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「YouTubeアルゴリズムが評価する、8つの指標」
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YouTubeアルゴリズムが評価する8つの指標
海外マーケティング施策の一つとして、海外向けに「動画」を活用する日本企業が増加しています。そして今後もその流れは加速し、ブランド強化のために「動画の活用」が必須の時代になろうとしています。世界中の数ある動画プラットフォームの中で、多くの企業が活用しているのが「YouTube」です。月間アクティブユーザーは20億人を超え、世界で2番目にトラフィックを獲得しているサイトであり、デジタルマーケティングの動画施策においても主要プラットフォームとなりました。
今回はYouTubeで上位表示させるために、マーケティング担当者が押さえておくべきYouTubeアルゴリズムの基本とアルゴリズムが評価する「8つの指標」をご紹介します。
YouTubeアルゴリズムの仕組みとは?
2018年Pew Research Centerの調査によると、「米国のYouTubeユーザーの81%がYouTubeアルゴリズムによって推奨された動画を定期的またはときどき視聴している」と答えています。YouTubeを視聴されたことのある方は、動画視聴後にYouTubeに推奨された動画をついつい見てしまい、視聴時間がどんどん伸びてしまったという方も多いのではないでしょうか?
これはYouTubeをマーケティング施策として戦略構築しているブランドにとって、「動画を推奨してもらうこと」が非常に重要であるとご理解いただけると思います。では、YouTubeが動画を推奨する仕組みをわかりやすく紐解いていきます。
<YouTube : 「 Deep Neural Networks for YouTube Recommendations」>
上記は2016年に発表されたYouTubeの「推奨動画」に関してのディープニューラル(深層学習)に関する研究論文です。この論文以降の公式ドキュメントは発表されていないため、この論文はYouTubeアルゴリズムを理解するためのベースラインとなっています。YouTubeのアルゴリズムの読解は非常に複雑とされており、攻略は困難を極めるといわれています。
まず、YouTubeを運用するうえで理解しておきたいポイントはYouTubeが「推奨動画」を決定するプロセスです。この決定プロセスは以下のような工程を辿ります。
- 動画のパフォーマンスを分析し、全ての動画にスコアを割り当て動画のランク付けを行う
- 視聴者の視聴履歴と類似ユーザーが視聴した内容に基づき、動画をユーザーと照合する
- 視聴者にあった動画を検討する(パーソナライゼーション)
このような工程を辿り、Youtubeに推奨されるには、「良い動画」ではなく、視聴者が「視聴したいと思われる動画」を一致させており、高いスコアリングを獲得した動画はYouTube側から幅広く推奨されるということになります。このことから、高いスコアリングを獲得することがYouTube施策成功のカギとなっています。
では、YouTubeアルゴリズムが動画のランク付けに使用する指標とはどのようなものなのでしょうか?
YouTube動画のランク付けに使用される8つの指標
YouTubeアルゴリズムが動画のランク付けに使用する指標を押さえることで、ターゲットとするユーザーに推奨されやすい動画を制作するためのヒントになるでしょう。
総再生時間
YouTubeの運営元であるGoogle社は2015年8月、「動画の総再生時間をランキングに反映させるアルゴリズムの特許」を取得しています。このシステムはユーザーに「長時間視聴される動画」は、検索結果のスコアを上げ、「短い時間視聴する傾向のある動画」はスコアを降格する場合があると述べています。
また「再生時間を使用して検索結果をランク付けするシステム」は、ユーザーの総再生時間が長いコンテンツを推奨することにより、サイトの使用率とユーザーエンゲージメントを向上させることもできます。」と述べられており、総再生時間はランク付けに大きな役割を果たすといえるでしょう。
“A system promoting search results using watch times can enable users to find more relevant and higher-quality search results, facilitates finding that may be overshadowed by less relevant resources found by other search methodologies, and can reduce the effort that users must exert to find the resources that they seek. A system using watch times to rank search results can also provide content providers with increased site usage and user engagement by promoting content having longer user watch times.”
< WATCH TIME BASED RANKING >
また、YouTubeの公式ページでも、動画の総再生時間は重要な指標であることを公表しています。
動画の長さ
コンテンツの質が高い同等の2つの動画であれば、「短い動画」よりも「長い動画」のほうがアルゴリズムでは評価が高くなります。これはYouTubeのクリエイターもブログや講演などで公式にアナウンスされているように、視聴時間を増やしてくれる動画をYouTube側は重視しているからです。
近年多くのマーケティング担当者はエンゲージメントを高めるために、「短編動画」に注力する傾向にありました。しかし、短編動画では企業が消費者にとってより良い関係構築を形成することは難しく、2017年には80%以上の動画が5分以内という短編動画に注力していましたが、結果として3%のエンゲージメントしか得られませんでした。この結果からも得られるように、「短い動画」では期待するエンゲージメントを得られず、評価スコアとしても低くなってしまいます。
実際、人気のあるキーワードを検索すると、検索結果で上位表示されている3分以内の短い動画を見つけることは難しいということがご理解いただけると思います。
<YouTube:「Digital marketing」検索結果>
チャンネル登録者数 × 視聴速度と成長率
YouTubeで動画を視聴していて、チャンネル登録を促すメッセージを目にすることがよくあるでしょう。これはチャンネル登録者数の成長率が現在のアルゴリズムに組み込まれており、チャンネル公開直後に動画を視聴したアクティブなチャンネル登録者数を測定し、公開された動画の視聴速度が速いほど動画のランクは高く評価されます。
チャンネル登録者はあなたのアップした動画を見てくれる可能性が高いため、登録者を増やす努力はとても大切です。多くの視聴者が見やすい時間帯に動画アップするなどの工夫をして、積極的にアプローチしましょう。しかし、チャンネルが作りたてで登録者数が少なかったとしても焦る必要はありません。チャンネル登録者数が少なかったとしても、アップしている動画が魅力的な内容であれば十分に評価を得られるでしょう。
チャンネル登録者数を増やす方法として、下記ブログでもご紹介しています。
視聴数増加の秘訣とは?!
