「NAVERブログ」とは?
韓国マーケティングにNAVERブログを効果的に運用する方法
こんにちは。マーケティング部のチェです。
今回のブログでは、韓国「NAVERブログ」についてご紹介します。
「ブログ」はウェブログ(Web Log)の略で、ウェブサイトに記録(ログ)するので「ウェブログ」、略して「ブログ」と呼ばれるようになりました。日本でも2002年頃から少しずつ話題になり、2004年頃から芸能人のブログで知られる「アメブロ」が一気に流行り始めました。当初は個人の感想や日記などプライベートな空間として使われましたが、次第に企業のマーケティング活動として、ブログを活用する企業が増えました。検索エンジン「NAVER」の利用率が高い韓国では、「NAVERブログ」もマーケティングに欠かせない存在となっています。
今回は、NAVERブログのマーケティング活用にフォーカスし、NAVERブログの「有効性」から「海外企業の活用例」「効果的な運用方法」を詳しくご紹介していきます!
目次
- NAVERブログとは?
- 企業がNAVERブログを活用する理由
- 韓国「NAVERブログ」の有効性
- 企業のNAVERブログ開設時の注意点
- 海外企業のNAVERブログの活用例
- NAVERブログの効果的な運用方法
NAVERブログとは?
NAVERブログ(네이버 블로그)とは、韓国の検索エンジン「NAVER」が運営する、韓国最大のブログサービスです。個人・企業・団体を問わず、NAVERアカウント登録しログインするだけで誰でも無料でブログを開設することができます。
その歴史は古く、メジャーなソーシャルメディアが誕生する以前の、2003年6月に「ペーパー(paper)」というサービスから始まりました。2003年10月12日からは「ブログ」という名前で正式にローンチされ、今日に至っています。
NAVERブログで記事を投稿すると、NAVERはもちろんGoogleにもインデックスされるため、キーワード検索をするユーザーの検索結果画面にブログ記事が表示されます。
NAVERブログを情報発信に活用する理由
韓国で、NAVERブログが情報発信に活用されている理由は、「個人」と「企業」それぞれ異なります。
個人の場合:主に自分の考えや日常、商品やサービスのレビューを共有するため
ある分野での専門知識を持つ人は、その分野の最新情報や自分の経験・ノウハウを共有するために活用するケースも多い傾向にあります。
企業の場合:情報発信や販売促進などのマーケティング活動のため
企業やブランドは、NAVERブログを通じて商品やサービスの情報を発信したり、イベントを告知・実施することで自社への集客や広報として機能します。
日本ではコーポレートサイトにワードプレスを組み込み、自社ニュースや記事をサイト内に投稿するのが一般的ですが、韓国で最も利用されているNAVERの検索エンジンでは、そもそも自社のウェブサイトは上位表示されない仕組みのため、SEO対策の1つとしてNAVERブログを活発に活用しています。NAVERブログでは「이웃추가(お隣さん追加)」というSNSのフォローのような機能(以下、フォロー)があり、お互いのアップデート状況を「確認・コメント」もできることから、ユーザーとのコミュニケーション目的で利用されています。
韓国における「NAVERブログ」の有効性
韓国の企業もマーケティングにNAVERブログを活用していますが、そもそもなぜ「NAVERブログ」を活用しているのでしょうか?その理由は以下の3つが主に挙げられます。
1.韓国の検索エンジンのシェア率、「No.1」人気が高い!
