「リスティング広告 vs ディスプレイ広告 vs SNS広告」徹底比較
~最適なデジタル広告を見極めよう!~
世界人口が80億人を突破するなど世界の人口増加に伴い、インターネットユーザーも年々増加しています。さらに、世界中の多くの企業はより多くの顧客にリーチするために、インターネット広告を非常に活発に利用しています。
低コストから始められ、狙ったターゲットにピンポイントにアプローチすることができる「インターネット広告」は、世界中のユーザーに対して、オンライン上でビジネスを宣伝するための優れた方法の1つです。新型コロナの影響によって、世界中の「インターネット広告」とは無縁だった企業が一気にインターネット広告を活用するようになり、2022年、世界の総メディア広告支出の62%を「インターネット広告」が占めるまでに拡大してきています。
気軽に配信・停止ができるため、誰でも簡単に海外向けに広告配信ができるものの、インターネット広告には、様々な広告タイプが存在します。そのため、効果的な広告戦略を目指すために、各種類の特徴や違いを理解し、自社のビジネスに最適な広告フォーマットはどれかを見極める必要があります。
そこで、今回は「リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告」の3つの広告タイプの特徴を比較し、ビジネスに最適な広告はどれかを探っていきましょう!
目次
- 1. リスティング広告とは?
- 2. ディスプレイ広告とは?
- 3. SNS(ソーシャルメディア)広告とは?
- 4.「リスティング vs ディスプレイ vs SNS」3つの違い
- 5.最適な広告を見つけるために
- 6.さいごに
リスティング広告(検索広告)とは?
リスティング広告とは「検索連動型広告」と呼ばれるデジタル広告の形態の一つです。検索エンジンに検索語句を入力すると、検索した語句に関連した広告が検索結果の上位に表示されます。これがリスティング広告と呼ばれるものです。海外では「Search Ads」と呼ばれたり、クリック課金制の広告をすべてひっくるめて「Pay-Per-Click Advertising(PPC広告)」と表現します。
リスティング広告は広告ではない検索結果と区別できるように日本では「広告」、海外では「Ads」と表記されます。検索されるキーワードに密接に関連している点がリスティング広告の大きな特徴です。
リスティング広告の特徴
ユーザーがインターネットを活用して「検索」を行う際は、情報の獲得や商品・サービスの購入を目的に具体的な“キーワード”を用いて検索を実施します。そのため、リスティング広告は「購入・予約・ユーザー登録」などのコンバージョンを目的としたするケースが多く、認知から購入にいたるカスタマージャーニーに例えると、「購買」に近いフェーズにいるユーザーをターゲットにリスティング広告の効果が発揮されます。
質の高いリードを生み出すリスティング広告ですが、デメリットもあります。広告自体に視覚的インパクトがないため、色や画像を使い目立たせてユーザーを引き付けるということはできません。また、近年のデジタル広告市場の拡大に伴い、広告出稿する企業間の競争は激化しており、ある業界では「1クリック100ドル以上」という、高額なクリック単価に達してしまう業界も出てきているのが現状です。
2022年、アメリカの検索広告(リスティング)市場
検索広告は広告施策において、最も強力な施策の1つです。2022年、アメリカにおける検索広告支出は、デジタルメディア広告支出2,097億ドル超のうち40%近くを占める、844億ドルに達しています。(IAB‐Internet Advertising Revenue Report: Full Year 2022)
ディスプレイ広告とは?