「YouTubeビュー数を増やす12の方法」
高いエンゲージメント(コメント / 高評価 /シェア)
最新のYouTubeアルゴリズムでは、高いエンゲージメントを獲得する動画ほどスコアが高くなる傾向にあります。また、YouTubeもエンゲージメントを最大化する動画を推奨しています。
コメント数や高評価、シェアなどが多いということは視聴者からの反応が大きいということの証明であり、そのような動画は魅力的であると判断することができるからです。また、コメント欄には動画をより良いものとするためのヒントも隠れています。この部分を分析することで視聴者の反応を確認し、今後の動画コンテンツ制作に役立てましょう。
視聴回数
比較的近年まで動画がどれだけ多くの人に視聴されているか、つまり再生回数は以前こそ非常に重要な指標の一つとされていました。しかし現在のアルゴリズムでは、単に視聴回数が多いからといってスコアが高くなるわけではありません。
ここまで見てきたようにYouTubeは動画の質や満足度の高さなどの「エンゲージメント指数」を重要視するようになったからです。そのため、現在のランキングでは非常に多くの再生数を保持している動画よりも、再生数こそそこまで多くはないが品質が良い動画が上位になることが珍しくありません。とはいえ、ある程度一定数の視聴者が動画を視聴しないと、コメントや平均再生時間などといった動画の評価を左右するものを得ることは難しいでしょう。
クリック率/CTR「Click-through rate (CTR)」
CTRとは”Click-through rate”のことで、視聴者に表示された回数に対してのどれほどクリックされて閲覧されたかを表す数字になります。日本語で「クリック率」と呼ばれます。
YouTubeでは同じ動画をクリックして役立ったと感じた回数に基づき、最も関連性の高い動画を「類似ユーザーへ」推奨するため、必ずチェックしておくべき指標となります。
CTRは動画の第一印象を分析するのに役立ちます。多くの視聴者がサムネイルの第一印象によって視聴する動画を選んでおり、インパクトのあるサムネイルやタイトル、わかりやすい説明文などがクリック率に大きな影響を与えます。タイトルや説明文はできるだけ短く、かつキャッチーな内容にして、さらにサムネイルも動画の内容が一目でわかるように工夫すると良いでしょう。
しかし、クリック率は理解するのが非常に難しい指標です。というのは、クリック率は、表示された回数に対するクリックされた回数によって導き出される数字なので、その数値は「表示回数」によって大きく変動してしまうことも忘れてはいけません。
平均視聴時間 /AVD「Average view duration (AVD)」
AVDは「Average view duration (AVD)」の略で、1本の動画を視聴者が平均してどれだけの時間、視聴されているかを表しています。
たとえば同じ10分の動画Aと動画Bがあり、動画AのAVDは8分、動画BのAVDが3分だったとしましょう。この場合、動画Aはほとんどの視聴者が最後まで動画を見続けいていますから、質の高く面白い動画であるという評価が下されます。一方、動画Bの場合は多くの人が見始めてすぐに離脱しているため、動画としての評価は低くなります。タイトルやサムネイルを工夫しCTRを高めるだけでなく、高評価を得るためにはコンテンツの内容にも十分に配慮してAVDを上げていくことが必要となります。
先ほど紹介したクリック率と平均視聴時間をかけ合わせて動画分析のヒントをご紹介します。
キーワード「Keywords」
YouTubeの動画にはキーワードやタグを設定することができます。現在のアルゴリズムではメタデータを使うことなく動画の内容を判断しているので、キーワードやタグが動画の評価に直接的に大きな影響を与えることはありません。しかし、YouTube内検索においてキーワードは重要な役割を果たします。また、動画を視聴するかどうかを決めるのは人間であり、自分の興味のあるキーワードやタグの登録された動画を優先的に選ぶ傾向があるのも事実です。その結果、視聴回数やコメント数が増えれば動画の高評価にもつながるので、「キーワード」はランキングを決定する重要な要素であることには違いありません。
キーワードの効果的な活用方法は、動画に適したキーワードを1~2つ決定し、タイトル、サムネイル、説明でキーワードを繰り返し活用します。また、キーワードに関連した「関連キーワード」も忘れてはいけません。
以上がYouTubeアルゴリズムが推奨動画をスコアリングする際に評価する指標です。その他にも動画をアップロードする頻度や、視聴者のセッション時間なども影響を与えると言われています。また、タイトル、説明、タグを最適化し、動画SEOを実行することで優先順位が上がり、再生時間やコメントなどのエンゲージメントの増加という好循環が生まれてくるでしょう。
また「YouTubeはGoogleの一部である」ということも忘れてはいけません。
まとめ
今後ますます動画からのトラフィックが増加すると予想されている今、アルゴリズムを理解したうえでYouTubeを活用しましょう。海外ユーザーと交流を深めていくことで、着実にファンを増やすことが出来るでしょう。YouTubeを有効に活用するためにも、海外ユーザーの心に響く動画コンテンツを制作することが必要となります。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。