Pinterestに関する最新の統計データ
~「ユーザー・利用・ビジネス・広告」に関する最新情報~
Pinterestは2009年に米国でスタートした、世界で人気のソーシャルメディアの1つです。日本市場での月間アクティブユーザーは870万人程度ですが、世界に目を向けてみると、月間アクティブユーザーは4億人(2022年7月時点)を超え、その数は今でも急速に増え続けている人気のソーシャルメディアです。
Pinterestの大きな特徴は、主に画像や動画等のコンテンツを検索する「ビジュアル検索プラットフォーム」であるという点です。ユーザーは新しいアイデアやインスピレーションを与えるお気に入りのコンテンツを見つけると「Pin」として自分の掲示板に張り付けることができます。他ユーザーの掲示板をフォローすることもでき、フォローを通じて他ユーザーと交流できるようになっています。
PinterestはInstagramやTwitterと比べると日本国内においてはあまり馴染みがないかもしれませんが、世界では多くのブランド・企業がデジタルマーケティング施策として積極的にPinterestを活用しています。Pinterestは世界で最も人気のあるプラットフォームではありませんが、マーケターにとって非常に可能性の秘めたツールなのです。
今回は、さまざまな統計データに基づきPinterestが企業の海外マーケティング戦略に、どのように役立つかの洞察を明確にしていきたいと思います。
目次
Pinterest「ユーザー」に関する統計データ
1.月間アクティブユーザーは4.82億人に
2023年の第三四半期におけるPinterestの月間アクティブユーザーは前年比8%増の4億8200万人に達しました。
2021年Q1に過去最高の4.78億人の月間アクティブユーザー数に到達しましたが、新型コロナの影響により同年Q4には4.31億人にまで減少しました。しかし、2023年10月30日時点では4.82億人まで達しており、今後もアクティブユーザーは増加傾向にあることが見込まれています。
2.男女比率は、男性が17.2%、女性が76.2%
2023年1月時点での男女比率は女性ユーザーが76.2%、男性ユーザーが17.2%で、未特定は6.6%でした。他のソーシャルメディアと比較してもPinterestは女性ユーザーが圧倒的に多いのが大きな特徴の1つです。
Facebookのユーザー男女比分布は、男性56.8%:女性43.2%(2021年時点)、LinkedInでは男性57%:女性が43%です。
3.男性ユーザー・Z世代ユーザーが40%も増加!
女性ユーザーが圧倒的に多いPinterestですが、2019 年~2020 年の成人登録ユーザー数を比較したところ、2020年は対前年比で40%も男性ユーザー数・Z世代ユーザーが伸びていました。
この成長率もPinterestを大きく特徴付ける一つです。
4.Pinterestユーザーの3分の1は「ミレニアル世代」
2023年、1月の時点のPinterestユーザーを年齢別で見てみると、25-34歳の「ミレニアル世代」が38.9%を占めています。(うち女性が28.5%)
次いで、18-24歳が18%以上でした。最も少ないユーザー層は65歳以上で、全体の数%となっています。
5.国別ユーザー数 No.1は、「アメリカ」
Pinterestユーザー数を国別で見ると、アメリカが他国を圧倒するユーザー数を誇ります。その数なんと8460万人。他のSNSとは異なり、ブラジル・メキシコ・アルゼンチンなどがランクインしているのも注目すべき点だと言えるでしょう。
以下が2023年1月時点の国別ユーザー数トップ10です。
- アメリカ:8460万人
- ブラジル:2805万人
- メキシコ:1945万人
- ドイツ:1588万人
- フランス:1065万人
- カナダ:808万人
- イギリス:761万人
- アルゼンチン:709万人
- スペイン:701万人
- 日本:693万人
Pinterest「利用」に関する統計データ
6.85%が「モバイルアプリ」からアクセスしている
Pinterestユーザーの85%という大多数がモバイルアプリから、Pinterestを利用しています。デスクトップ経由はわずか15%ほど。
マーケティング施策にPinterestを活用する際は、コンテンツをモバイル最適化をおすすめします。
7.ユーザーの91%は「月1回はログイン」する
2020年Q3のPinterestユーザーのログイン履歴を見ると、月に1回ログインするユーザーはなんと91%、一週間に1回ログインするユーザーは68%、毎日ログインするユーザーは26%であることが分かりました。(米国)
8.Pinterestユーザーの多くは、Instagram も利用している
Pinterestユーザーの86.2%は、Instagramも併用していることがわかっています。
