中国の人気動画サイト、7選！
～独自発達する動画市場を徹底比較・解説～

中国の人気動画サイト、7選！
～独自発達する動画市場を徹底比較・解説～

新型コロナの影響により全世界で「Stay Home」が掲げられました。特に規制の厳しかった中国では、コロナ禍の巣ごもり需要もあり、自宅で利用出来るさまざまなデジタルサービスが成長を遂げました。その中の１つ「動画サービス」も例外なく顕著に伸長した市場の1つです。

ご存知の通り、中国では政府の規制により、私たちが一般的に利用するYouTubeやNetflixなどを利用することは出来ません。代わりに、Baiduの検索エンジンやWeChatやWeiboと言った独自のプラットフォームが発達しています。では、そんな中国ではどのような動画サイトが人気を集めているのでしょうか？

今回は、最新の中国の動画市場とともに、中国向けに広告を出したいと思った際に検討すべき「中国で人気の動画サイト」をサービスの詳細や企業が活用できる広告の特徴と共に詳しくご紹介いたします！

目次

• 1．中国の動画市場
• 2．中国人気の動画サイト、7選
• 　・爱奇艺（アイチーイー）
• 　・騰訊視頻（テンセントビデオ）
• 　・哔哩哔哩（Bilibili）
• 　・芒果TV（MangoTV）
• 　・優酷（Youku）
• 3．ショート動画プラットフォーム
• 　・抖音（Douyin）
• 　・快手（Kuaishou）
• 4．さいごに

 

中国の動画市場

「The 10th China Internet Audio and Video Convention」で発表されたレポートによると、2022年12月時点で、インターネットオーディオ・動画の視聴ユーザーは10億4000万人に達し、前年比4.9%近く増加しました。インターネットオーディオ・動画産業の規模も7,274億元(1,052億ドル）に達しました。特に近年、「ネット番組」と「ショート動画」の発展が著しく、市場規模は年々拡大しています。利用者は「視聴したい番組」によってサイトを使い分ける傾向があり、利用するプラットフォームは目的によって多岐に渡ります。

2022年6月時点で、視聴された動画コンテンツタイプの割合は、以下のようになりました。

最も視聴されているコンテンツは「教育系コンテンツ」続いて、ファッション、メンタリティと続いています。

さらに、近年爆発的に市場が伸びているのがやはり「ショート動画」です。

2022年のショート動画市場規模は2,928億元に達し、インターネットオーディオ・動画市場の40.3%を占めるまでに成長しました。ゴールドマンサックスの中国市場レポートからもわかるように、コロナが始まった2020年当初と比較して、たった2年ほどで、ショート動画の人気は他のどの要素よりも利用率が伸びていることがわかります。2022年10月時点で10億1000万人以上が定期的にショート動画を視聴し、ネットユーザーの94.8%、中国の人口の70%以上を占める結果になりました。出典： Goldman Sachs_Short-form video-rization:Assessing the potential ceiling and lessons from China

近年爆発的に人気が高まっている「ショート動画」に続き、人気の動画形式は、「ライブストリーミング」で、利用ユーザーは7億5,100万人に達しており、ショート動画に次いで2番目に人気の動画形式となり、今後の発展に注目が集まっています。

 

中国人気の動画サイト、7選

先述したように、中国では目的によって動画サイトを使い分けるため、中～長時間動画を視聴するための動画サイトと、ショート動画を視聴するためのプラットフォームは異なります。

爱奇艺（アイチーイー）

2010年に動画ストリーミングプラットフォームとしてサービスを開始した爱奇艺は、中国版NetflixとYouTubeを組み合わせたようなものとして認識されています。創業当初、中国のアイドルブームに上手く乗りバラエティー番組を多く取り上げ、番組の著作権を購入することで配信コンテンツを独自化し、短期間で人気を獲得しました。現在ではドラマ、バラエティ番組、映画、アニメ、スポーツ、子供向け番組、テレビ番組など150以上のキーコンテンツをリリースしています。

中国ITリサーチ企業である易観千帆によると、月間アクティブユーザーは2022年2月時点で49,206万人以上で、動画視聴サイトで最もアクティブユーザーの多いサイトです。

