「多言語サイト制作で大切な9つのポイント」
~担当者はこれだけは押さえよう~
多言語ウェブサイト制作で大切にすべき
初期ポイント「Basic 9 Steps」
~さぁ、海外リード・お問い合わせを獲得しよう~
新しい商品やサービスを認知してもらうために必要なもののひとつ、、、それは企業ウェブサイトではないでしょうか。世界人口は、2050年には97億人にまで増加すると予想されており、多くの企業がこの将来を見据え、海外デジタルマーケティングに焦点を移し、多言語ウェブサイトの制作に取り組んでいるのも至極当然と言えます。
しかし、日本の多くの企業が運用しているグローバルサイトは、国内向けサイトを単に英語化しただけのものや、ターゲットとする国や地域に向けてローカライズがされておらず、海外で好まれるようなサイト構築ができていないのが現状です。多くの企業がそのことに気づいてはいますが、真に海外で好まれるグローバルサイトを制作するのには、かなり苦戦を強いられているのが実情ではないでしょうか?
では、海外の人々の心を掴むことができる多言語ウェブサイトとは、いったいどのようなものなのでしょうか?
今回は海外の人々の心を掴み、海外リード・お問い合わせの獲得に繋がる大切にすべき初期ポイント「Basic 9 Steps」をご紹介します。
✔ Step 1. ターゲットを決める
多言語ウェブサイト制作のスタートにおいて非常に重要なポイントの一つが、ターゲットの絞り込みです。B2Cサイトではバイヤーペルソナの定義を非常に細部にわたり作成します。
B2Bサイトの場合では、新しいリードになる可能性のある異なる3~4人のオーディエンスグループを絞り込んで設定します。
どの国の多言語ウェブサイトを作るにせよ、誰をターゲットにしているのかが明確にわかれば、それに共鳴するサイトを作成できるようになります。ペルソナは理想的なターゲットオーディエンスでなければならず、居住地や年齢、性別など人口統計情報を含めたうえで設定する必要があります。その理想的なペルソナの心を読み、何が彼らに影響を与えるのか、彼らが達成したいことがなんなのかを知ることが重要です。
ペルソナの精度を高めるためには、市場を細分化し、各セグメンテーションの軸を定めることがポイントです。特に海外の場合、同じ国でも首都圏と地方などエリアによって生活が大きく異なるため、エリア分類は最重要ポイントだと言えるでしょう。
過去の販売データなどがあればそこからペルソナを推測することも可能ですが、まだ進出していない場合には、デモグラフィックデータなどからペルソナを設計しましょう。彼らがどのような意見を持ち、特定のアイデアに対してどのような感じ方をしているかを見つけ出さなければなりません。
✔ Step 2. オファーを提示する
ウェブサイトにおける「オファー」=「サイト訪問者が得られる特典」と捉えれば良いでしょう。
たとえば、サイト訪問者に氏名やメールアドレスなどのプロフィールを入力してもらい、引き換えにサイト訪問者に有益な資料を無料でダウンロード可能な形で提供するなどです。
サイト訪問者は「オファー」の提示がないサイトや、何か自分にとってのメリットがなければ、そのサイト内でアクションを起こす動機を得ず、そのまま素通りしていきます。サイト訪問者がいくらいたとしても、それは見知らぬ誰かのままであり、顧客になる可能性は非常に低いままとなります。
たとえば「ニュースレターの登録」だけでは「オファー」としては十分とは言えません。しかし、逆に説得力のある「オファー」を作成することを難しく捉える必要もありません。例えば、人気のあるコンテンツを見つけ、ダウンロード可能な形に再パッケージ化し、提供する仕組みを作るだけです。
ポイントはペルソナが実際に欲しいものを提供することであり、自身がサイト訪問者となった場合に希望するアクションを実行するかどうかを自問することが大切です。
✔ Step 3. 魅力的な見出しを作る
Salesforceは明確な見出しとメッセージが伝わってきます。
