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2024年07月18日

2024年 中国検索エンジンTOP5
~独自に発達する中国検索市場を解説!~

2024年中国で人気の検索エンジンランキング KV

世界ではGoogleが検索エンジン市場を独占している一方、中国のデジタル事情は大きく異なります。

中国では「グレートファイアーウォール」という中国独自のネット検閲システムによって、厳しい情報規制が敷かれており、中国国内から海外のネットワークに安易に接続することは出来なくなっています。そのため、中国では私たちが日常的に利用している Google や Yahoo! といったグローバルで利用されている検索エンジンは利用することは出来ません。代わりに、中国独自の検索エンジンや ソーシャルメディア、動画プラットフォームなど、私たち日本人が知らない中国独自のデジタル市場が形成されています。

世界の巨大市場である中国市場で大きな成功を勝ち取るためには、中国国民の情報の核となる中国検索エンジン事情を熟知したうえで、最適なタッチポイントを構築することが非常に重要となります。

そこで今回の記事は、今後、中国人に向けたプロモーションをご検討されている方に向けて、国内唯一5年連続Baidu 優秀代理店に選出されたこともある弊社が、中国向けデジタル戦略を考える際に必須になるであろう、中国の主要検索エンジン事情を詳しくご紹介していきます。

 

目次

 

2024年 中国検索エンジンシェア

以下のグラフは、2024年5月時点の中国における検索エンジンのシェアです。

このデータからわかるように検索エンジン市場で最も高いシェアを獲得しているのは「Baidu」ですが、中国では使用するデバイス(モバイル・デスクトップ・タブレットなど)によって、この割合は大きく異なります。

2024 Search engine share China 2024

以下は、別の検索エンジンの割合を見ていきましょう。

 

「デスクトップ」で使用される中国検索エンジン

以下は、2024年5月時点のデスクトップで使用される検索エンジンのシェアです。

注目すべきはやはり「Bing」の大躍進です。検索エンジンのシェアは毎月乱高下するものの、ここ十年ほどのトレンドとして Baiduが40~60%を占めていました。しかし、2021年後半ごろからBingの躍進が目に見える形で進行し、2023年にはトレンドが反転。2024年5月には Bing が47% 以上、Baidu が25% 程度になるという下剋上が起こりました。

desktop Search engine share China May 2024

Bingの人気が高まった理由は、アルゴリズムの改善やインターフェースの改善、中国企業との戦略的提携などいくつかの要因が挙げられており、Bingは中国市場での足場固めに成功したと言われています。2023年初旬にBing AI「Copilot」(中国では使用不可)が発表されるなど、何かと話題を欠かないMicrosoft。今後も目が離せません。

 

「モバイル」で使用される中国検索エンジン

以下は、2024年5月時点のモバイルで使用される検索エンジンのシェア率です。

Mobile Search engine share China May 2024

デスクトップで使用される検索エンジンとは異なり、モバイルでは Baiduが圧倒的に利用されています。このようなデータからわかるように広告配信の媒体選定などにおいて、ターゲットがBtoBなのかBtoCなのかによって検索エンジンを活用した検索広告戦略は異なってくるでしょう。

次に中国で利用されているデバイスの割合も把握しておきましょう。

 

中国で利用されているデバイスシェア

以下は、2024年5月時点の中国で使用されているデバイスの割合です。

Desktop vs mobile vs tablet market share china 2024 05

他の外国諸国と同様に、中国でも利用されているデバイスの割合は大きな差が生じています。こちらは長年乱高下することなく、モバイルが大きなシェアを占めています。

では、次項では中国で利用されている検索エンジンをご紹介します。

 

【2024】中国で利用されている人気の検索エンジン

中国で人気の検索エンジンランキング TOP5 KV (1)

人口が14億人を超える中国のインターネットユーザーは10億人に達し、そのうち8割近いユーザーが検索エンジンを使用しています。これは8億4,130万人に相当します。中国のインターネットユーザーは圧倒的にデジタル空間にアクセスしやすく、99.6%のインターネットユーザーは商品の購入時に、何等かのウェブ検索を行っていると言われています。モバイル検索や音声検索、AIやインターネット技術は中国が最先端と言っても過言ではありません。

言語はもちろんですが、文化、規制など異なるデジタル文化が発達する中国のオンライン市場を攻略するには、中国の検索エンジンを理解することが重要となります。この段落では、2024年中国で利用されている人気の検索エンジンをご紹介します。

 

dot Baidu(百度)


「Baidu(百度)」は、2000年に設立された中国最大の検索エンジンであり、長年人気の高い検索エンジンです。中国語の言語処理に関しては、GoogleのBERTを上回り、世界の最先端と位置づけられています。

Baiduは検索エンジンサービスだけでなく、金融テクノロジー人工知能(AI)、自動運転など、さまざまな分野に注力しているグローバル企業です。Baiduの月間ユーザーは6億7,000万人に達しており、一日平均で百億回以上も検索されるなど、中国検索エンジン市場では不動の人気を築いています。

企業やブランドはBaiduの検索広告やコンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティングなど、Baiduをさまざまな方法で効果的に活用することで、企業認知を高めたり、自社製品やサービスを宣伝することができるため、中国マーケティングにおいて有効なマーケティングツールです。

Baiduを活用するために知っておくべきこと

Baiduの検索結果は Googleと似ており、検索したキーワードに関連する情報を幅広く提供しています。検索したキーワードに関連するであろうページが大量に表示されるため、そこから徐々にテーマやキーワードを絞り、最終的に自分が最も求めるサイトにたどり着くという使い方が一般的です。