【広告】

爱奇艺（アイチーイー）では、“advertising is content, content is advertising/広告はコンテンツであり、コンテンツは広告である”という信条を掲げており、ブランドと動画コンテンツが効果的に統合する機会を積極的に提供しています。また、最も重要な世代を「Z世代・ミレニアル世代」とし、若者トレンドに重点を置いた動画サイトです。

【特徴】

• バラエティー番組の種類が豊富（優酷、騰訊視頻のサービスと比較しても番組のジャンルが多い）
• オリジナルのバラエティーやドラマが多い
• ユーザーは18~30歳が約半数を占めている
• 月間デバイス数は約6億台
• 男女使用者数はほぼ半々で、男性が3％ほど多い

 

騰訊視頻（テンセントビデオ）

騰訊視頻は名前の通り、コミュニケーションプラットフォームのWeChatやQQを提供するアジア最大のIT・ネットサービス企業であるテンセントが提供するサービスの1つです。2011年からサービスを開始した騰訊視頻は、自社制作の中国アニメやドラマなど数多くのコンテンツを配信しており、爱奇艺同様にNetflixとYouTubeを組み合わせたようなものとして認識されています。

特に騰訊視頻では、個人でアップロードされたコンテンツが特に多く、ショート動画からニュースやバラエティー番組、騰訊視頻のオリジナルドラマやバラエティーなど幅広いコンテンツを配信しています。番組の種類は愛奇芸よりも少ないと言われています。

中国ITリサーチ企業「易観千帆」によると、月間アクティブユーザーは2022年2月時点で4億5,527万人以上で、動画視聴サイトで二番目にアクティブユーザーの多いサイトです。

【広告】

騰訊視頻では、企業が製品やサービスを多くの人に宣伝するための優れた広告プラットフォームです。さまざまな動画の長さとフォーマットが用意されており、予算が限られている場合でもさまざまな動画広告を選択することができます。広告を出稿する際は、中国に登録された電話番号かQQ番号が必要です。WeChatにログインし、テンセントアカウントからアクセスします。

【特徴】

• ユーザー4分の3以上が40歳未満（そのうち3分の1が24歳未満）
• オリジナルバラエティーやドラマが多い
• 中高大学生が多い
• 月間平均デバイス数は6.4億台

 

哔哩哔哩（Bilibili）

2009年に設立されたビリビリは中国でアニメ・コミック・ゲーム（AGC）事業などを提供するエンターテイメントプラットフォーム（動画を軸としたコミュニティサイトと言った印象）です。中国のYouTubeのような存在で、Z世代で最も人気のある動画サイトとして、2023年Q1のMAUは3億1,500万人、DAUは9,400万人を獲得しています。（2023年Q1）

ビリビリは他の動画サイトとは異なり、日本のアニメ・コミック・ビデオ ゲームに焦点を絞ったコンテンツ戦略を展開し、若者から高いエンゲージメントを獲得しています。ターゲットは中国の若者層であるZ世代で、ユーザーの大多数はモバイルからアクセスしています。

近年は中国語だけではなく、英語、インドネシア語、タイ語、ベトナム語などで利用できるグローバル版も利用することができるため、世界中からユーザーを集めています。2022年からはシンガポール、フィリピン、インドネシアなど東南アジアへの進出を進めています。

【広告】

Bilibiliではキャンペーンの目的に応じて、さまざまなタイプの広告を利用することができます。

ライブストリーミング中に広告を表示されることができるライブストリーミング広告、検索結果やホームページなどに掲載するディスプレイ広告、おすすめ動画に表示させる動画広告、動画開始前に表示させるプレロール広告、アプリの起動時に表示させるアプリ起動型広告、他のコンテンツに溶け込ませるタイプのネイティブ広告などなどさまざまな広告を活用することができます。

【特徴】

• 若者が多く、アニメ作品が集まり、リピーターが多い
• 最近はアニメ文化の流行もあり、徐々に二次元メインからYoutuberのような投稿者も増加
• ニコニコ超会議のような大規模イベント「ビリビリワールド」も開催
• 日本で大人気の声優さんたちも参加

 

