企業を強くする「組織文化」の重要性
~組織文化を構築するメリット~
Google・Facebook・Apple・Netflix・Salesforce・Starbucksなど、世界を牽引するグローバル企業には優れた「組織文化」が存在します。
組織文化とは、「従業員の仕事に対する満足度」を最大化し、高いパフォーマンスを引き出す上で重要な役割を果たすことが知られています。新型コロナの影響により、働き方やコミュニケーションが根本的に変化したいま、組織文化の構築(もしくは再構築)は、世界中の企業にとって大きな課題となっています。
今回は、アフターコロナ時代における「組織文化の重要性」について、グローバル企業の事例や組織文化が与える影響などを踏まえてご紹介していきます。
1.「組織文化」とは?
「組織文化」とは、事業部や部門などにおいて「従業員の行動指針となる価値観、信念、規範や習慣」などを指します。米国経済雑誌Forbesでは、組織文化を「職場の人々が共有する価値観、信念、態度など、一連の前提条件のもとで組織を取り巻く環境」と表現しています。
組織文化を明確に定義することは難しいですが、書面による動労規則のようなものではなく、働く人が仕事を通じて実感する「職場の雰囲気」という言葉で表現されたりします。どの企業であっても事業部や部門などにはそれぞれ独自の個性や雰囲気が存在し、多くの場合その場所で働く人々の生い立ち、社会的・文化的背景などの”個性”に依存して形成される場合がほとんどです。
優れた組織文化は、チームワークが高まり、生産性と効率の向上などのポジティブな特性が現れる一方、上手く機能していない組織文化の場合、どれだけ優れた戦略と人材が揃っていても、ビジネスのあらゆる面にネガティブな影響を与えることがわかっています。
2.なぜ、組織文化が重要性なのか?
組織文化はビジネスのあらゆる側面に影響を与えることがわかっています。組織文化が従業員へと浸透している場合、従業員は周りからサポートされ、評価されていると感じ、困難に直面した場合やビジネス環境の変化などを柔軟に乗り越え、より強くしなやかな組織となる可能性があります。
新型コロナをきっかけに、世界中の企業がリモートワークやハイブリットワークなどへの移行が進み、従業員の職場環境は大きく変化しました。対面で人と人が会うことが難しくなり、リモートワークで自宅で一人で黙々とする仕事、同僚との会話はビデオ会議ばかり。これでは仕事のパフォーマンスはもちろん、企業全体の士気の低下に繋がってしまいます。
企業が率先して「組織文化の構築」に注力することは、どこにいても安心して仕事に取組み、刺激を受け、最前線で仕事に取り組める環境を生み出し、結果としてパフォーマンスが向上します。
経営思想家で「経営学の父」であるピーター・ドラッカーも、「最高の戦略と優秀な人材がいても文化が構築されていなければ組織が十分に機能しないこと」を明言しています。
3.企業を強くする「組織文化」構築のメリット
組織文化を戦略的に構築することは、組織のパフォーマンスと大きく関連していることがわかっています。具体的にどのような影響があるのでしょうか? 見ていきましょう。
より良い組織文化は従業員のモチベーションを高める
組織文化は従業員の生産性の重要な推進力の1つであり、企業規模に関わらずどの組織であっても、ビジネスの成長を加速させる上で必要な役割を果たします。
ポジティブで協力的な職場では、心理的安全のなかで仕事に邁進でき、気分や集中力を高めることができます。モチベーションを高める要因は人によって異なりますが、人は自分が受け入れられていると感じると、「意欲や幸福感」を感じ積極的に挑戦をするようになり、より早い成長を実現することへと繋がります。
職場の文化はパフォーマンスに影響を与え、最終的には企業の利益に影響をもたらします。実際にオックスフォード大学とエラスムス・ロッテルダム大学の共同研究によると、幸福を感じながら働く環境下では生産性が13%も向上するという結果がわかっています。
組織全体の一体感を生み出すことができる
企業規模が大きくなればなるほど、組織全体をまとめることが困難になってきます。特に異なる世代が同じ組織で働く場合に生じる誤解や対立は、組織をまとめるリーダーたちの頭を悩ませる原因の1つとなっています。
ミレニアル世代は、ベビーブーマー世代を時代遅れの頑固者と思っているかもしれません。また、X世代はミレニアル世代を怠け者と思っているかもしれませんし、ベビーブーマー世代はミレニアル世代が定時ぴったりに退社して、サーフィンやVR、瞑想などを行っているのを見て驚愕しています。
世代間での価値観の違いや不要な固定観念は人との繋がりやチームとしての一体感を妨げ、組織の分断を引き起こす可能性があります。
強固な組織文化は、従業員の間に共同体の感覚と一体感を植え付けるのに役立ち、組織全体の統一感を生み出すことができます。また、そのような組織文化の中では従業員の間だけでなく、従業員と経営層との間にも一体感を生み出すことに役立ち、企業全体の一体感をも創出します。
定着率を高める
組織文化は組織で働く人々をより強固に結びつけることが出来ます。
従業員が組織の文化に馴染み快適に働くことができれば自然とその組織に留まる可能性が高くなります。また、自分が企業の歯車の1つではなく、コミュニティの一員と感じることで、ビジネスへの貢献度も高くなっていきます。
また、「Mission & Culture Survey 2019」がアメリカ・イギリス・フランス・ドイツの4カ国を対象に実施した調査では、調査対象者の4分の3(77%)は、企業に応募する以前に「文化」を重視していると回答しています。また、Achieversのレポートにおいても、約3分の2である65%は「仕事を続ける主な理由の1つが組織文化である」との回答からも、組織文化は従業員の満足度の主要な指標の1つであると言えるでしょう。
そのため、世界中の先進的な企業の多くが、組織文化の構築とともに多様な人々が互いに個性を認め、一体感を持って働ける環境作りを積極的に推進しています。
仕事の満足度を高めることができる
組織文化と職場環境は、仕事への満足度に大きく関与していることがわかっています。先述したように優れた組織文化は、組織全体の一体感を生みます。従業員は安心できる環境で、自分が評価され、尊重されていると感じると、モチベーションを高め最高のパフォーマンスを発揮することが出来ます。
CRMのマーケットリーダーであるSalesforceは、独自の企業文化「Ohana」は、組織全体での社員の幸福度を高める重要な役割を果たしています。従業員やその家族・顧客や取引先・地元地域を互いに「家族の一員」として捉え、お互いを積極的に助け合う文化を創出し、組織全体の満足度や幸福度を最大化することに重点を置いています。
企業に関わる全ての人を家族として尊重し、互いに信頼感を高め、両者の絆を強めます。その結果、従業員のパフォーマンスが向上し、仕事に対する満足度や従業員の幸福度が自然と高まるのです。
組織が従業員の貢献を評価し、誰もが愛され、評価されていると感じられる組織文化を作り出すことによって信頼を築くことができれば、従業員の幸福度は高まり、ビジネス全体がより一層強固なものになっていくでしょう。
さいごに
SDGsや多様性を重視するトレンド後押しもあり、世界中のグローバル企業が「組織文化」を重要視しています。組織文化は長い年月をかけて創造されるものであり、その構築は容易ではありません。
新型コロナの影響でリモートワークが推進され、働き方が大きく変化するなかで従業員の意欲をどう維持するか、パフォーマンスを向上させるためにどうすればよいかを再考する時期に来ています。この不確実な時代を乗り越えるためにも、自社独自のレジリエントな「組織文化」を構築することは、必要不可欠なのではないでしょうか?
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吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。