さらに、Baiduは「情報を提供する」だけでなく、実際の「サービスに繋ぐ」ことに重点を置いています。具体的には、例えば「バスの予約を取りたい」場合、Google検索では「バス会社のウェブサイト」を表示させますが、Baiduでは、サービスの獲得にたどり着くことができるように「購入・決済ページ」をダイレクトに表示する仕組みになっています。Baidu<でのオーガニック検索を獲得するためには、これらを考慮したうえで、Baiduに最適なウェブサイトの作成とSEO対策が重要になってきます。

また、BaiduのSEO対策も独自の知識が必要です。Baiduは中国語の簡体字を使用するサイトのみをインデックスするため、中国語のウェブサイトがないと情報を表示することはできません。さらに、画像AIが採用されているため、画像のAltテキスト・メタデータが重要であったり、JavaScriptがうまく機能しないため、HTMLである必要があるなど、Google SEOとは異なる独自の対応が必要となります。さらに、中国語のサーバーでホストされているウェブサイトが最優先されるため、プロバイダーライセンスを取得する必要があるなど、Baiduを最適に活用するためには知識・戦略が非常に重要となってきます。

 

dot Bing

Google や Yahoo! へのアクセス制限があるなか、中国で利用できる数少ないアメリカ発の検索エンジンが、Microsoft が提供する検索エンジン「Bing」です。

Microsoftは中国で20年以上事業を展開している数少ないグローバル企業です。しかし、その事業運営も順風満帆とは言い難く、2019年は中国でのBingの利用が一時停止されたり、2021年にはMicrosoftが運営するLinkedInがアプリ閉鎖に追い込まれ、2022年には自動提案機能の推奨アルゴリズム機能が停止されるなど紆余曲折を経て現在に至っています。

とは言え、「デスクトップ」で使用される中国検索エンジンでもご紹介したように、デスクトップにおいては2021年後半からBingの躍進が目に見える形で進行し、2023年にはトレンドが反転。現在ではWindows OSは80%以上の市場シェアを獲得しています。

 

dot Sogou(搜狗搜索)

Sogouは、短期間で中国上位の検索エンジンの仲間入りを果たした、興味深い歴史を持つ検索エンジンです。

Sogouは2021年 Tencentの完全子会社となり、Tencentが提供しているアプリ「WeChat・QQ Browser・QQ Messenger」のデフォルトの検索エンジンになっています。そのため、WeChatの記事がSogouにインデックスされる構造になっています。最新のニュースや情報が Wechat上で発信されることが多い中国では、WeChatアプリ内検索に統合されているSogouを活用することで、WeChatユーザーにもアプローチすることが可能です。

Sogouの検索エンジンアルゴリズムは、コンテンツのオリジナリティに高い価値を置いています。また、Baiduと同じように、中国語の簡体字を使用しているウェブサイト、中国サーバーを利用しているウェブサイトを最優先にします。

 

dot Shenma 神马)

Shenmaは中国の電子商取引大手「アリババ」とモバイルブラウザ「UC優視」が連携して、2014年にサービスを開始した、比較的新しい検索エンジンです。創業当時から、今後はパソコンでの検索よりも「モバイル検索」が主となることを見越し、モバイル検索のみでサービスを提供しているという点は、他の検索エンジンとは異なる大きな特徴の一つです。

GoogleとBaiduの特徴をうまく取り入れながらも、中国における最新のインターネット事情や中国国民の生活習慣などを考慮した設計で、新しいタイプの検索エンジンとして注目を集めています。

検索エンジンとアプリストアを組み合わせたような仕組みを構築し、商品ページへの直接リンクなどを含めることができるようになっているため、急成長する電子取引市場と連携した広告配信が可能であるなど、BaiduやBingとは一線を画した戦略をとっています。タオバオやTmallに掲載されている商品を優先的に表示される仕組みであるため、効果的に活用するためにはShenma独自のモバイルSEO対策が重要になることはいうまでもありません。

今後、中国国民のモバイル端末利用がより一般化するにつれ、Shenmaがさらに大きなシェアを獲得するだろうと予想されています。

 

dot 360 Search(旧 Haosou)

360 Searchは2012年にサービスが開始された中国の検索エンジンです。360 Searchはもともと中国国内で絶大なる人気を誇るアンチウイルスソフトを提供するQihoo 360という企業であったため、情報セキュリティに関しては他の検索エンジンよりも優れているといわれています。そのため情報リテラシー・情報セキュリティに敏感な特定のユーザーから根強い人気を誇っています。

中国ユーザーからの 360 Search へのイメージは、「安全・頼りになる・プロフェッショナル」などが真っ先に挙げられ、「個人で気軽に利用できるBaidu」と「企業等でも安心して利用できる360」といった使い分けがなされています。

サイバーセキュリティ重視の傾向はアルゴリズムにも反映されているようで、権威・信頼性の高いサイトが上位表示される傾向があると言われています。また、360 Search は競合が少ないため、他の媒体と比較しても有料広告のクリック単価が低くなる傾向にあるのもポイントの一つです。360 Searchで広告配信を行う場合、中国市場の検索トレンドを把握するために役立つ無料の市場トレンドツール「360 Index」も提供しています。

 

さいごに

中国からの訪日観光客も増加するいま、中国をターゲットに海外マーケティングを進める際には、中国独自のデジタル事情を理解して、中国に適したマーケティング戦略を練る必要があります。

中国向けデジタルマーケティングは言語や文化、ネット規制、運営方法などさまざまな壁がある一方、8億人以上のインターネットユーザーに効率よくアプローチできる魅力的な市場です。今後、デジタル化社会が進むとともに、最前線に立つ中国のデジタル市場トレンドから目が離せません。

「自社に中国人スタッフはいないけど、マーケティングで中国市場を狙いたい」とお考えでしたら、ぜひお気軽にお問合せください!

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吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。