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理論的に学ぶ
2022年04月19日

多言語サイトリニューアル、チェックリスト
~タイミングや注意点を知ろう~

サイトリニューアル時の注意点やチェックリスト

新しいウェブサイトの立ち上げやサイトリニューアルには、デザイン、レイアウト・ナビゲーション・含めるコンテンツ・ブランドロゴ・配色…など、非常に多くの工数がかかります。それが、多言語サイトであれば、対象となる国や地域の価値観や嗜好性に配慮する必要もありますし、「言語」の壁を越えたコミュニケーションを可能にするウェブサイトでなければなりません。

複雑なナビゲーションは、ユーザーにフラストレーションを与えてしまいます。質問項目の多いフォームはリードが失われる可能性がありますし、読み込み時間がかかれば離脱に繋がります。デジタル化が進む現在では、ビジネスにおけるウェブサイトの存在は、ブランドイメージに直結し、ウェブサイトが企業のマーケティング戦略に大きな役割を果たしています。

「サイトでストレスを感じて離脱したユーザーの88%は、ウェブサイトには戻ってこない」という調査レポートがあるほど、ウェブサイトは売上・成果に直結しています。

ウェブサイトリニューアルは、ブランドイメージをリフレッシュさせ、UXを向上させ、コンバージョンを増やす絶好の機会となります。今回は、多言語ウェブサイトのリニューアルを効率的に成功させ、将来の成功に繋がる多言語ウェブサイトを構築nのため、サイトリニューアル前に確認しておきたい注意点や・リニューアル前・中・後に確認しておきたいチェックリストをまとめました。

既に、多言語サイトを運営している方や今後リニューアルを検討している方、既にサイトリニューアルを実施した方はぜひ、参考にしてみてください!

 

サイトリニューアルのベストタイミングは?

サイトリニューアル時の注意点やチェックリスト

ウェブサイトの平均寿命は、業界や企業によって大きく異なりますが、アメリカ、シカゴにあるウェブ開発会社Orbitは、Alexaの「マーケティング」にカテゴライズされたウェブサイトの上位200社を分析した結果、ウェブサイトの平均寿命は「2年6か月27日」だったそうです。

このサイトリニューアルのタイミングは、全ての企業にも当てはまるわけではありません。代理店に聞いてみると「1.5年~2年ぐらいで…」と言われるでしょうし、デザイナーは「1年ぐらい」と回答するかもしれません。ソフトウェア関係者に聞くと「5年は大丈夫でしょう」と言われる可能性もあります。

サイトリニューアルのタイミングは、ビジネスや業界の変化、顧客行動やトレンドの変化やテクノロジーの変化などの「外部要因」、ブランド刷新や新商品のリリース、経営戦略の変更などの「内部要因」などを考慮する必要があり、企業によってタイミングはそれぞれ異なります。

しかし、ウェブサイトのリニューアルが必要かどうかを判断するための指標ははいくつか存在していますので、必ずチェックしておく必要はあります。

 

見逃してはいけない「サイトリニューアルの兆候」

サイトリニューアル時の注意点やチェックリスト

サイトリニューアルの指標は、こちらのブログで詳しくご紹介していますので、今回は箇条書きでご紹介していきます。

担当者の方は、自社のウェブサイトを見ながら是非確認してみてください。

check 新しいコンテンツを1か月以上追加していない

check ウェブサイトを最後に更新した時期を覚えていない

check モバイル端末で自社サイトが正しく表示されていない

check「安全ではありません」と通知が表示される

check サイトデザインは”直感”に頼って構築した

check フォントや画像が古臭い

check 安定的にウェブサイト経由のリード獲得ができていない

ドキッとした担当者の方は、是非、お気軽にご相談ください。

 

サイトリニューアル前に確認すべき「3つの注意点」

サイトリニューアル時の注意点やチェックリスト 2 (1)