芒果TV（Mango TV）

2014年に設立された芒果TV（マンゴーTV）は、中国の湖南省テレビの傘下にあるインターネットビデオプラットフォームです。湖南省テレビのロゴがマンゴーと似ているため、湖南省テレビの別称はマンゴーテレビとも呼ばれています。芒果TVでは、バラエティ、映画、アニメ、スポーツ、ゲーム、短編映画など豊富なコンテンツをユーザーに提供していますが、中国人スタッフに聞いてみたところ、湖南省テレビといえば「バラエティー番組」というイメージが定着しているようです。

芒果TVは月間アクティブユーザーが1億8,401万人以上おり、中国国内で大きなシェアを誇るオーディオ・動画サイトの1つです。世界最大メディア企業500社に6年連続で選ばれており、アジアの新しいメディアブランド第10位にランクされています。

芒果TVのアプリも多くのアジア諸国でもダウンロードされており、動画アプリのカテゴリでは「第5位」にランクされています。さらに、最大7言語に対応しており、ベトナム・マレーシア・タイでも多くダウンロードされています。また、テクノロジーに特化したメディアでもある芒果TVは、同社の独自ブロックチェーンGuangmang Chain 上に構築された独自のNFTプラットフォームを2023年3月にローンチしており、NFT向けの独自プラットフォームを持つ初の国有企業となったと言われています。

【広告】

芒果TV アプリでは、以下の2つの広告モデルに対応しています。

1. コンテンツベースのカスタマイズ広告
2. 直接購入が可能な標準広告

広告は視認性が高く、スキップ不可な広告フォーマットをサポートしているため、視認性の高い広告を配信することが可能です。

【特徴】

• バラエティー番組がとても多く、特に湖南省テレビのオリジナルバラエティーが多い
• 視聴者の7割以上が女性
• テレビ番組の生放送も視聴が可能
• 月間アクティブユーザー数1.2億人
• 専用のソフトウェアをダウンロードして視聴するのが一般的

 

優酷（Youku）

優酷は、当時絶大の人気を誇っていた優酷と土豆（ポテト）サイトを2005年に合併させ、最も早期に成立した(2006年)動画サービスです。優酷は、2015年にアリババグループに買収されたこと、また音質と画質が他の動画サイトよりも格段に高く、幅広いソースを通じて配信していることで多くのユーザーを獲得しており、現在では月間アクティブユーザーは4億1,500万人ほどに達しています。中国のYoutubeと認識されています。

優酷は、PC・テレビ・モバイル・自動車内といった主要端末で見ることができ、自主制作コンテンツはもちろん、ユーザー生成コンテンツ（UGC）、ライブブロードキャストなど幅広いコンテンツを配信しています。さらに世界230カ国で視聴することができ、中国国内だけに留まらずアメリカ、香港、台湾、インドネシア、ブラジル、韓国、日本、ロシアなど幅広い地域からアクセスを集めています。

【広告】

広告は動画や静的、アニメーション化できるバナー、テキストリンクやボタンなど、さまざまな形や形式で表示できる「ハード広告」と、コンテンツ内でのプロダクトプレイスメントやバイラル動画などの「ソフト広告」が、知られています。

【特徴】

• 元々はドラマやアニメの配信が多かったが、現在はそれらに加えて、オリジナルのバラエティーやドラマ、YouTubeのように個人の投稿作品が多くなっている
• 30歳以下のユーザーが56％を占めている。（その中でも、25～30歳が約30％）
• 月間デバイス数は約5.8億台
• 男女比率は男性：54%　女性：46％
• ユーザーの56%は24歳未満

 

中国の人気ショート動画プラットフォーム

抖音（Douyin）

2016年に設立された中国版TikTokであるDouyinの人気は、説明するまでもなく中国で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームの1つです。私たちが普段利用するTikTokと同じSNSですが、中国では政府の政策により中国ユーザーは中国をベースにしたソーシャルメディアしか利用することは出来ません。

とは言え、中国人ユーザーはVPNを利用すれば、他のソーシャルメディアにアクセスすることが可能なのですが、TikTokだけはVPNを利用してもアクセスすることは出来ません。裏技は…存在します㊙

