没入型「ゲーム内広告」とは?
~2024年世界のゲーム市場から活用できる広告の種類やメリット~
最初のビデオゲームが登場してから早50年。ゲームテクノロジーの発展によって、近年のゲーム市場の成長は目を見張るものがあります。
ハードウェアの進化によってスマホやコンピューター、VRヘッドセットなど、よりリアルで没入できるゲーム環境を実現しただけでなく、eスポーツ市場やTwitchなどのゲームに特化したコミュニケーションツールが台頭するなど、超巨大市場へと発達してきました。
今やゲーム内は、ユーザー同志のコミュニケーションの場の一つとして大きな影響を与えるまでに成長しています。
本記事では、ゲーム内広告の概要からビジネスで活用できる広告の種類や特徴まで、世界で急成長を遂げるゲーム内広告の状況を掘り下げていきます!
目次
ゲーム内広告とは?
ゲーム内広告は、ゲームをプレイするプレイヤーに対してゲームの開始前・中・後に表示させる広告のことです。仮想看板、ゲーム内での製品の配置、埋め込み動画広告、ゲーム内にブランド独自の空間を制作するパートナーシッププログラム、ゲーム実況配信に対しての広告配信といった、さまざまな形式でプレイヤーに直接訴求を行うことができます。
ゲーム内広告では広告コンテンツをゲーム空間内に溶け込む形式で訴求することで、プレイヤーの体験を邪魔することなく、ブランドに対してポジティブな印象を残せることから、近年世界中で注目されている広告の一つです。
ゲーム広告の歴史は古く、世界で初めてバナー広告が誕生する16年も前の、1978年にAdventureland(アドベンチャーランド)と呼ばれるテキストベースのゲームに挿入されたゲーム内広告から始まります。テクノロジーが進化した昨今では、ゲーム内広告の市場規模は急速に成長しており、2024年4月時点でその市場規模は1,000億ドルを突破し、2028年には1,690億ドルに到達すると予測されています。
グローバルな視点で見る!2024年、世界のゲーム市場
ゲーム市場の成長は、いくつかの要因がありますが、主にインターネットが世界的に普及したことでゲーム市場は急速にユーザーが拡大しました。2024年1月時点で世界中のアクティブゲーマー(ユーザー)数は約33億人以上と推定されています。
その中でゲーム人口が最も多い地域は、東アジア、南アジア、東南アジア、オセアニアを含めるアジアパシフィック地域で、17億3000万でゲーム人口の約52%を占めています。次に多いのが中東+アフリカ地域で5億5,690万で全体の17%にも上ります。
最も注目すべきは、中東+アフリカ地域のYoYです。前年比+11.3%と他の地域を圧倒するユーザー数の増加を見せています。DataReportalによるとの2023年Q3の地域別インターネットユーザーに対するゲーム人口割合は以下の通りです。(16~64歳)
ゲーム広告を海外マーケティングに活用するメリット
ゲーム内広告には、プレイヤーと広告主の双方にとっていくつかのメリットがあり、大きな可能性を秘めています。
幅広いユーザーにリーチが可能!
現在、ゲームプレイヤーは世界中に30億人ほど。ゲーム業界は世界中で最も成長しているエンターテイメント業界の一つであり、非常に多くのプレイヤーがゲームを楽しんでいます。プレイヤーには地域・年齢層・文化的背景といった、さまざまなプレイヤーが存在しています。また、ベビーブーマー世代からアルファ世代まであらゆる世代を結びつけるコミュニケーションツールとして機能しています。ブランド・企業がプレイヤーと交流できる理想的なプラットフォームです。
プレイヤーの平均滞留時間が他のプラットフォーム(デスクトップ ディスプレイ、モバイル ディスプレイ、Facebook モバイル インフィードなど)よりも、13%も長いことも特徴で、幅広いユーザーにアプローチができる優れたプラットフォームといえるでしょう。
ブランド認知を高める
ゲーム環境に溶け込ませる形で視認性の高い領域に広告を配信できるため、プレイヤーのユーザー体験を阻害することなく、自然な形でブランドとポジティブな繋がりを生み出します。また、ゲームというインタラクティブな環境によって、プレイヤーの記憶に残る”体験”を提供することができ、ブランド認知度や想起率を高めることに役立ちます。
加えて、ゲーム広告はGoogle広告やSNS広告といった既に多くの企業が参入している広告と比べて、まだまだ競争率が低い広告チャネルです。そのため競合他社との差別化にも役立つでしょう。
高いエンゲージメントとインタラクティブ性
ミニゲーム、クイズ、アンケートなどインタラクティブな要素を組み込むことで、プレイヤーを対話に引き込み、魅力的な体験を提供できるのもゲーム広告の大きなメリットの一つです。
正確なデータを活用できる
ゲーム内広告では、表示回数やクリック率などさまざまな指標を測定可能なため、キャンペーンの成果を把握し、データに基づいた意思決定を行うことが可能です。
影響力のあるユーザーにリーチできる!