2023年4月時点での韓国国内の検索エンジンシェアの割合は、世界中の多くの国や地域で最も利用されている検索エンジンであるGoogleが「34.38%」であるのに対し、NAVERは「55.63%」に達しています。(Internet Trend 調査期間:2023年4月1日~2023年4月18日)
韓国には他のブログサービスも多数存在していますが、初めての韓国向けブログを開始するのであれば、視認性の高い「NAVERブログ」からスタートすることを検討しましょう。
<参照元:인터넷 트렌드>
2.NAVERコンテンツが優先的に上位表示される
企業のウェブサイトを作成して、NAVERで「自社のウェブサイトを上位表示させたい」という方もいらっしゃると思います。しかし、NAVERでは、企業のウェブサイトを検索結果の上位に表示させることが難しい仕組みになっています。NAVERの検索エンジンで検索行動を行うと、以下の特徴があることが挙げられます。
- 検索結果の最上部には最大15件の検索広告が表示される
- NAVERコンテンツ(NAVERカフェやNAVERブログ)が上位表示される
NAVERで検索を行うと、上位部分には「NAVER広告」と「NAVERコンテンツ」が優先的に上位表示されるため、ウェブサイトの検索結果を見るためには、かなりのスクロールが必要となり、多くのユーザーはウェブサイトまでたどり着くことはありません。
NAVERにはこのような特徴があるため、一般的なSEO対策は不向きと言われており、企業のマーケティング活動であっても、NAVER広告・NAVERブログやNAVERカフェに注力する企業が多い傾向にあります。
<NAVERでの検索結果>
3. 利用者が増加中!「若者」の参入が増えている
NAVER公式ブログチームが公開した2022年の決算レポートによると、現在、約3200万人がNAVERブログを利用しており、その割合は韓国人口約5000万人に対して「64%」にまで達していることになります。
加えて、注目すべき点は「10~40代の利用者が前年月間平均よりも” 10%以上” も増加している」という点です。 2003年からサービスを開始してから約20年近く経つ現在で、” 10代の若者 ” の利用が増加したことは、興味深い事と言えるでしょう。また、経済の主軸となる若年層がNAVERブログを” コミュニケーション手段 “として活用している事実は、企業のマーケティングにおいても注目すべきポイントです。
このように上記3つの理由からNAVERブログは「韓国向けマーケティングには有効な施策」と言えるのではないでしょうか。次項では、NAVERブログの活用イメージを掴むために、実際に海外企業がどのようにNAVERブログを活用しているか具体的にご紹介していきます!
企業のNAVERブログ開設時の注意点
韓国向けマーケティング施策の1つとして、有効な施策の1つであるNAVERブログですが、企業のマーケティング施策としてNAVERブログを活用する場合は「団体アカウント」で登録を行いましょう。
現在、開設できるアカウントの種類は以下の2つです。
- NAVERの「個人アカウント」
- NAVERの「団体アカウント」
団体アカウントは管理者権限の委譲ができるため、複数のブログ管理者を任命することが可能です。そのため、担当者の変更があってもセキュリティの面で安心して運用することができます。
もちろん個人アカウントを作成することもできますが、複数のIPアドレスからアクセスして記事を投稿すると、NAVERブログのアルゴリズムからネガティブな評価を受ける可能性があります。そのため、マーケティング施策として活用する場合、「団体アカウント」で運用を行いましょう。
<団体会員加入をクリックしアカウント開設に進む>
「団体アカウント」を作成する場合、アカウント作成時に「団体会員加入」をクリックして、アカウントの開設に進みましょう。
海外企業のNAVERブログの活用例
ステラハーバーリゾート( BtoC × インバウンド )
「Sutera Harbour Resort(ステラハーバーリゾート)」は、コタ・キナバルに位置したリゾート施設です。ホテルの情報を探している顧客のために、会員制のベネフィットやホテルを最大限に楽しむためのヒントをコンテンツ化し、NAVERブログに公開しています。
<ステラハーバーリゾート https://blog.naver.com/suteraharbour_korea>
このブログでは、コタ・キナバル旅行を検討している潜在顧客に向けて、近くの観光地を紹介して「こんなに素晴らしい観光地の近くにリゾートがある」ということが伝わる魅力的なコンテンツを投稿しています。加えて、宿泊プランやイベント開催の告知をNAVERで行うなど、購入促進から顧客コミュニケーションに至るまで、NAVERブログを積極的に活用しています。
ライカマイクロシステムズ( BtoB × 製造業 )
「Leica Microsystems(ライカマイクロシステムズ)」は、ドイツの光学機器・カメラのメーカーです。メーカーならではの自社製品や技術紹介はもちろんのこと、「細胞培養を正しく素早く検査する方法」など、製品を活用する可能性が高いユーザーに向けたノウハウ系の情報をNAVERブログにて発信しています。
<ライカマイクロシステムズ https://blog.naver.com/leica_micro>
「お見積もり」「サービスのお問い合わせ」のボタンを配置し、クリックするとそのままホームページに移動することができます。ブログに訪問しライカの製品に興味を持ったユーザーを、そのままコーポレートサイトに遷移させるという移動導線が見事に構築されています。また、展示会の参加や技術開発ニュースを伝える媒体としての役割も果たしています。
グローバルソーシス( BtoB × メディア )
「Global Sources(グローバルソーシス)」は、国際的に信頼を広めているマルチチャンネルBtoBソーシングメディアです。海外展示会の開催情報、海外市場の動向や貿易に関する情報をNAVERブログで配信しています。
<グローバルソーシス https://blog.naver.com/exportmedia>
グローバルソーシス社のNAVERブログでは、各種BtoB関連のソーシングレポートをホワイトペーパー(e-book)にまとめ、ブログ記事経由でダウンロードすることができるようになっています。ブログ記事も月に3~5件の記事をコンスタントに公開しており、NAVERブログを上手く活用できている好例と言えるでしょう。
BtoB向けのソーシング専門のメディアだけあって、グローバルソーシス社の「이웃(ブログ購読者)」の中には、「企業の公式アカウント」なども多数含まれており、多くの企業がグローバルソーシス社の発信する情報を欠かさずチェックしていることがわかります。
NAVERブログの効果的な運用方法
NAVERブログを効果的に運用するために押さえておきたい4つのヒントをご紹介します!