ディスプレイ広告とは「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれるデジタル広告における形態の一つです。スマートフォン向けアプリ、WEBサイト、動画サイト、ブログサイト等のアプリやWEBサイト上などにディスプレイ広告が表示されます。ディスプレイ広告は、自分が見ているコンテンツに関連する内容や、自分の興味関心・年齢・地域等の属性に基づいて広告表示されます。
ディスプレイ広告は「アドネットワーク」と呼ばれる、広告枠を提供する無数の媒体に掲載されます。ディスプレイ広告として代表的なのはGoogleディスプレイ広告(GDN)です。GDNに媒体として登録しているメディアの広告枠に自社のディスプレイ広告が表示される仕組みになっています。
ディスプレイ広告の特徴
ディスプレイ広告は具体的なニーズが顕在化していないユーザーに対しても有効な広告です。見ているコンテンツに“関連する広告”を表示することによって、企業の認知拡大・自社想起などユーザーニーズを顕在化させるメリットがあります。また、画像や動画などを組み合わせることでより視認性が高く、視覚的にユーザーにアプローチすることが可能です。リスティング広告と比較して、費用が安い傾向にあるのが特徴です。
< LinkedIn-ディスプレイ広告 >
アメリカにおけるディスプレイ広告
リスティング広告同様、長年世界中で人気の高いディスプレイ広告も、強力な広告施策の1つです。2022年、アメリカにおけるディスプレイ広告支出は、デジタルメディア広告支出の30.3%を占る、635億ドルに達しています。(IAB‐Internet Advertising Revenue Report: Full Year 2022)
eMarketerの調査によると、2022年アメリカにおけるディスプレイ広告経由での収益はFacebookが1位で全体の43.4%、Googleが3位で10.5%となっています。2位は32.3%で「その他」として各種媒体が含まれています。FacebookはInstagramにおけるディスプレイ広告収益も含まれています。米国におけるディスプレイ広告の主要媒体はFacebook、Googleであることがこの数値から読み取ることができます。
SNS(ソーシャルメディア)広告とは?
ソーシャルメディア広告(以下、SNS広告)とはFacebook、Instagram、LinkedIn、YouTube、TikTokなどのソーシャルメディア上で展開する広告のことを指します。SNS広告のフォーマットは、テキスト・画像・動画・GIFなど様々な形態を取ります。ソーシャルメディアのタイムライン上に、他の投稿との間に自然と溶け込む形で広告は表示される場合もあり、「ネイティブ広告」と称されることもあります。SNS広告はそのソーシャルメディアを利用しているユーザーの年齢・地域・性別・興味関心などの属性以外に、フォローしているSNSアカウントのカテゴリをターゲットしてに広告を配信することも可能なため、自社のターゲットに近いユーザーに的確にアプローチすることが可能です。
SNS広告の特徴
SNS広告は潜在的なユーザーに企業・ブランドのメッセージを効率的に届けてくれる優れた広告媒体です。しかし、ソーシャルメディアは検索エンジンとは異なり、利用しているユーザーと、利用していないユーザーの世代に差があることが特徴です。1946年~1964年のベビーブーマー世代はSNSを48%程度しか利用していないにも関わらず、1981年~2000年初頭のミレニアル世代では、90.4%以上がソーシャルメディアを利用しています。
ユーザーの年齢や目的によって使用しているソーシャルメディアが異なるため、ターゲットに合わせたメディア選定が広告施策を含むSNSマーケティング成功の重要なポイントの1つとなります。
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アメリカにおけるSNS広告
eMarketerの調査によると、2020年時点でUSにおける動画フォーマットでのSNS広告収益はFacebookが1位の87%、Twitterが2位の6.3%、Snapchatが3位の6.1%となっています。SNS広告収益においてFacebookが他SNSを圧倒する地位を築いている点がこの数値から伺えます。なお、FacebookにはInstagram広告の収益も含まれます。
「リスティング ・ディスプレイ ・ SNS」3つの違い
① 広告フォーマットの違い
広告フォーマットのバリエーションの点ではディスプレイ広告、SNS広告の方がリスティング広告よりも勝っています。前者はテキスト、静止画だけではなく動画やGIFなど様々フォーマットに対応しています。リスティング広告は検索結果に表示されるため、テキスト中心の広告フォーマットとなります。