PinterestにとってInstagramは、最もユーザー層が重なるライバルプラットフォームの1つです。Instagram施策を実施する際は、Pinterestへの施策も検討してみるのも、良いインサイトを抽出することができるかもしれません。
Facebookを併用するピンタレストユーザーは82.7%、YouTubeを併用するユーザーは79.8%です。
9.毎日、10億本近くの「動画」が視聴されている
画像検索プラットフォームであるPinterestですが、実は「動画」も人気&爆発的に成長しているコンテンツの1つです。
Pinterest Premiereパッケージを活用することで、Pinterestが提供する動画広告を通じて、多くのユーザーにリーチすることが出来るようになります。
Pinterest「ビジネス」に関する統計データ
10.ユーザーの5人に2人が、Pinterestを使ってブランドや製品を調査している
GWIの調査によると、Pinterest ユーザーの5人に2人が Pinterest を利用する理由は、「ブランドや製品についての情報を調べること」でした。次に「面白く、エンターテイメント性のあるコンテンツを見つけること」、「動画の投稿や共有」でした。
これらの傾向は他のソーシャルメディアと大きく異なります。Facebookは「家族や友人にメッセージを送ること」、Instagramは「動画や写真の投稿や共有」が最もプラットフォームを活用する理由でした。他のSNSと比較するとPinterestが「検索プラットフォーム」として利用されていることが伺えます。
11.Pinterestを使った検索の97%は、ブランドが指名されていない
先ほどもご紹介した通り、Pinterest ユーザーの多くは、Pinterestを検索に活用しています。しかし、Pinterest上位検索のうち、検索クエリに特定の「ブランド名」は含まれていません。(※英語による検索)
つまり、ユーザーはインスピレーションを得たり、新しい発見のためにPinterestで検索行動を行っているのです。
12.米国ユーザーの50%は、Pinterestを活用して「ショッピング」を行っている
Pinterestは情報を集めるだけのプラットフォームではありません。Pinterestを利用する米国ユーザーの50%は、Pinterest上でオンラインショッピングをしています。2020年Q1だけでPinterestでショッピングをするユーザー数が50%も伸長しています。
これはPinterestを活用しているユーザーは、ブランドや製品への関心が高い傾向にあり、Pinterestがオンラインショッピングをするプラットフォームとして”定着している”ことを示しています。
13.ビジネスでもインスピレーションを求めて、Pinterestへアクセスする
米国のGfKが実施した「 Path to purchase study with weekly Pinners」の調査によると、「新しいプロジェクトをスタートさせるときに、最初にPinterestへアクセスする」と回答したウィークリーユーザーの割合は85%に達しています。
Pinterestユーザーは、ビジネスであっても、新しいアイデアを探しに積極的にPinterestを活用していることが分かります。
14.多くの企業が「e-コマースプラットフォーム」としてPinterestを活用している
2019年Q3~Q4において、Pinterestを活用する小売業者の75%以上は、Pinterest上で購入可能な商品を公開しています。Pinterestはプラットフォーム上で商品をプロモーションできる広告機能もグローバルで実装しており、この広告機能によって販売業者と広告主双方が商品をPinterestプラットフォーム内で幅広いユーザーに訴求できるようになりました。
POINT
自社の商品カタログをアップロードし商品にPinを立てることによって自動的に広告化できる機能も実装しており、ユーザーの商品閲覧から商品の購入、決済までの一覧のショッピング行動はPinterest内で全て完結します。「企業⇔ユーザー」双方において、Pinterestがe-コマースプラットフォームとして機能しています。
15.Pinterestコンテンツは「購買決定」に影響を与える
2021年に米国で実施した調査によると、週に1回Pinterestを使用しているユーザーは、その他のソーシャルメディアと比較して7倍以上の購買傾向があることが明らかになりました。さらに、Pinterestのショッピングユーザーは他のソーシャルメディアと比較したときの購入単価が「+85%」、1ヶ月の購入頻度は「2倍」ほどになることが分かっています。
Pinterestの広告機能では、商品カタログの中から自動的に商品を抽出し、「動画形式のスライドショー」をユーザーに見せる広告機能があります。Pinterestユーザーは動画に注視しやすく一度に複数の商品を検討する傾向が高いというインサイトに基づきこのような機能が導入されました。
16.投稿した「ピン」の寿命が長い!
