【製薬業界ウェブ担必見!】
秀逸な世界の製薬会社グローバルサイト5選
米国では、動物園での動物へのワクチン接種が開始され、イスラエルでは3回目のワクチン接種へ。一方、人権を最重視するスウェーデンでは制限を撤廃し、規制のない「新しい日常」へと移行するなど「ワクチン」に対する各国の対応はさまざま。
世界中で新型コロナウィルスに対するワクチン接種が議論されるなか、以前は聞いたこともなかった製薬会社の名前が日常に浸透し、接種する(かもしれない)ワクチンを提供している企業の名前をネットで検索された方も多いのではないでしょうか?
新型コロナウィルスの影響で外出制限が敷かれた際には、病院機能や薬局店などが停止したことにより、一時はマイナス成長だった製薬業界でしたが、オンライン診療・販売の世界的普及やワクチンの普及などにより好調な成長市場を取り戻しています。
そんな製薬業界でも、近年デジタルマーケティングに注力する企業が増加しています。新型コロナウィルスの影響もあり、普段の生活の中でも世界の製薬会社の名前を見聞きする機会が増えた昨今世界的な業界トレンドや最新技術の革新が垣間見える、「先進的な製薬業界のグローバルサイト」をご紹介します。
成長を続ける医薬品市場
Pharmaceuticals Global Market Report 2021:「COVID-19 Impact and Recovery to 2030」によると、世界の医薬品市場は2021年1兆2502億ドル(約138兆円)から2025年には1兆7009億ドル(約188兆円)規模に達すると予想されている超巨大市場です(ちなみに日本の市場規模は10兆~12兆円ほど)。2020年、最大の医薬品消費地は北米であり、市場シェアは46%。次に大きな消費地はアジア太平洋地域で市場シェアは25%で、最小の消費国はアフリカ諸国になっています。
<Proclinical : Who are the top 10 pharmaceutical companies in the world(2021) をもとにインフォキュービック・ジャパンにて作成>
現在、私たちの住む地球では高齢化が進んでおり、2021年世界の総人口は78億7500万人、総人口に対して65歳以上が占める割合は9.3%(2020年時点)です。さらに、39年後の2060年には総人口は101億5000万人を超え、そのうち高齢者が占める割合が17.8%まで上昇すると見込まれています。2060年、日本ではなんと「38%が高齢者」という人類未踏の領域になると予測されています。(内閣府:令和3年版高齢社会白書)
国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のGoal3「満たされるべき基本的人権・全ての人に健康と福祉を」で提唱されるように、今後半世紀で急速に高齢化が進展し、好むも好まざるも人生100年時代に到達する世界では「製薬・医療」は今後ますます注目すべき業界なのです。
学べる世界の製薬業界ウェブサイト5選!
Roche(ロッシュ)
スイス・バーゼルに本社を置くロッシュは、腫瘍学・免疫学・感染症・眼科・神経科学の分野において世界の製薬会社のトップランナーといえます。2021年に医薬品販売で世界最大の売上を上げています。
ロッシュのウェブサイトには「最先端の治療法・各国の医療課題・病気の発見方法・COIVD-19に関する知見」などのウェブコンテンツが豊富に用意されています。ウェブサイトは最小限のテキストと、美しく芸術的なイラスト画像を戦略的に配置しています。
左上のMenuをクリックすることにより表示されるサイトナビゲーションは必見です。非常に多くの「情報・機能」を必要とする複雑な製薬会社のウェブサイトですが、ユーザーにとって「シンプルでわかりやすい設計」を実現しています。ナビゲーションもテキストのみではなく、画像を用いて視覚的な補助線を設けることで、サイト訪問者が次に行うべきアクションをスムーズに示しています。デザイン性に優れ、美しさと使いやすさを追求したウェブサイトと言えるでしょう。
Moderna(モデルナ)
新型コロナワクチンで有名なモデルナは、遺伝情報を組み込むことによって、人の細胞自体を工場のように稼働させタンパク質を生成するmRNA技術に着目し、商用化を目的に2010年に創業されました。