ゲーム市場ではプレイヤー同志の活発なコミュニケーションが特徴の一つです。
Anzuの調査によると、プレイヤーの51%が他人にアドバイスを行い、47%が他のプレイヤーに影響を与えていることがわかりました。また、購買力が高いことも特徴で、消費者調査会社Magidの調査によると、週に10時間以上プレイするプレイヤーは、ゲームをしない人と比べて約2倍ほど消費を行う傾向があることがわかっています。
ゲーム内広告の種類
ゲーム広告の種類は、配信するデバイスやゲームによって異なりますが、スタティック(静的)広告・ダイナミック(動的)広告の2つに大きく分類されます。ここでは一般的に人気のゲーム広告の種類をいくつかご紹介します。
静的広告
静的な広告は、ゲーム内に実装される非インタラクティブな広告です。例えば、仮想看板やポスター、バナー広告、プロダクトプレイスメントなどで、静止画やロゴなどを活用して制作されます。このような広告は、スポーツ系、レース系などで人気の高い広告です。
ダイナミック広告
ダイナミック広告はリアルタイムで更新することが可能な広告です。あらゆる形状やサイズでゲーム内に配置され、プレイヤーがゲームを進めることで広告が変化するなど拡張性・柔軟性の高い広告です。一般的にCPMベースで課金されるため、企業のマーケティングキャンペーンに最適です。
また、広告の種類が多様に用意されていることもダイナミック広告が人気の理由です。
インタースティシャル広告
インタースティシャル広告は、ゲームが中断された時、休憩中などの自然な一時停止中に画面全体をカバーするように表示されるインタラクティブな広告です。
ネイティブ広告
通常のバナー広告と似ていますが、ゲームのストーリー環境に溶け込ませる形で表示させるため、コンテンツの一部として認識される広告です。
動画広告
ゲームのコンテンツに溶け込ませる形で表示させる動画形式の広告です。ゲーム内に登場する仮想テレビ画面で動画を流したり、ロード画面にゲーム内CMとして配信したりします。ユーザーが動画を視聴するとゲーム内で活用できるアイテムなどが提供されるリワード広告なども人気が高い広告の一つです。
ゲーム型広告(Advergames/Advergaming)
企業やブランド、製品などを宣伝するために独自にゲーム空間を制作する広告形式です。ブランドや企業は、ゲーム全体を通してブランドストーリーを伝えることができ、没入型エクスペリエンスを提供する最善の方法の一つです。受動的な広告とは異なり、プレイヤーの積極的な参加が必要となりますが、プレイヤーも通常無料でゲームに参加できて、ゲームを楽しみながらブランドや企業・製品に対してポジティブな感情を持つことができる戦略的なアプローチです。
近年では、VR (仮想現実) と AR (拡張現実) といった最先端のテクノロジーを活用することで、インタラクティブでより深い没入型エクスペリエンスを提供することができるようになっています。
<Magnum Pleasure Hunt>
海外で人気のアイスクリーム「マグナム」は、さまざまなブランドとコラボして、プレイヤーがチョコレートを探す宝探しゲームを作成しました。SNSで共有可能なこのゲームは瞬く間に拡散され、たった7か月で600万以上のユーザーが訪れたそうです。
<LEGO×Fortnite >
さいごに
ゲーム市場の拡大やVR/ARなどのテクノロジーの進化によって、ゲーム広告はより魅力的なブランドエクスペリエンスを提供できる重要なマーケティングツールへと進化しています。マーケティング戦略としてゲーム広告を取り入れるかどうかは、「マーケティング目標・ターゲットユーザー・予算」などを慎重に検討しましょう。
熱心な世界中のプレイヤーと繋がることができるゲーム広告に興味がございましたら、お気軽にご相談ください!
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。