Z世代に響く新しいSNS「Bereal」とは?
~企業が採るべきマーケティング活用法~
デジタルマーケティングの世界では、変化のスピードがますます加速しており、特にソーシャルメディアの分野では新しいプラットフォームが次々と登場しています消費者のニーズや関心も目まぐるしく移り変わり、マーケターにとって常に最新のトレンドを把握することが重要です。
その中でも、若者を中心に注目を集めているのが「BeReal」という新しいソーシャルメディアです。ユニークな機能や特徴を持つ BeReal は、企業の海外マーケティングにも活用できる可能性を秘めています。
この記事では、BeRealの基本的な機能や特徴を解説し、企業が海外市場向けにどのようにBeRealを活用できるのか、その具体的な方法をご紹介します。
海外に向けた新しい施策を模索している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Z世代の新しいSNS「BeReal」とは?
BeReal について
BeReal は、2020年にフランスで誕生した新しいタイプのソーシャルメディアです。名前の通り「BeReal(本物である)」ことを重視し、ユーザーが日常のありのままの姿をシェアすることに焦点を当て、透明性と信頼性を重視したSNSプラットフォームです。
2020年に App Store でローンチされた BeReal は、2022年 TikTok で話題となったことをきっかけに急成長を遂げました。2022 年には 5,600 万回以上ダウンロードされ、同年の「 iPhone App of the Year」に選ばれるなど、世界中で大きな注目を集めました。日本では 2024年6月に発表された「Z世代が選ぶトレンドランキング」で、”コト・モノ部門”で一位、”言葉部門”で二位を獲得し、日本のの若者からも注目を集めています。
BeRealの使い方
BeRealの特徴的な点は、ユーザーに対して毎日ランダムなタイミングで「BeRealの時間です」という通知が届き、その通知後 2分以内にリアルタイムで撮影した写真を投稿することが求められる点です。
ユーザーは通知を受け取ってから、髪の毛を整えたり、周りを整える時間はなく、さらにフィルターや編集機能が一切ないため、まさに「その瞬間」を切り取った写真がシェアされます。写真を取り直した場合、取り直した回数が投稿に表示されてしまい、2分以上の時間がかかると「〇分遅れで投稿」と、遅れた時間が投稿に表示されます。
また、自分の投稿が終わるまで他ユーザーの投稿を見ることができず、投稿された写真は24時間後に自動的に削除されるため、従来のSNSのように受動的にだけ楽しむということはできず、能動的なクローズドコミュニティ内での交流が特徴です。
静止画の投稿がメインになっていますが、BTS(Behind The Scenes)という投稿写真を撮影する前の数秒間が動画として保存され投稿が可能となる機能もあります。
BeRealが人気になった理由
BeReal の最大の魅力は、「加工なしのリアルな投稿」です。Instagramや TikTok では、映える写真や動画が重要視され、見栄えの良さが求められますが、BeReal はそれとは逆に、ありのままの姿を大切にしています。この特徴が、SNS 疲れや映え疲れを感じている若者たちに支持されています。
さらに、BeReal では「いいね」やコメントのような表面的な交流は無く、ストレスの少ない、自然な形でのコミュニケーションが可能です。これにより、SNS上での過度な承認欲求や競争から解放され、気軽に投稿できる環境が整っています。
BeReal のユーザー層とその特徴
2022年に急成長したBeRealのアクティブユーザー数は、2021年から2022年にかけて爆発的な成長を見せました。
国別ダウンロード数
国別のダウンロード数では、日本が350万と最も多く、US(240万)、フランス(180万)が続いています。特に日本市場での人気は顕著で、日本のSNSユーザーの新しいプラットフォームへの高い受容性を示唆しています。
性別・年齢別利用者割合
年齢層別では、26-44 歳が 55%と最も高い割合を占め、次いで 16-25 歳が 43% となっています。
45歳以上の利用者はわずか 2%と極めて少なく、若年層から中年層にかけて強い支持を得ていることが明確です。この傾向はアプリの特徴である「リアルな瞬間の共有」という価値提案が、デジタルネイティブ世代やソーシャルメディアに精通した層に特に響いていることが考えられます。
