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2021年08月27日

B2Bリード種別「MQL・SQL・SAL」とは?
~グローバルBtoBマーケx営業のキホン~

BtoB企業のマーケティング部門にとって、最も重要な業務の1つは「見込み客(リード)の選別」です。

以前は優秀なセールスがいかに企業担当者と良好な関係を築き、セールスしか持ち得ない「秘密の情報」を用いて商談成立→受注に持ち込むかということが、B2Bビジネスの基本でした。しかし、、インターネットの発達により様々な優良な情報に誰もが簡単にアクセスできるようになったため、B2B企業の購買プロセスは非常に複雑に、そして時間のかかるものに変化しました。

そのため、リード/見込み客が購買ファネルのどの段階にいるのかを明確にし、「相手が購入の準備ができているのか」「果たしてそもそも購入する意思があるか」を正しく評価する必要が出てきたのです。

限られたリソースの有効活用は、ビジネスを次のステップへと導くための最善・最短の手段となります。そうしたなかで、B2Bマーケティングにおいて重要となるアプローチこそが「粒度に応じたリードの分類」であり、B2B企業のマーケティング活動を成功に結びつける最も重要なプロセスの1つです。

今回は、B2Bビジネス/マーケティングにおける3つのリード「MQL・SQL・SAL」を詳しく解説していきます。

 

B2B企業マーケティングに重要な「リードの分類」

B2Bマーケターがリードを選別するにあたり、そのリードに対して幾つかの質問点を確認します。

  • 自社のプロダクトを必要としているのか?
  • 購入を決定する権限を持っているか?
  • 購入する予算はあるのか?
  • 購入する準備ができているか?

これらのポイントをもとに、実際に顧客になり得る可能性の高いリードを見極めます。品質の見極めを行うことで、各リードに対して適切なアプローチを集中させ、最小工数で売上を最大化することをめざします。

自社の商品やサービスを購入する準備が整っている相手に対して優先的に対話ができる環境を作りだすことで、自社の営業チームが効率的な活動が出来るようになります。相手を知らずに闇雲に取引しようとするのは大きな誤りであり、顧客となり得る相手をみすみす逃すことも事業として手痛いミスです。

顧客によって営業態度を変えることは企業イメージのマイナスではないかと懸念する声もありますが、Researchscape International and Evergage Incの調査レポートによると、マーケティング担当者の98%がパーソナライズこそ顧客との関係を改善することに同意を示しています。10人中7人が、顧客の選別と個別対応によってロイヤルティとROIを向上させながら、より良い関係性を築くことができると主張しています。

 

リードの分類「MQL・SAL・SQL」

従来の営業活動は、Web広告やテレアポなどで見込み顧客情報を獲得し、五月雨式にアプローチするというものでした。それに対し近年ますます重要になっているのが「リードナーチャリング(育成)」では、集めたリードに対してメルマガやセミナー、ウェブコンテンツなど有益な情報を継続的に提供し、時間をかけてじっくりと顧客に育てていくという手段です。全体のリードのうち、見込み顧客の状態により峻別したものが「MQL・SAL・SQL」という3つのリードです。

check MQL

MQL(Marketing Qualified Lead)は、確度が高いリードのレベルになります。営業チームへ「渡すべきリード」と分類し、メールの開封率や行動履歴から関心度が高いと判断した場合は、マーケティング部署からセールス部署へと上げていきましょう。

check SAL

SAL(Sales Accepted Lead)は、マーケティング部署からからセールス部署へと上がってきたリードの中で、実際に営業担当があたるべきリードレベルです。マーケティング部門が関心度が高い見込み顧客であると判断し、「見込み有り」として上げたとしても、すべてが実際に営業対象であるとは限りません。実際の顧客として対応するためには、主にインサイドセールスがMQLに電話を掛けるなどしてアプローチし、実際の興味温度感を明らかにしたうえで、関心度を引き上げるなどの対応が必要です。