情報量が多くなりがちな製薬業界のウェブサイトにおいて、コンテンツを最小限に抑え、情報を適切に配置しています。白を基調としたデザインに加えて、整理された情報によって、より清潔感のある洗練されたイメージを伝えることに成功しています。シンプルなデザインというだけでなく、世界初の革新的な技術である「mRNAとは一体何なのか?」という疑問に答えるコンテンツも用意されておりユーザビリティにも優れています。
また、複雑な薬学情報や専門家の見解などは、テキストではなく動画コンテンツを効果的に埋め込むことで、正確な情報を適切にユーザーに届けます。ユーザーとの信頼関係の構築に努めていることが伝わってきます。
Pfizer(ファイザー)
2021年に業界6位となったファイザーは、世界中でバイオ医療薬の研究・開発・製造・販売などを行う巨大製薬企業です。2020年、BioNTech社とともに新型コロナウィルスのワクチン開発に世界で初めて成功し、同社の地位を大きく押し上げることとなりました。
ウェブサイトには高画質な画像とともに「バイオ医療業界の最新のノウハウ」や「同社のビジョン」「働く人々を紹介するコンテンツ」など豊富な情報を用意しており、ユーザーとの信頼関係構築に努めていることが伝わってきます。シンプルでわかりやすいナビゲーション設計でサイトを訪れたユーザーが求める情報へと適切に誘導できるサイト設計になっています。
また、注目すべきは言語化ですが、英語・スペイン語・中国語など主要言語はもちろんヘブライ語・チェコ語・クロアチア語など70カ国の国に対応しており、言語の壁を越えて、どの国であっても安心して情報を受け取ることができるウェブサイトになっています。
Novartis(ノバルティス)
スイスの多国籍製薬企業であり250年以上にわたり世界155カ国で事業を展開。革新的な医薬品・ジェネリック医薬品・バイオシミラー医薬品を提供してきたノバルティスは、2021年医療業界で2位の売り上げを記録しています。
ノバルティスのウェブサイトは「シンプルでわかりやすいナビゲーション設計」を徹底しています。安心感を伝える高クオリティな画像がウェブサイト上部のヘッダー部分に配置され、適切にCTAボタンを配置することで、サイト訪問者が次に行うべきアクションをスムーズに示します。
また、ノバルティスのウェブサイトはユーザースキャン行動を促す「Zパターン」に従って設計されています。ウェブサイトを訪れたユーザーは、左から右、上から下へと目を動かします。一般的に人間の視覚パターンとして「F字型」と「Z字型」が存在しており、少ない文章と画像などシンプルなデザインで有効的に機能するデザインを戦略的に構築しています。
また、ノバルティスのウェブサイトには「ESG」専用のページを設けており、持続可能な企業活動、雇用、社会との関係性、環境活動など、企業の姿勢と活動を世界へ的確に発信し続けています。
Merck & Co(メルク・アンド・カンパニー)
アメリカに本社を置くメルク社は1891年に設立され、糖尿病や癌の治療薬・ワクチン・動物医療薬など様々な分野に注力しています。メルク社は製薬会社ランキングの常に上位10位以内にランクインしています。
メルク社のウェブサイトは一般的な製薬会社のウェブサイトとは一線を画しており、非常にユニークなコンテンツが用意されています。ウェブサイト全体に「従業員の多様性・企業の理念・価値観・文化・従業員のキャリア」など、企業の方針やビジョンを伝えるコンテンツが充実しており、「企業理念」や「企業としての社会的責任」を明確に伝えることに成功してます。多くのコンテンツに実際に働く社員などが登場することで、人間味のある親近感のわくウェブサイトになっています。また、ウェブデザインにおいても余白やカラー配色、目に留まるCTAなどが戦略的に設計されていることが見てわかります。
Q&Aセクションでは非常に多くの質問に回答しており、企業理念や価値観を伝えるだけでなく、サイトを訪れたユーザーの不安・悩みを解消するなど、企業への信頼感を醸成しています。
さいごに
それぞれ優れた製薬会社のウェブサイトには特徴があり、ユーザーの心を捉える仕組みが戦略的に構築されています。ユーザビリティに優れたナビゲーション、分かりやすいサイト構造、明確なブランディング、多言語化…現在のパンデミックにより世界中から製薬業界への注目が集まるなか、ユーザーに対して柔軟に情報を届けることができるグローバルサイトは必須ともいえます。
そのうえで、日本はもとより世界のユーザーに対して「確かなメッセージ」を届ける多言語ウェブサイト構築でお困りでしたら、ぜひ私たちにお申し付けください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。