合などは注意しましょう。
▼ AIが推奨するコンテンツの増加!
2022年、有名インフルエンサーの働きかけにより、一時的にAIによるレコメンデーション機能を低下させていたInstagramでしたが、今後はAIによって推奨されるコンテンツ量を15%~30%に増加させるだろうという投稿をしています。
As we continue to improve our AI, we’re seeing the value it provides. After launching a new AI model for recommendations, we saw a 15% increase in watch time in the Reels video player on Facebook. That means more valuable content for people and more advertising potential.
— Meta Newsroom (@MetaNewsroom) July 28, 2022
▼ コミュニティ参加機能が充実
Instagramは、コミュニティ参加機能が付いているため、顧客とのコミュニティを構築してファンを増やしたいと考えている企業にとって有効な手段です。フォロワーにとって有益な情報を投稿したり、リアルタイムでやり取りしたり、ときにはDMで個別相談を受けるのも良いかもしれません。
コミュニティに参加するユーザーは、主体的な意見を発してくれることが多く、コミュニティ内で自社製品に対する素直な感想などを求めれば、率直な意見を教えてくれる可能性もあります。ユーザーの生の意見を効率良く収集できるため、商品改善に活かすこともできます。そのほかにも、コミュニティ内で自社製品を使ったレシピを公開したり、お得なクーポンを発信したりと限定コミュニティだからこそできる運用が可能です。
マーケティング活動において、ファンの獲得は大切な要素です。Instagramのコミュニティ参加機能を使った交流は、今後も変わらずに続くと予測されています。
▼「ライブ × ショッピング」の人気がさらにUP
注目される機能の1つは、Instagramショッピングです。企業やクリエーターはショッピング機能の拡充によって、プラットフォーム上から直接販売が可能となり、2023年世界中で大きなブームとなりました。
ここ数年Instagramライブからダイレクトに気になる商品を購入できるようになったライブショッピング機能は、利用者が急増しています。ユーザーとその場で対話できより深いつながりを構築することが出来るライブ配信は、EC企業や小売業にとって重要な施策となるでしょう。
2018年から導入された機能ですが、TikTokより2倍以上購入されているため、今後もさらに注目され、よりユーザーに浸透していくと予測されます。
TikTokトレンド
2022年、最も成長したソーシャルメディアであったTikToは、MAUは10億人以上を突破しました。米国の10代の69%がTikTokを使用し、そのうち90%は毎日ログインしているTikTokの今後のトレンドをご紹介します。
▼ エンターテイメント性の高いコンテンツが重視される
「What’s Next 2023 Trend Report」によると、今後のTikTokの流れとしてこれまで以上に”エンターテインメント性”が求められるとされています。
エンターテインメント性とは、多くの人から注目を集めたいがために無理に注意をひくのではなく、魅力的で楽しい動画である必要があります。加えて、TikTok広告の評価にも”面白さ”は反映されます。ここで言う面白さというのは、以下のように定義されています。
“Entertaining ads are defined using a composite score with 7 unique inputs (e.g., excitement, shareability, entertainment, rewatchability, likable, etc.) and classified as either high, medium, or low / エンターテイメント広告は、7 つの固有のインプット (興奮、共有しやすさ、エンターテイメント、再視聴可能性、好感度など) を含む複合スコアを使用して定義され、高、中、低のいずれかに分類されます。”
今後は、単純に商品の良さを説明したり、企業理念を語るだけのコンテンツだけではなく、視聴者にとって「喜びのためのスペースを作る」意識を持つことが重要となってきます。喜びというと難しく考えがちですが、たとえば「ポジティブに過ごす方法」など、気持ちが上がる内容を示します。その動画を見たり、実際にやってみたりすると喜びを感じられるような投稿内容は、共感を生み高い評価を受けるでしょう。
実際に10人中4人のTikTokユーザーは「気分を高揚させることが購買意欲を高める鍵である」と回答しています。ユーザーの多くは娯楽・楽しみを求めてTikTokを利用しています。
▼ ショート動画が学習コンテンツに?!