「多言語ウェブサイトの構築」は、国内向けウェブサイトの構築と比較しても圧倒的に工数が多く、非常に大がかりなプロジェクトになってしまいます。実際に多言語ウェブサイトのリニューアルをスムーズに行うために、事前に確認しておきたい注意点をご紹介します。

check 単語量を事前にチェック✓

日本語テキストを別の言語に翻訳すると、「単語や文章が元の言語よりも長くなってしまう」ということが発生します。言語増幅(Word Growth)と呼ばれるこの事象は、元の言語よりも20%~45%のスペースを更に必要としてしまうことがあります。この言語増幅により、元々のウェブサイトのデザインが壊れ、UXが損なわれてしまう、なんてことも起こってしまいます。

翻訳されたテキストが英語に割り当てられたスペースを超えて表示され、メニュー、画像キャプション、ボタン等のデザイン要素が崩れてしまいます。また、バランス悪くヘッドラインが表示されてしまうといった、他のデザイン要素と一貫性が保てないという問題が発生してしまいます。

こうした問題に対処するために、多言語サイトをリニューアルする際は事前に計画を立てて言語増幅(Word Growth)に対応できるよう、ウェブサイトのレイアウトとテンプレートを構築するようにします。具体的には、word-wrapというCSSのプロパティを使用するようにします。また、画像上にテキストを重ねている場合には、パディング領域(padding)に十分なスペースを設けることで、単語がどのような長さでも対応できるように準備しておきます。

check 画像とテキストを分離する✓

画像やテキストなど、見栄えの良いコンテンツに溢れたウェブサイトは、一目でユーザーを魅了します。しかし、「テキストの翻訳」は基本的な原則に従うことが重要です。つまり、画像内にテキストを埋め込むのではなく、画像とテキストは切り離すようにします。画像として埋め込まれているテキストは、時として翻訳されず、結果として複数の言語が混在していて見栄えの良くない多言語ウェブサイトになってしまうので注意が必要です。

画像とテキストを切り離すと画像のみを後から差し替えることができ、デザイナーが改めて翻訳しなおす手間を省くことができます。更に翻訳されたテキストは検索エンジンによってインデックスされるため、SEO効果を高め、ユーザーがウェブサイトを見つけやすくするメリットもあります。

check ローカライズする✓

どの国々のユーザーもウェブサイトを訪れた際に、違和感の無いUXが提供されることを期待しています。ユーザーが普段使用している言語を表示し、国や地域に応じたコンテンツを提供することによって、自社ブランドを他社よりも”優位な立場”に置き、更にユニーク且つパーソナライズ化された体験をユーザーに提供することができます。

ユーザーがウェブサイトを通じて、よく目にする「トランザクションコンテンツ」も翻訳対象となりますので、忘れないようにしましょう。トランザクションコンテンツとは、ポップアップで表示されるメッセージや通貨、寸法の単位、支払い情報等を指します。こうした情報は後回しになりがちですが、優れたUX体験を提供するためには、ユーザーの言語に応じて表示できるようにしておく必要があります。

更に、ウェブサイト上のユーザー行動などの情報をデーターベースに収集する際にも、複数言語で対応できるようにしましょう。それによって、自社のマーケティングチームや営業チーム、カスタマーサポートチームがそれらの情報を有効に活用することができるようになります。

 

成果に繋がる「多言語サイトリニューアル、チェックリスト」

サイトリニューアル時の注意点やチェックリスト

サイトリニューアルを成功させるために、サイトリニューアル前・中・後にチェックしておくべきチェックリストをご紹介します。各プロジェクトの概要によっては異なる場合がありますが、下記の項目はサイト構築時のガイドラインとなるはずです。

check 既存サイトの情報を整理する

サイトリニューアルに取り掛かる前に、現在のウェブサイトの現状を整理しておきましょう。

  • 新しいウェブサイトに引き継ぎたいコンテンツは?
  • どのページが一番訪問者数が多いですか?
  • 各ページのユニークユーザー数・直帰率・滞在時間はどのぐらいでしょうか?
  • 各ページの獲得キーワードは?