これは非常に注目すべきPinterestコンテンツの特性です。
通常ソーシャルメディアでコンテンツを投稿すると、コンテンツの寿命は、Twitterで数十分、Facebookで数時間、Instagramでは2日ほどだと言われています。しかし、Pinterestに関しては「1つの最適化された投稿」が長期的なエンゲージメントを可能にする珍しいソーシャルメディアです。その寿命は、なんと!「3か月」とも言われています。
Pinterest「広告」に関する統計データ
17.Pinterest広告でリーチできるユーザーは、2億4970万人
18.最も訴求できる広告オーディエンスは「25歳~34歳・女性」
2023年1月時点の広告オーディエンスとして最も厚い層は、「25歳~34歳・女性」で全ユーザーの28.5%を占めています。2番目が「18歳~24歳・女性」で18.1%、3番目が「35歳~44歳・女性」で12.0%です。
広告オーディエンスも女性がどの年代層でも男性より上回っていることから、女性ユーザーがメインのプラットフォームと言えるでしょう。
19.Pinterest 広告は費用対効果が高い!
SNSマーケティングにおける広告出稿において最も重要な課題は、より少ない広告予算で高いCV数を獲得することにつきます。
出稿することはその他のSNSよりも広告予算を少なく抑えることができます。事実、Pinterest広告と他のソーシャルメディアで広告を出稿した場合とを比較すると、Pinterest広告では1つのCVにつき2.3倍も安価な獲得単価に抑えることができます。
Pinterest広告をクリックしPinterest上にあるブランドサイトへ訪れたCVRは他の主要ソーシャルメディアで広告出稿した場合と比較して3倍、ROIは2倍高いというデータも出ています。
親和性の高い企業で、他のソーシャルメディアで広告を出稿して効果が得られていない企業は、Pinterest広告を試す価値はありそうです。
20.特に「ショッピング広告」は効果的
「ショッピング広告」とは、Pinterestユーザーに自社製品を広告で商品やサービスをプロモーションし、ユーザーにクリックや購買を促す広告形態の1つです。
他のソーシャルメディアで広告と比較して、Pinterestの「ショッピング広告」は3倍のCV、ROIでは2倍の成果を出しています。これらのデータは、ユーザーがカタログ内にある商品を眺めて、お気に入りの商品を選択して決済までを完結できるショッピングプラットフォームとして、効果的に機能していると言えるのではないでしょうか。
21.「インフルエンサーマーケティング」にも活用できる日が来る?!
eMarketerによるとPinterestをインフルエンサーマーケティングのプラットフォームとして活用したいと考えているUSマーケターは、全体の35%にも達することがわかりました。2019年12月時点における調査では29%から6%増加しており、Pinterestがインフルエンサーマーケティングとしての場所として注目されて始めています。
<eMarketer_Which social media platforms are US Marketers Planning to use for Influencer marketing?>
2021年3月の調査では一位が93%のInstagram、二位が68%のTikTok、Facebookと続きます。Twitterは32%とPinterestより少し低いです。InstagramやTikTok、Facebookほどではありませんが、Pinterestもインフルエンサーマーケティングのために活用されるプラットフォームとしてその存在感を増していることは無視できません。
22.2020年のPinterestの広告収入は14億ドル以上
2020年Pinterestは14億ドル以上の広告収益をあげています。ブランドが自社製品やサービスの認知拡大を通じた高いCVRの獲得を目的に多くの企業がPinterest広告を活用しています。
さいごに
Pinterestは海外マーケティングにおいて無視できないプラットフォームの1つです。特にユーザー数の多いアメリカ・ブラジルにおいてPinterestを効果的に活用することで、多くのユーザーにリーチすることができるでしょう。
Pinteretを海外マーケティング施策として取り入れる場合は、海外ユーザーの特性を理解した、クリエイティブが非常に重要になってきます。確かな成果を出すためには、重要なデータを理解した上で、プラットフォーム独自の特性を理解した運用が成功のカギとなります。
Pinterestを活用したグローバルマーケティングでお困りのことがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。