ユーザー心理を満たすウェブサイトに必要な「8つの質問」
ユーザー離脱まで、たったの10秒!
魅力的な多言語ウェブサイトを制作するには、デザインはもちろん、レイアウト・ナビゲーション・コンテンツ・ユーザーエクスペリエンス・ロゴ・配色などは全て、必要不可欠な要素たちです。適切な視覚的アプローチは、顧客をウェブサイトに留まらせ、心を捉えて行動を促し、あっという間にコンバージョンまで導いていきます。ウェブサイトは商品やサービスはもちろんのこと、企業の「ブランド・品質・企業理念」などを伝え、ユーザーの心を動かし、有効なリードを生み出す重要なツールなのです。
ましては、コロナ禍真っ只中。海外に出向くこともできず、展示会もオンライン。お客様に電話しても「リモートワーク中ですね~」と冷たくあしらわれ、お客様との接点も完全にデジタル上へと移動してしまったこんな時代。
そう、「ウェブサイト」の重要性は日に日に増すばかりです。
しかしその一方で、「ウェブサイトを訪れるユーザーの55%は、滞在時間がたった15秒未満」ということをご存じでしょうか?
多くのユーザーはウェブサイト訪問後、早々にそのサイトを「離脱」をしてしまっているのです。
Microsoft ResearchのChaoLiu氏とRyen W. White氏らが実施した「ウェブページからの離脱について」の研究(20億以上のページ滞在時間を分析)の結果、ユーザーがページを訪問した最初の10秒間が「滞在 or 離脱」の非常に重要な分岐点になることがわかりました。
この研究結果でもわかるように、ユーザーを惹きつけ、サイト内に留まってもらうには、ユーザーがサイトを訪れてから最初の「10~20秒」という非常に短い時間が、まさに「勝負」なのです。
いくら大金を払ってインパクトのあるウェブサイトを作っても、リッチなコンテンツを豊富に詰め込んでも、SNSから多くのユーザーを連れてくることができても、結局のところ「ユーザー心理を満たし、心を動かすこと」が出来なければ、ビジネスは全く成立しないのです。
そこで今回は、海外向けサイト制作を検討しているマーケターの皆さんはもちろん、既に海外サイトを運営しているマーケターの皆様に向けて、サイト訪問時にユーザーが考える「8つの質問」をご紹介します。サイトを訪問した際のユーザー心理を想像して、ぜひ、自社サイトを見直してみてください。
ユーザー心理を満たすウェブサイト「8つの質問」
質問1:「あなたの製品やサービスは何ですか?」
ウェブサイトを訪れたユーザーは、あなたの製品やサービスがどういったものなのかをまず知りたいと思っています。ウェブサイトをクリックしてページが開いたその瞬間に、製品やサービスに対して一切の疑問が入らないようにしましょう。
どういった製品やサービスを提供しているのかをわかりやすく一目で理解できるように、画像、動画、コピー文などをファーストビューに配置しましょう。
Zendesk.comクラウド型カスタマーサービスプラットフォームを提供しているZendeskのウェブサイトは、彼らがどのようなサービスを提供しているかを一目でわかるTOPページを採用しています。
ページを一切スクロールしなくてもどんな製品やサービスを提供しているかを理解できるようになっていますか?
質問2:「どんな課題を解決してくれるの?」
ユーザーがあなたのビジネスについて理解した後は、このサイトが「自分にとってどのようなメリットがあるか」、「自分の課題をどのように解決してくれるか」という疑問を解決しましょう。
サービスや商品の購入を検討するユーザーは、何かしらの「悩み」を抱え、その悩みを解決してくれる製品を探しています。そのためウェブサイト上でも、「ユーザーが抱えている課題は何で、どのように解決に導いてくれるのか」「その解決をすることでユーザーにどのようなベネフィットがあるのか」について伝える必要があります。
ここでは、「バリュープロジション/ Value Proposition」つまり、「ユーザーがこの商品を買う理由、利点」を明確に伝えましょう。
これは、Appleの「Think Diffrent」やNikeの「Just Do It」といった“スローガン”ではありません。また、Nikeの「”At Nike, we’re committed to creating a better, more sustainable future for our people, planet, and communities through the power of sport.”/ナイキは、スポーツの力を通じて、人々・地球、そしてコミュニティのために、より良い、より持続可能な未来を創造することに取り組んでいます」といった「ポジショニング・ステートメント/Positioning Statement」とも異なります。
質問3:「いくらかかりますか?」
あなたの商品やサービスが何か、それを利用するとどのようなメリットがあるかを明確に理解したあとは、やはりユーザーはその製品を利用すると「いくらかかるのか」を知りたいと感じるはずです。
しかし、必ずしも価格表をサイトに表示する必要はありません。ユーザーが簡単に価格情報を見つけられるようにしましょう。クリック一つで、価格設定ページにたどり着き、どのような選択肢が利用可能なのかを即座に提供できるようにしましょう。
質問4:「本当に信頼してダイジョブ?」
“信頼”はあらゆる人間関係の始まりです。
ウェブ上でのビジネスを展開する上で、忘れてはいけないのが「相手の顔が見えない」ということです。ユーザーは、顔のわからない相手を信頼していいかどうかをウェブサイトから判断することになります。少なくとも基本的なレベルの信頼を確立する必要があります。
ではウェブサイトでユーザーの信頼を得るためにはどうすればいいのでしょうか?