見出しは見込み客が最初に目にするものであり、最終的な目的を達成できるかどうかを決定する非常に重要なポイントと言えるでしょう。
そのためにはサイト訪問者の注意を惹くだけでなく、商品やサービスの価値についても明確にする必要があります。もしサイト訪問者が誘導する通りの行動を取った場合、何が起きるかを正確にわかりやすく解説することも重要なポイントです。
見出しだけでなく小見出しも使用し、さらに詳細なメリットを説明する工夫も必要です。
読者は見出しで説得され、小見出しでさらに説得力を増すことで目的の行動へと促すフレーズに近づける機会を得られます。
✔ Step 4. キャッチコピーを作成する
アメリカのユタ州にあるスキーリゾートSnowBirdのウェブサイトです。彼らは「スリルを求める冒険的スキーヤー」に徹底的にターゲットを絞ったキャンペーンを行っています。「NO EASY RUNS」のキャッチコピーと共に評価の星は一つ。このキャンペーンは顧客に強烈なインパクトを与え、ターゲットとしている冒険的なスキーヤーはとても魅力的に感じるでしょう。マーケティングディレクター、アミロー氏は冒険を求めるコアなスキーヤー達に向けて、壮大な自然の難コースをキャッチコピーと星一つで表現し、見事に集客を成功させています。
キャッチコピーは商品やサービスのメリットを宣伝する最大のチャンスであり、限られたページ上の貴重なスペースを無駄にしない文言で、一瞬でサイト訪問者を惹きつける言葉を選定することが重要です。事実、良いキャッチコピーは多大な成果をもたらし、大手企業は効果的なコピーを得るため、ライターへ数千ドルを支払っても採算が合うと考えています。
当然ターゲットの母国語を使用し、ターゲットにインパクトを与え、価値観に響くものでなければなりません。また適切なボリュームとインパクトがあるキャッチコピーは重要なポイントであり、すべてはそこから始まります。多くの場合キャッチコピーはブランドのスタイルを反映させますが、あくまで顧客に焦点をあて、顧客が望む内容に徹底することが重要です。
以下がキャッチコピーを制作する際の簡単なルールです。
【 簡潔に 】
シンプルでクリアなテキストを使用して、メッセージを瞬間的に(1秒以内)に伝えられるように簡潔なものにします。
【 正確に 】
正確さは重要です。オファーから得られるもについて正確に伝えなければ、顧客は過度の期待を抱き、顧客との信頼関係が崩れてしまいます。
【 感情に訴える 】
「無料」や「簡単」などのパワーワードを使用します。「あなた」という言葉を使用するとサイト訪問者に直接語りかける感情的な見出しとなります。
【 緊急性を訴える 】
「期間限定」「ラストチャンス」「明日で終了」など時間に敏感な表現を使用し、緊急の感覚を作り出します。
✔ Step 5. アクション後をイメージできる画像を掲載する
百聞は一見に如かずと言いますが、上記はAirbnbのサイトです。キャッチコピーが「Earn money as an Airbnb host」「Airbnbホストになって、お金を稼ぎましょう」というフレーズと共に、男性が(たぶん)契約者と握手を交わす写真を使用しています。視覚的な画像情報が入ることで、サイト訪問者がより行動を起こしやすいフレーズへ向けて誘導することができます。
「誘導どおりアクションしたらどうなるかを明示すべき」と先ほど述べましたが、その説明に視覚的な要素を採り入れましょう。サイト訪問者がアクションを実行した後「どのようなメリットが待っているのか」を、わかりやすくビジュアルで見せることで顧客の行動をより促します。
商品やサービスによっては抽象的な表現にならざるを得ない場合もありますが、たとえば生活を豊かにするものであれば、「ターゲットイメージに近い人物が満足している笑顔」などが画像として最適です。
イメージに合う画像の提示は、サイトからの提案を見る人にとってより身近に感じてもらう効果を持ちます。
✔ Step 6. 社会的信用のある「口コミ」を集める
口コミが大きな影響力を持つことは、皆さんもご周知の通りです。