など、実際に現状のウェブサイトにおけるどこの指標に問題があり、どこを改善する必要があるのかなどを明確にしておくことで、リニューアルの正しい筋道となってくれるはずです。

 

check 目標を設定する

新しくリニューアルするウェブサイトに焦点を当てます。新しいウェブサイトを立ち上げるにあたり「どのようなデザインにするか」ではなく、新しくリニューアルしたウェブサイトで「どのようなことを実現するか」を明確に定義していきます。

目標を設定するときの重要なポイントは「誰が見ても明確な目標であること」です。目標を明確にすることによって戦略を評価することができますし、ビジョンが明確化され、ブレないサイト運営を実現します。

以下のSMARTというフレームワークを使用しましょう。

  • Specific:目標を具体的(Specific)に設定することによって、何を達成すべきか、達成するために何を活用すべきか、を明確にします。
  • Measurable:目標は定量的・定性的に測定できる(Measurable)ように設定します。これによって目標を達成できたかどうかが明確になります。
  • Attainable:目標はチャレンジングであると同時に達成できる(Attainable)ように設定します。チャレンジングな目標を設定することで現状の課題点と取るべきステップが明確にします。
  • Relevant:達成しようとしている目標が自社にとって価値のある(Relevant)ものかどうか吟味します。
  • Time-Bound:全ての目標には必要とすべきタスクのタイムライン(Time-Bound)があります。目標を達成するための現実的なタイムラインを敷くことが重要です。

check ペルソナを定義する

ペルソナとは、ターゲットとするユーザーを具体的に描写したユーザー像のことです。このペルソナは架空に設定をしていきますが、既存の顧客や自社が狙いたいユーザー像などに基づいて、年齢・性別・職業・家族構成・価値観・嗜好・行動特性などを、詳細な調査に基づいて設定していきます。

ペルソナ像をより具体的・明確にすることで、サイトリニューアルの設計段階での共通した人物像を作り、ペルソナのニーズを満たすサイト設計に繋がります。また、サイトリニューアル後のブランドメッセージの発信、広告コンテンツや選択するソーシャルチャネルなど、全てのものに一貫性を保つことが可能となります。

 

checkコーポレートブランディング・企業メッセージを再定義する

Webサイトをリニューアルする前に、自社ブランドが独自に持っているメッセージやポジショニングが何であるかを改めて明確に落とし込みましょう。

製品やサービス以外の部分で、企業の社会的価値や存在意義、企業ストーリー、ビジョンなど自分たちが一体何者でるかといった「コーポレート・アイデンティティ(CI)」を明確に提示する必要があります。

コーポレートアイデンティティ(CI)を明確にすることで、新しくリニューアルしたウェブサイトはもちろんのこと、広告やソーシャルメディア、コンテンツなどのマーケティング戦略にも組み込まれることにより、施策の効果をより一層高める効果を期待できます。

ブランドの一貫性を保つことによって、サイトを訪れたユーザーに対して自社が「何を提供しているのか」を明確に伝えることができます。

 

check タイムスケジュールを確認しておく

多言語サイトのリニューアルは、規模や範囲に関わらず、全てのタスクを可視化し、常に現在地を把握できるようにしておく必要があります。

プロジェクトに関わる全てのメンバーが連携できるように、作成するカレンダーには役割と責任、期日を記載するようにしておきましょう。フェーズごとにマイルストーンを設定して、目標を達成しながら次のフェーズへと進んでいけるように設計します。

プロジェクトの規模によってスケジュールは大きく異なりますが、大まかなタイムラインは以下の日程を想定しておきましょう。

  • 戦略設計・計画:2週間~10週間
  • デザイン:4週間~12週間
  • コンテンツ制作・構築:5週間~15週間
  • 開発・プログラミング:5週間~15週間
  • ベータテスト・フィードバック:2週間~4週間
  • サイト立ち上げ:1日~1週間
  • メンテナンス:必要期間

 

check 自社にベストなCMS(コンテンツ管理システム)を選ぶ

ウェブサイトリニューアルに取り掛かる前に、利用したいCMS(コンテンツ管理システム)を選定します。選定したCMSはWebサイトのデザインや機能にも影響しますので吟味が必要です。CMSには最も広く活用されているWordPressはもちろんのこと、海外ではDrupalやOptimizelyというCMSが多く利用されています。