性別では、女性ユーザーが 58%と過半数を占め、男性ユーザーは 42% です。この比率は、写真共有系SNSで一般的に見られる女性優位の傾向と一致しており、特に若い女性層における、等身大の自分を共有したいという「ニーズ」と「BeReal の価値提案」が合致していると考えられます。
BeReal が若者から支持される理由
BeReal でのコミュニケーションは、親しい友人との日常的な様子の共有を中心に展開されており、プライベートな空間で自然な交流が可能です。
このように、BeReal は加工や演出を重視する従来のSNSとは一線を画し、より自然で気軽な日常共有を提供するプラットフォームとして、現代のコミュニケーションツールの中で独自の位置を確立しています。
BeReal が特に若者、特に Z 世代から支持される理由には、以下の要因があります:
- デジタルネイティブ世代の新しい価値観を反映
- 「完璧な瞬間」だけを切り取った投稿ではなく、等身大の日常を共有できる
- 「いいね」を追求する文化とは異なる、新たな文化の共有
- プライバシーへの意識が高いZ 世代の価値観に合致
Z 世代は、生まれた時からデジタル環境に囲まれてきた世代です。そのため、従来型の SNS で見られる完璧な投稿を追求する文化や、時間消費に追われる、ゲーム化された承認欲求のループに違和感を持っています。
BeReal は、Z 世代のこのような価値観の変化に応える形で、より自然で飾らない交流の場を提供しています。BeReal が提供するその交流の場こそが、若者たちの支持を得ている理由なのです。
BeRealマーケティング活用法
BeRealを活用することで、企業はよりリアルで親しみやすいブランドイメージを構築でき、ターゲットオーディエンスとの信頼関係を築くことが可能です。ここでは、企業がBeRealをどのように活用できるか、具体的な方法を3つのポイントに分けて紹介します。
公式アカウントを開設する
リリース当初、企業の公式アカウントは開設できませんでしたが、「Realpeople and RealBrands」機能が追加され、企業やブランドが BeReal 上で公式アカウントを作成できるようになりました。
公式アカウントでは、インフルエンサーや有名人、企業や個人が通常のユーザーと同様に「フィルター、編集、台本なし」で、その瞬間を投稿します。ユーザーは BeReal の公式アカウントをタグ付けすることで、公式アカウント側もユーザーの投稿を見ることができます。
本物で親しみやすい側面をアピールしたい企業にとって、信頼を築き、より強い関係を構築できます。
BeReal の広告配信
BeReal の広告の掲出はオーガニック投稿のフィードをスクロールしていくと表示されていくフィード型の広告が利用可能です。
広告もオーガニック投稿と同様に、フロント/バック形式のクリエイティブで表示され、フィードに溶け込む形で表示できるため、ユーザーに受け入れてもらいやすい形式です。クリエイティブフォーマットは静止画と動画で配信が可能となり、広告から希望のランディングページへ遷移させることができる動線となっています。
現在の仕様では広告でオーガニック投稿のようなユーザー同士の交流はできない仕様ですが、今後のアップデートでさらに機能が追加されていくことも期待されています。
クロスプロモーション戦略
異なるソーシャルメディアプラットフォーム間で、フォロワーやユーザーを他のプラットフォームに誘導するクロスプロモーション戦略は、さまざまなオーディエンスにリーチすることができ、ブランド認知を高めることに繋がります。
BeReal 上でのコンテンツを他の SNS にシェアすることで、BeReal ユーザーだけでなく、さまざまなオーディエンスと関わりを持つことができます。また、BeReal 限定キャンペーンやチャレンジ企画を実施し、その成果を X や Instagram で#(ハッシュタグ)を付けて拡散することで、全体的なエンゲージメントを高める効果があります。
さいごに
BeRealの大半を占めるZ世代の購買行動は、売り込みや過度に洗練されたコンテンツを嫌い、「本物かどうか」「自分の価値観にマッチしているか」を非常に重要な要素として捉える傾向があります。
BeRealは比較的新しいソーシャルメディアであり、既存のソーシャルメディアとは全く異なる特性を持っています。企業はZ世代が重視する「本物であること」に焦点を当てたコンテンツやマーケティング戦略を展開することで、より強い関係を築くことができるでしょう。BeReal の特徴を活かし、柔軟にデジタル戦略をアレンジすることが、今後のマーケティングにおいて重要なポイントとなります。


吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本8年を経て、現在はシンガポールからフルリモート3年目。