コンバージョン率(CVR)が高いのは何色ボタン?
~海外での検証結果~
みなさんは何色が好きですか?
色は私たちの五感、特に視覚に働きかけ、感情を揺り動かし、アクションを導く一つの要因となりうることが多くの研究で報告されています。それはつまり、ウェブサイトや広告の背景やボタンの色が、コンバージョン率に関係する可能性を示唆します。
では、どの色を使えばいいのか。
結論からいえば、色ごとのコンバージョン率を示すことは難しいと言わざるをえません。色に対する印象・価値観は、国・宗教・性別・成育歴などに大きく左右され、絶対的な答えを導くことは不可能に近いと言われています。しかし、これまで多くの色に関する研究が行われ、海外では、色の特徴を踏まえたウェブサイトや広告が作成されています。そこで本稿では、海外で実施された色のコンバージョン率に関する研究を紹介するとともに、海外企業に人気のボタンの色について紹介します。
目次
色とコンバージョン率の関係
世界の信号の色は様々ですが、基本的には、青や緑は「進め」、赤やオレンジは「止まれ」を意味することが多いです。サイトや広告内で、この2つの色のボタンを顧客に示したとき、どちらのコンバージョン率が高くなるかという研究が海外において頻繁に行われてきました。そのいくつかを簡単に紹介します。
ケース①
DMix.caは、600人の被験者を対象とした実験を行い、緑色のボタンと赤色のボタンでは、どちらのコンバージョン率が高いかを比較しました。その結果、赤色のボタンを使用した場合にコンバージョン率が34%増加したそうです。
<DMix.ca : red_green_test>
ケース②
Hubspotは、緑色と赤色のボタンのページを準備し、2000人の訪問者がGet Started Nowのボタンを押す確率を比較しました。その結果、赤色のボタンを利用したページのほうが、コンバージョン率が21%高かったそうです。
<https://www.sitepoint.com/button-ux-red-green/
ケース③
VWOは、ウェブサイトの携帯電話の詳細確認ボタンの色を緑色とオレンジ色に変えることで、コンバージョン率を比較しました。その結果、オレンジ色のボタンを利用した際、5%の増加がみられたそうです。
<VWO : case stuies>
ケース④
購入サイトのボタンを青色とオレンジ色に変えることでコンバージョン率に違いがあるのかを調べました。その結果、青色のボタンのほうがコンバージョン率が9%高かったそうです。
<Monetate.com :Testing Wins: Orange or Blue?>
このような研究が数多く行われてきた一方、ボタンの色によるコンバージョン率の研究には、多くの批判的な見解が寄せられており、未だに真理にはたどり着けていません。しかしながら、私たちが生活する中で、色から多くのことを感じ取っていることは明白であり、海外の多くの企業では、サイトや広告内において色の特徴を考慮したボタン設定がなされています。
「色」の持つ特性を理解する
〇 安心感を与え、誰からも愛される色「青」
海外の有名サイト:Facebook , IBM , Microsoft
世界中で最も愛される色とも言われている青色は、「カートに追加する」のボタンの色としては、海外で3番目によく利用されている色です。しかしながら、B2Bウェブサイトやコミュニケーションエージェンシーの間では、青色が最も人気のある色とされています。世界のB2B企業でトップ10にランクインする企業のうち、6社の企業ブランドの第一カラーもしくは第二カラーが青色です。その理由はいたってシンプル。青は信頼を示す色だからです。
ECサイトでは、青色の配色は、顧客に信頼感を伝える有効な方法です。また、多くの研究において、青色は自然や静けさと関連があることが示されており、顧客が落ち着いた気持ちで買い物を楽しむのを助けます。一方、ウェブサイトや広告の色が青で統一されている場合は、ボタンは他の色を選んだほうがいいもと言われています。
〇 情熱を示す色「赤」
海外の有名サイト: Netflix , Target , Coca-Cola
2005年、Durham大学の研究者たちは、スポーツ競技において赤色のスポーツウェアを身に着けたチームが勝つ確率が高いとの「調査結果 : Red enhances human performance in contests」を発表しました。赤色は、興奮度や覚醒度を高め、競技力を高める効果を持つと言われています。
赤色は、情熱や激情と深い関連のある色です。ECサイトでの赤色のボタンは、顧客のショッピングにおけるワクワクする気持ちを高め、購入を促すとされています。また、大きな赤色のボタンは強い存在感を示し、顧客の注意を引くこと間違いありません。新しい顧客の獲得を目的とするような広告を掲載する際には、赤色のボタンが効果的と言えるでしょう。
〇 アクションを促す色?ECサイトの典型色「緑」
海外の有名サイト:IBM , Argos , SportsDirect , Microsoft
緑色のボタンは以前、海外において最も多くのECサイトや広告で利用されていました。信号機の緑からもわかるように、緑は「前に進む」、「アクションを起こす」という意味と関連が強いからです。また、緑は、安全を示す標識とも結びつくことが多く、オンライン決済をめぐる顧客の不安を払拭するという効果もはたしていました。しかし、多くの大衆スーパーマーケットやディスカウントストアのECサイトが緑色のボタンを使用するようになったため、大手ブランドや高級志向のECサイトや広告では、緑のボタンからのシフトチェンジが図られ始めたと言われています。
〇 高級感を彷彿させる色「黒」
海外の有名サイト:Topshop , Net-a-Porter , The Body Shop
最近人気急上昇のボタンの色は黒と言われています。Zara、Dorothy Perkins、Boohooなどのブランドも、このシンプルな色「黒」を利用しています。人気のあるファッション企業20社を対象とした調査では、20社の内10社が黒のボタンを使用していることが明らかとなりました。高級ブランドCoco Chanel、Gianni Versace、Yves Saint Laurenなどのファッションデザイナーが黒の持つシンプルさを高級感と結びつかせたことで、黒が高級感を醸し出す色になったと言われています。また、コンピュータの基本背景色は白のため、コントラストが強い黒が存在感を示すとも言われています。
人気ファッション企業ECサイトのボタンカラー調査統計
<Converties : Choose The Best Colour>
>さいごに
最近では、ウェブサイトを作成したり広告を依頼する際、SEOやキーワードを意識することは当然のこととなってきましたが、コンバージョン率をあげるために、サイトや広告・CTAボタンの色についても配慮することが大切です。
どうすればコンバージョン率を上げられるのか。これは、サイト運営者にとっての一番の悩みだと思います。海外のユーザーにとって最適な多言語ウェブサイト制作やデジタル広告運営に運用は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。