① 運用開始初期は、まずは記事を継続的に投稿する
NAVERは文章の文脈や意図・専門性・信頼性・利用者のリアクションでブログ記事を評価しています。(C-Rankによってコンテンツ自体の価値を分析し、Deep Intent Analysisにより、ユーザーが好むコンテンツにより多くの価値を置きます。)このアルゴリズムにより、評価が低いと判断された場合、せっかくブログ記事を書いたとしても、NAVER検索結果に上位表示されない可能性が高くなる傾向があります。
したがって、新しくNAVERブログを開設した場合、3ヶ月ほどは価値のある記事をコンスタントに投稿して、得たデータから成功要因と失敗要因を抽出し、NAVERブログの評価基準を考慮しながらPDCAを繰り返すことがNAVERブログ成功の大切な要因の1つとなります。
情報の更新は読み手にはコンテンツの鮮度と企業の活性度を図る指標にもなるため、1ヶ月で投稿する記事の本数、定期投稿日を決めて、定期的な記事の公開を実施しましょう。
②ブログ訪問者をコーポレートサイトやSNSに遷移させる
ブログ記事を閲覧し興味を持ったユーザーがウェブサイトに移動できるように「導線」を設計します。
ライカマイクロシステムズ社の活用例のように、NAVERブログからウェブサイトへ移動できるCTAボタンは、ブログのデザイン機能で簡単に実装することが可能です。SNSを運用しているならアイコンをいれておくことも有効です。もちろん、記事の文章に自社のウェブサイトURLを記載することも忘れないようにしましょう。
それとは逆に、ウェブサイトでNAVERブログの存在を知らせたり、SNSでNAVERブログ記事のURLを含んで投稿したりすることもおすすめします。このようにデジタル媒体をつなげることで、より自社を深く理解してもらえるチャンスを増やしていきましょう!
③ブログの運用データを計測する
NAVERブログには、Google Analyticsのような流入数や訪問者のデータが見れる機能があります。訪問分析では「記事のページビュー数・訪問者数・再訪問率」から、使用者分析では「性別・年齢分布」、さらには動画の再生数・共感数(いいね数)・コメント数もひと目で見ることができます。
定期的にブログのパフォーマンスを確認し、訪問者の特徴を分析、ブログの運用方針を検討していきましょう。
④ NAVERブログ攻略法を理解する!
先述したように、韓国の人気検索エンジンNAVERは一般的にSEO対策は通用しないと言われています。
NAVERで検索をすると、検索結果はカテゴリー(NAVERブログやカフェ、投稿など)に分かれて表示されます。(Yahoo!Japnをイメージしてもらえるとわかりやすいかと思います。)さらに、「検索語句」が少しでも違うと表示されるカテゴリーの順位が変化します。NAVERでは、SEOに関しては独特な仕組みとなっているため、NAVER広告や、NAVERブログを効果的に活用する事がとても重要なポイントとなってきます。
詳しく知りたい方は、こちらのブログをご参照ください。
今回の記事はここまでですが、実はNAVERブログを積極的に活用している日本企業は、意外と探すことができませんでした。韓国独自の検索エンジン事情から、初めてNAVERブログを知った方もいらっしゃると思います。韓国向けマーケティング手段にNAVERブログというものもある!と気づいてもらえたら嬉しいです。
次回の記事でも韓国向けデジタルマーケティング情報をお伝えします!
ヨンス チェ マーケティング部
大学では日本語の通訳・翻訳を専攻し、韓国から日本への移住を決意。 「日本と世界をデジタルで繋ぐ」マーケターとして活躍したいとを思い、インフォキュービック・ジャパンへ入社。 淡水エビ・タランチュラ・大型オウム・希少クワガタなどの飼育・繁殖経験もあるほど生き物が大好きです。現在、ヤモリを飼育して10年以上、ヤモリ愛に溢れた韓国人です。