以下は、ウェブサイトで利用されているCMSの割合を示したものです。(W3Techs-Usage statistics of content management systems)

  • WordPress  ‐ 43.0%
  • Shopify - 4.3%
  • Wix ‐ 7.03%
  • Squarespace ‐ 2.0%
  • Joomla ‐ 1.7%
  • Drupal ‐ 1.3%
  • Ad0be System ‐ 1.1% 

check コピーの洗い出し

多言語での新しいコンテンツの作成や既存コンテンツの多言語化には思った以上に時間や労力がかかりますが、優れたデザインと同様、最適化された「良質なコンテンツ」はウェブサイトをより際立たせることができます。

既存サイトからの移植コンテンツのピックアップはもちろん、キーとなるメッセージや、CTAコピー、テキストの編集、見出し、説明文、タグの作成などを実施します。このプロセスは通常のウェブサイト制作と同様の作業になりますが、多言語サイトリニューアルでポイントとなるのが、なんと言ってもやはり「言語」です。

多言語ウェブサイトの「翻訳」は、顧客の信頼の向上・アクセシビリティ・ユーザーエクスペリエンスの向上など、大きなメリットをもたらします。自社で実施する場合は、「顧客が話す言語」で翻訳されているかどうかを調査し、スペルや文法の間違いを防ぐため、少なくとも二人以上のメンバーで校正するようにしましょう。

 

check サイトマップを作成する

サイトマップはWebサイトの構造を俯瞰する際に便利なツールです。Webサイトリニューアルの際にサイトマップを作成する目的は大きく2つあります。一つ目は、サイト構造が自社の戦略に準拠しているかどうかを分析できるようにするためです。二つ目は、将来新しい改修を実施する際の参考ドキュメントとするためです。サイトマップは、SEOランキングの向上や検索エンジンをクロールしやすくするメリットがあります。

 

check セキュリティ対策を設定

セキュリティ対策はWebサイトリニューアルにおいて華やかな部分ではありませんが、最も重要な項目の一つです。セキュリティに欠陥があると、データ漏洩やWebページの破損、Webサイト全体のバグにつながることがあります。セキュリティ対策として少なくとも以下を考慮に入れる必要があります。

  • パスワードや証明書はどこで管理されているのか
  • 誰がパスワードや証明書にアクセスできる権限を持っているのか
  • バックアッププランはあるのか
  • どのように自社データを保守するのか

セキュリティ対策の不備は、単なるWebサイトの問題ではなくブランドイメージの棄損につながる大きな問題となります。

 

check 分析ツールの導入

ウェブサイトを分析するのは容易ではありません。しかし、分析ツールを活用することで、実行可能なインサイトを発掘し、結果としてリードの獲得やコンバージョンの増加、コンテンツ改善、売上の飛躍へとつなげることが可能になります。更に、分析ツールは各コンテンツにおけるパフォーマンスの良し悪しを明確にし、検索クエリにマッチするためのサイト構造分析にも対応しています。

Forbes社の調査によると、マーケティングとセールスにおいて「データ主導の意思決定を行わない企業は、マーケティングROIの15%~20%の損失がある」と言われています。正確なデータを把握することは、自らのビジネスを正確に捉え企業がより良い意思決定を行うために必要不可欠なものといえるでしょう。

無料で利用できる「Google Analytics」はもちろんのこと、世界にはさまざまな分析ツールがありますので、自社の目的に沿った分析ツールを導入しましょう。

世界のデータ分析ツール15選

 

さいごに

新規での多言語サイト構築はもちろんのこと、サイトリニューアルであっても多言語の場合は時間と労力が必要となってきます。しかし、ウェブサイトは自社ブランドの顔となる最も重要な要素の一つです。多言語サイトはユーザーが普段利用している言語に応じて、見せ方を変える工夫が求められるため、国内向けサイトリニューアルとは異なった事前計画が肝要です。

本記事でご紹介したような対策を講じることでブランドとしての一貫性を保つことができ、結果として優れたUXをユーザーに提供することができます。海外ユーザーの離脱を防ぎ、惹きつける多言語ウェブサイト制作をお考えでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

海外向けウェブサイト制作バナー

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。