Douyinは「揺れる音」という意味を持ち、TikTokと同様に「BiteDance」が所有しているため、「ほぼTikTokと同じ」という認識です。陽気な音楽、目を引くビジュアルやエフェクトなど、視認性が高く中毒性の高いショート動画は、中国の膨大な視聴者へのアプローチを可能にします。また、Douyinのアルゴリズムは、ユーザー間での人気が高ければ高いコンテンツであるほど、他ユーザーのページに表示される仕組みのため、ユーザーの心を掴むことが出来れば、あっという間に拡散される仕組みになっているため、DouyinのコンテンツはエンゲージメントをKPIに設定することをおススメします。

機能面でもDouyinとTikTokはよく似ていますが、実はDouyinはより高度な機能を実装しています。
Douyinでは「動画内検索」を行うことができ、視聴者は誰かの顔を検索して、その人が出演している動画を見つけることが可能です。さらに、電子商取引に関してもDouyinは一歩前進しており、動画内で紹介されている商品を簡単に「検索→購入」を簡単に行うことが出来ます。また、中国の主要ECプラットフォームである「Tmall・淘宝網・JD」と言ったサイトに掲載されている商品を直接リンクすることも出来るなど、企業やブランドにとってメリットがある高度な機能を提供しています。

2022年6月、Douyinの月間アクティブユーザーは驚異の6億8,000万人を突破。そのうち、ユーザーの50％以上が30歳未満であるため、中国のミレニアル・Z世代にリーチするための優れた方法の1つです。2025年までにユーザー数は8億3,500万人を超えると予測されています。

【広告】

さまざまなタイプの有料広告を提供しており、ユーザーの位置、年齢、性別、興味関心事項などに基づいてターゲットを設定できるため、視聴者にリーチし、売り上げを伸ばすための効果的な施策の1つと言えるでしょう。

【特徴】

• エンタメ性を重要視
• 24歳以下のユーザーが20%
• 24～30歳のユーザーは30％
• 41～50歳のユーザーは20%ほど
• 1日あたり平均88分を費やす
• 中国ソーシャルメディアユーザーの68%はDouyinアカウントを持っている

 

快手（Kuaishou）

2011年に「快手 /Kuaishou」はGIFイメージを編集するアプリとしてローンチされ、2013年ごろからは動画編集や共有が可能なアプリに進化しました。日本ではあまり馴染みのないKuaishouですが、中国では「Douyinの最大のライバル」と言われるほど、人気の高いショート動画プラットフォームです。Douyinと大きく異なる点は、ユーザーは大都市以外の下層都市や地方の小さな町の若者をターゲットにしているという点です。

2023年Q1のMAUは6億5,440万人、DAU：3億7,430万人に達していますが、そのコミュニティの半数近くは3級都市・4級都市と報告されています。

Douyinがエンターテイメントを重要視しているのに対し、Kuaishouでは教育系コンテンツや日常生活を反映した「本物で共感できるコンテンツ」に焦点を当てています。超大国である中国の中で、主要メディアやエンターテイメントから置き去りにされたと感じている地方在住の人々から強い支持を集めています。Kuaishouのアルゴリズムによっておススメされるコンテンツの40～50％は、ユーザーが既にフォローしているユーザーからという仕組みであり、エンゲージメントの高さをを非常に評価している傾向にあります。ユーザー数はDouyinが勝っていますが、アルゴリズムと人口統計がDouyinとKuaishouでは、全く異なるということを理解しておきましょう。

KuaishouもDouyin同様に電子商取引機能の統合が進んでおり、ユーザーはプラットフォーム上から直接商品を購入することが可能です。

【広告】

Kuaishouは売上やリードを促進するダイレクト レスポンス広告などのパフォーマンスベースの広告に重点を置く傾向があります。ディスプレイ広告・ニュースフィード広告・ディスカバリー広告など全てショート動画クリップ、バナー形式で表示します。

ユーザーの性別、年齢、位置、興味関心、行動履歴などに応じてターゲティングが可能となっています。

【特徴】

• 最も人気のあるコンテンツカテゴリは、ライフスタイルコンテンツ（29.8%）
• 地方都市に住んでいるユーザーが大半
• 第一都市に住んでいるユーザはわずか10%ほど
• 電子商取引コンバージョン率はDouyin よりも5～10倍ほど高い

 

まとめ

今中国で人気の各動画サイトの特徴を整理できましたか？
それぞれの動画サイトの番組の傾向やユーザーの年齢などの特徴が分かると、どのサービスに広告を出稿するのが良いかが明確になるのではないかと思います。

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