実際にコンタクトを行ったうえで興味段階を一段階引き上げるべきと営業が判断すれば、先方へ訪問するなどして実際の商談レベルへと上げていきます。

check SQL

SQL(Sales Qualified Lead)は、SALのうち営業が商談すべきと判断したリードであり、ここから実際に会社や商品・サービスの紹介、先方の課題ヒアリングなどを行うことになります。

ここでの商談で重要となる営業質問が「BANT」です。聞いたことがある方も多いと思いますが、B2B企業の営業において重要な基本のフレームワークであり、BANT分析を行うことでリードを以下の4つにセグメント化を行います。

・「Budget(予算)」は予算を表し、相手が自社の商品やサービスを導入するために、どれくらいの予算規模を想定しているかを意味します。金額をそのまま答える顧客はまずいませんが、可能な限り定量的に押さえておくことが重要です。

・「Authority(決裁権)」は決裁権限を表します。案件の最終決裁者が誰になるかを把握することで、起案者の動きを把握するテクニックです。決裁を受けるまでに相手企業内にどれくらいハードルがあるかが重要になってきます。

・「Needs(必要性)」は相手企業の組織としての必要性を表します。リードはニーズではなく「Wants(要望)」ばかりを主張することが非常に多いため、本質を見極めることが重要です。

・「Timeframe(導入時期)」は導入時期を意味します。スケジュールは特に決まっていないという回答も非常に多いですが、営業担当の側から具体的なマイルストーンを提示し、大枠のスケジュールを設定させることが必要です。

基本フレームでありながら網羅的な営業質問項目となっており、業種業態を問わず必ず活用できる内容となっています。

 

リード選別を正しく行うための3つのステップ

それでは具体的にどのようにリード選別を行っていくか、3つのステップで解説します。

check Step. 1

マーケティング部門が入手したリードに対し、メールマーケティングキャンペーンを立案し、実行します。たとえばまだ購入に至っていないリードをメーリングリストから選び、商品やサービスの期間限定無料トライアルにサインアップしてもらうなどといった企画が考えられます。

check Step. 2

メールマーケティングキャンペーンのオファーを利用したユーザーを対象に、2次的なメールマーケティングキャンペーンを実行します。ポイントはその実行タイミングで、先のトライアル期間が終了する2日程度前に配信し、アンケートへの回答を依頼するといった仕掛けを行うなど工夫が必要です。

アンケートの内容は自社の商品やサービスがニーズに合っているかどうかの評価とし、ユーザーが不満に感じるポイントを明らかにすることができます。

check Step. 3

Step. 2で回収したアンケートをもとにリードをセグメント化し、先述した「BANT分析」を行います。これを踏まえることで、営業チームは最も質の高いリードにコンタクトすることが可能となります。

この3つのステップを踏んでいくと、最終的にコンタクトすべき的確なリードは、ステップ1でターゲットと定めた数のほんの数パーセントに過ぎないかもしれません。期待していた数を大幅に下回り、意気消沈するかもしれませんが、重要なのはリードの「量」ではなく「質」です。

実際の取引相手になる可能性のない相手に、営業がいかに熱意を傾けても成果は得られません。そこに注力するよりも、たとえパーセンテージは低くても、実際に商品に興味を持ってくれている質の高いリードにアプローチしたほうが、コストを最大限活用できる営業手段となるのです。

 

まとめ

マーケティング活動で重要なのがリードの把握ですが、最も大切なことは適切にリードを選別し、リードの状況に応じて的確なタイミングや内容でアプローチすることです。リードのセグメント化については自社内の関係各所が共通認識を持ち、マーケティング部署と営業部署のミスコミュニケーションが起こらないようにすることが重要です。

今回ご紹介した「リードの分類」を念頭に置きながら、海外からお問い合わせ・有効なリードを獲得するためには、的確なグローバルマーケティング戦略・戦術が必要となります。言語・ノウハウ・リソースなどお困りのことがございましたら是非インフォキュービック・ジャパンにお声がけください!

海外WEBマーケティングバナー

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。