信頼を高めるための要素は以下の7つです。
- 安全なウェブサイトか
- プロフェッショナルなサイトかどうか
- お客様の声や事例コンテンツはあるか
- 企業情報ページは信頼できるものか
- 住所は電話番号が記載されているか
- サービスや商品の返品やサポートは対応できるのか
- 資格認定などの認定マークの掲載はあるか
また、SSL化がされていなかったり、レスポンシブ対応されていないなどウェブサイトの機能も信用に大きく影響するので対応が必要になります。
質問5:「他社との違いは?」
あなたのサービスや製品を選んでもらうためには「差別化」が必要です。
ただ、あらゆるサービスや製品が多くのユーザーに認知されやすくなった現在では、インターネット上で、競合他社がひしめき合い多くの業界で飽和状態になっています。特に海外ではそのような傾向が強く見られます。
だからこそ、独自のブランド・アイデンティティを明確に示すことが重要になります。
“企業がもつ独自の個性”は、サービスや製品に限ったことではありません。企業理念や文化や価値観や社会性のある取り組みなど、独自の個性がより企業の方針と一貫性のあるものであれば、ユーザーはあなたのサービスや製品をより魅力的なものとして見てくれるでしょう。
Magnetica.com オーストラリア発、医療系OEMサービスを提供するMagneticaは、病院などで使用するMRIをグローバルに提供しています。このオリジナリティ、破壊的です。ぜひ、ウェブサイトを訪れてみてください。
競合ひしめく飽和状態の業界であっても、長年堅苦しいイメージを持つ業界であっても、多くのユーザーは企業の価値観やブランドストーリー、歴史、そこで働くチームメンバーなどについて少しでも知りたいと思っています。
質問6:「このサイトは使いやすい?」
サイトを訪れたユーザーは数秒のうちに自分が今どこにいるかを把握できる必要があります。わかりにくいナビゲーションは、ユーザーの離脱に大きく影響します。
特にB2B企業のウェブサイトでは、多くの無意味なナビゲーションや、複雑すぎて作業が困難なナビゲーションを見かけることがあります。サイトのナビゲーションは、ユーザーが適切なコンテンツに簡単にたどり着けるよう設計されていなければなりません。レイアウトにおいて一番重要な点は、閲覧時にユーザーが意思決定に必要なものに焦点が当てられていることが重要になります。
Quicksprout.com 様々な商品やサービスを提供しているQuicksproutは、顧客が迷うことなく目的地にたどり着けるよう非常にわかりやすい導線設計がされています。
質問7:「他にどんな人が使ってる?」
B2CであってもB2Bであっても、口コミが大きな影響力を持つことは、皆さんもご周知の通りです。これは海外市場でも同じことですが、海外では社会的信用がより強く求められる傾向があります。
B2Bビジネスであっても導入事例などの「実績」が掲載されているのといないのとでは大きな差が生まれるように、「口コミ」がユーザーの背中を後押しする重要な要素であることは間違いありません。
質問8:「どこに連絡すればいいの?」
これはユーザーが最も重要視している質問の1つです。
「何かトラブルが発生した際は、すぐに連絡ができるだろうか?」
「それは、ウェブサイト上ですぐに見つけることができるだろうか?」
連絡する必要があるのも関わらず、会社情報をやお問い合わせ先を見つけるのに苦労することは、単純に不安になったり、イライラしてしまいます。
さいごに
いずれもシンプルかつ、基本的な「質問」ですが、どんなときも、サイトを訪れてくれるユーザーの心理に寄り添うこと、相手の立場に立って考えることは、ユーザーの離脱を防ぎ、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することへと繋がります。
グローバルサイト制作には時間・労力が必要です。どの項目も非常に重要な内容であり、すべてを実施して初めて海外ユーザーに響くウェブサイトとなるでしょう。世界中でデジタル化が進む中、これから海外向けサイト制作に取り掛かる方も、既に海外向けサイトをお持ちの方も、先ほどご紹介した項目をチェックしながら、自社サイトを見直してみてはいかがでしょうか?
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。