今後、マイクロラーニングにますます注目が集まると言われており、TikTokが学習するためのプラットフォームになりつつあると言われています。さまざまな情報に溢れ、人々が効率的に知識や技術を習得したいと思うのはごく自然な流れでもあります。
自社の持っているノウハウなどを学習コンテンツとしてショート動画にまとめて提供できれば、マイクロラーニングの波にのれる可能性もあります。マイクロラーニングはビジネスとの親和性が高く、継続性も期待できます。
ショート動画形式の学習コンテンツは、「学習した」という成功体験を得やすいため次から次へと観たくなるコンテンツといえます。このような流れは今後も期待できるでしょう。
▼ 動画広告が急成長する
TikTokの人気が高まるにつれて、このプラットフォームの重要性は必然的に高まっています。e-Marketerの調査では、2023年のTikTokへの広告費は、2024年には今年の倍以上である230億㌦になると予測されています。2年で6倍伸びていると考えると、TikTok動画広告の急成長ぶりが伺えます。
<出典データ:eMarketer>
動画コンテンツが増えることで、変化が起こるのは視聴者として選択肢が増えるばかりではありません。広告を配信する企業サイドから見ると、競争が激化しこれまでと同様のリーチが獲得しにくくなると考えられます。そのためTikTok広告を作成する際は、コンバージョン率の高いコンテンツを戦略的に出していく必要があるでしょう。
YouTubeトレンド
世界中に25億人以上のアクティブユーザーを抱え、世界最大規模の動画配信プラットフォームであるYouTubeは、海外の顧客に対して自社の商品やサービスの認知度を高め、新規顧客を生み出す可能性のある優れたマーケティングツールの1つです。
2023年後半以降のYouTubeトレンドを見ていきましょう。
▼ やっぱり「YouTubeショート」
動画配信プラットフォームとして絶大な存在感を示す「YouTube」。動画時代が到来した現在ですが、ご存知の通り現在ではどのソーシャルメディアも「ショート動画」に注力しています。中〜長尺として知られていたYouTubeも2021年に米国で初導入以来、YouTubeショートの人気が爆発的に高まっており、今後そのトレンドは継続するだろうと予測されています。
最大 60 秒の動画を撮影、共有、公開できる「YouTubeショート」は、ショート動画時代に相応しいメディアとして、1日の平均視聴回数は150億回に達しています。(2022年9月の視聴回数は300億回)
動画を活用した施策を実施している企業にとって、新たにYouTubeショート動画を制作するには時間とコスト(と手間)がかかりますが、それ以上に新規ユーザーの目に留まりやすく、チャンネルの視聴回数を増やす優れた方法です。また、すでに別のソーシャルメディアでショート動画を配信している場合は、同じ動画をYouTubeにも流すことで、これまでとは違うユーザー層を獲得できるようになるかもしれません。
▼ Google検索結果からショート動画への流入が増する?!
Googleはショート動画を、ユーザーにとって有益なプラットフォームであり、優良な検索結果を提供するためには欠かせない存在と判断したようです。スマートフォンからGoogleで検索をおこなうと、検索結果にショート動画が表示されるようになりました。そのなかにYouTubeショート動画も表示されるようになり、ますますYouTubeショートコンテンツの重要性が高まっています。
ショート動画は、検索した内容に準ずるためユーザーのニーズに合った内容がピックアップして表示されます。検索結果により表示されるショート動画画面には、さまざまなプラットフォームから抽出されたサムネイルが表示されるため、普段別のプラットフォームを観ている人や、ショート動画に馴染みの無かった人からの流入も期待できます。
TikTokやInstagramに慣れているZ世代は長尺の動画コンテンツよりも、YouTubeショートを好む傾向にあります。YouTubeショートからYouTubeチャンネルへ誘導させる設計づくりをしていくことで、自然なかたちで新しい視聴者の獲得につながるはずです。
さいごに
ソーシャルメディア戦国時代。新しいソーシャルメディアの台頭するなか、既存プラットフォームも新しい機能を拡充することで、ニーズに合わせたアップデートを行っています。
SNSをマーケティング施策として取り入れる際は、SNSの独自の特徴について深く知り、活用していくことが重要です。海外ユーザーは日本人の想像をはるかに超えるほどSNSを活用しています。つまり、うまく活用することで海外市場の方がSNSマーケティングは大きな効力を発揮しうる可能性を秘めていえるともいえます。SNSを活用した効果的なグローバルマーケティングをご検討でしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。