② ターゲティング機能の違い
ターゲティング機能において、リスティング広告はディスプレイ広告やSNS広告と大きな違いがあります。リスティング広告ではディスプレイ広告やSNS広告と同様にユーザーの年齢や性別等のデモグラフィック情報に基づきターゲティングできますが、検索する際の特定のキーワードやフレーズをターゲティングの対象とする点がリスティング広告の特徴です。そのため、リスティング広告を出稿する際は、キーワード調査を実施しどのようなキーワードを用いてユーザーが検索しているかを明らかにします。
③ ユーザーの意図の違い
ユーザーの利用意図においてもリスティング広告は、ディスプレイ広告やSNS広告と大きく異なります。
リスティング広告はユーザーが検索エンジンを使って「検索するキーワード」に直接関連する内容の広告を出稿します。ユーザーが「検索」というアクションを起こして、今まさに「何かを知りたい」と思って調べているユーザーに対して、非常に親和性の高い広告を表示させることができるという点が優位点です。「既に自社を知っている」、「一定以上の興味がある」、「何かについて調べたい」という目的を持って行動しているユーザーに、広告を通して自社商品・サービスをアプローチできる点が非常に優れています。
一方、ディスプレイ広告やSNS広告は、自分が見ているコンテンツに関連する内容や、自分の興味関心・年齢・地域等の属性に基づいて広告配信を行います。リスティング広告のように特定の主題に対する解決策を探すという能動的な意図とは異なり、ユーザーの興味関心に沿って、広告を配信します。そのため、「新しい情報やニュースをスクロールしながら流し見をしているユーザー」に対してアプローチするという点が大きな特徴です。
最適なデジタル広告を見つけるために
リスティング広告
Google等の検索エンジンの検索結果に広告を表示しユーザーに対して解決策や回答を提示することによってWEBへのトラフィックやクリックを短期的に増加させたい場合はリスティング広告の出稿が最適です。次のような目的がある場合、リスティング広告がフィットします。
- 短期的な成果を出したい
- 予算に応じて広告費用を柔軟に調整したい
- 検索結果における表示を増やしたい
- Googleのような検索エンジン上にいるユーザーに広告を表示したい
検索エンジンを利用するユーザーは、明確な目的をもって情報を探し購入やユーザー登録等の具体的な行動へ移行するコンバージョンが高いです。このようなユーザーを対象として広告を出稿する際は、リスティング広告を活用することで高いコンバージョンを短期的に獲得することができます。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、リスティング広告と比較すると動画も扱えるため広告フォーマットのバリエーションが広くブランドの認知拡大やブランディングに向いている広告手法です。一方で、リスティング広告と比較するとディスプレイ広告は、購入やユーザー登録のようなコンバージョンへ繋がりづらい傾向もあります。SNS広告と比較するとディスプレイ広告は、アドネットワークに参加しているWEBサイトやアプリ等、幅広い媒体に広告を出稿できるメリットがあります。しかし、その分、広告出稿費用の消化ペースが速いため、誰をターゲットに何を目的に広告出稿するかについて予め決めておくことが必須です。
SNS(ソーシャルメディア)広告
SNS広告は前述したように画像・動画・テキストなど広告フォーマットが非常に豊富です。情報を大量に消費しているユーザーに対して、ビジュアルを通じてブランディングやブランド認知向上を図るにはSNS広告が適しています。SNSプラットフォーム上にいる膨大なユーザー数に広告を通じてリーチできるため、ローンチして間もないブランドが新規ユーザーにアプローチするにはSNS広告が効率的な手法の1つです。
しかし、SNS広告はリスティング広告と比較すると短期的な売上を達成することが難しい場合もあります。ブランド認知と売上を同時に向上させたい場合は、両者を併用することをお勧めします。
さいごに
広告戦略を立てる際は、事前に広告を出稿する目的とターゲットをしっかりと絞り込んでおく必要があります。また、海外マーケティングにおいては、国や地域によって利用されている媒体が日本と異なるため、自社のターゲットがその媒体に存在するのか、さらにどのような言語や文化的特徴を持つユーザーがそこにいるのかなど事前調査が肝心となってきます。
広告施策は、ユーザー視点に立った、魅力的な広告施策をやその他のデジタルマーケティング施策と組み合わせることで、成功への近道となるでしょう。海外向け広告施策などでお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。