B2Bビジネスであっても導入事例などの「実績」が掲載されているのといないのとでは大きな差が生まれるように、「口コミ」が見込み客の背中を後押しする重要な要素であることは間違いありません。
これは海外市場でも同じことですが、海外では社会的信用がより強く求められる傾向があります。
実際にアクションを起こし、その商品やサービスの恩恵を受けた人々を知ること、その人々と同じようにアクションを起こすことで、メリットを享受しようと考えるサイト訪問者の思考回路を正確に理解しましょう。不特定多数の人が商品やサービスに対して抱いた感想を知ることで、見込み客はその商品やサービスに対する信頼を高め、実際にメリットを受けられる可能性が高いと判断するのです。
✔ Step 7. CTA(行動を促すフレーズ)を含める
多言語ウェブサイトを構築する際に、まずサイト訪問者に求める「行動」を明確化しましょう。
具体的には「問い合わせ」、「商品購入やトライアルの申込」、「資料請求」、「メルマガ登録」、「セミナー申込」などが該当しますが、これらの設置はサイト設計を行う時点で重要なポイントのひとつとなります。
このサイトは訪問者に何を促したいのか、どんなアクションを起こして欲しいのか、その「出口」がはっきりと見えないようでは、せっかく時間をかけて制作した多言語ウェブサイトも顧客との関係を構築する事が出来ずあまり効果が得られないでしょう。
アクションを促すフレーズを「CTA=行動喚起」と表現しますが、海外向け多言語ウェブサイトのCTAでは、アクション主導で利用可能なオファーに連動することが重要です。海外向けウェブサイトのアクションを促すフレーズは「Sign up」「Try for free」「Learn more」「Subscribe」といった具体的なコピーなどが多く見受けられます。いずれにせよ、何を出口に据えるか、それを明確にしたうえでCTAフレーズを設置することがポイントです。
✔ Step 8. 結果を計測する
国内サイトに比べ多言語ウェブサイトのは、結果計測の頻度や分析が進んでいない日本企業も少なくありません。市場は刻一刻と変化するため、結果を計測する必要があります。
コンテンツがどれくらい受け入れられているのか、どの国でどれくらいの反応があるのか、ユーザーの満足度を測ることは重要です。
また海外の検索エンジンにおいて上位表示を狙うなら、多言語化したウェブサイトを言語ごとにドメインURLを分けて管理するのが基本です。現時点の検索エンジンでは同一URLでの多言語化は本来の評価より順位が下がる懸念があります。
個別に結果を計測し分析するのは労力ですが、より高い成果を得るためには必要な業務と考えたほうが得策です。
✔ Step 9. テストを実施する
さまざまな試行が機能しているかどうかを確認する唯一の方法は、「テスト」を実施することです。テストを行うことで、十分なトラフィックを生成したのはどちらか、結果的にどちらが成果につながったかを確認します。
どちらが最適か を選定する場合は「A / Bテスト」を実施します。
「A / Bテスト」は、サイトの継続的な改善と成果の最大化に大きく貢献します。ただしテストする時には一度にすべての要素を盛り込むと正確な判断ができなくなるため、一つひとつ丁寧に検証するのがコツです。主には「見出し」「本文」「CTAボタン」「画像」などの要素がありますが、それらを複数実施するのではなく、個別にテストを行い最適なものを判断してください。
まとめ
グローバルサイト制作は時間・労力は必要です。しかしどの項目も非常に重要な内容であり、すべてを実施して初めて海外ユーザーに響くウェブサイトとなるでしょう。世界中でデジタル化が進む中、これから海外向けサイト制作に取り掛かる方も、既に海外向けサイトをお持ちの方も、先ほどご紹介した項目をチェックしながら、自社サイトを見直してみてはいかがでしょうか?
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。