注目すべき最新のウェブデザイントレンド2023
「企業の顔」であるウェブデザインを”戦略的”にデザインすることによって、ブランド認知を高め、ユーザーを惹きつけ、リードを生み、企業やブランドにとってプラスの成果を生み出すことが可能です。
AIの進化に伴いクリエイティブの幅も広がったことで、ウェブデザインが次なる段階に進むべきタイミングを迎えている2023年。ウェブサイトのデザインは、よりユーザーエクスペリエンスの向上に注目が集まることが予想されており、ウェブ上で魅力的で楽しい体験を生み出すサイトデザインが、2023年には一層求められています。
今回の記事では、2023年のウェブサイトデザインの最新トレンドを見ていきます。
▼ ミニマリズム
「ミニマリズム(最小限主義)」は、すでにウェブデザインの大きなトレンドとして注目を集めています。余計な要素を排除し、シンプルで機能的なデザインを指す「ミニマリズム」は、最も重要な要素だけを含めることで、最も価値のある要素だけを目立たせる戦略的に構成されたデザインを実現します。
近年、SNSの浸透などに伴い、人々は瞬間的に情報を取捨選択するようになりました。近年、人間が集中力を持続させることができる平均時間は年々短くなっており、2000 年から 2015 年にかけてほぼ 25% ほど減少しています。現在の平均的な集中力持続時間は、たったの「8.25秒」で、「金魚よりも1秒ほど短い」そうです。(Consumer Insights team of Microsoft Canada)
このような傾向もあることから、ウェブサイトをクリックしてページが開いたその瞬間に、そのページがどういった製品やサービスなのか、何を伝えたいのかをわかりやすく一目で理解できるようなデザインが人気を集めています。
花王グループのインク会社、花王コリンズのコーポレートサイトサイトは、ユーザーに注目してもらいたい企業メッセージと製品にのみ焦点を当て、その他の要素を排除した、最新ウェブデザインの代表として世界で高く評価されています。
ミニマリズムなサイトデザインは、ページ上のオブジェクトを極力排除しているため、サイトの読み込みスピードが速くなったり、簡素化されたナビゲーションを実現するなどサイト閲覧・操作時のユーザーのストレス軽減にもつながっています。
▼ アニメーション
コンテンツにアニメーションを採用するウェブサイトは増加傾向にあり、2023年は魅力的なサイトデザインでユーザーの注目を集めるために不可欠な要素となってくるでしょう。
アニメーションをウェブデザインに活用することで生まれる大きな効果として、人間や製品の実写イメージでは表現できないような、アクロバティックな躍動感や遊び心を演出することで、ユーザーの視点を引き込む効果があげられます。
クリックなどのアクションに反応するマイクロアニメーションや、スクロールによってアニメーションも変化するスクロールアニメーション、リアルで立体的な表現を可能とする3Dアニメーションなど、アニメーションは多様な形でサイトのデザイン性や操作性向上に貢献します。
最新技術を活用した効果的なアニメーションを取り入れたウェブデザインによって、ユーザーの好奇心を刺激しながら、高いモチベーションを保った状態でサイト内の探索に誘導することができるでしょう。
▼ 短編動画コンテンツ
短編動画をウェブサイトに埋め込むことは、ユーザーの興味・関心を喚起するうえで有効なツールであり、一層サイトの魅力や訴求力を高めることができるため見逃せないトレンドの1つです。
多くのマーケターが高いマーケティング効果が期待できる手法としてショート動画を活用している事例は世界中で多数確認できますが、最新のAI技術により、2023年はより効果的なショート動画を端的に作成することが可能となるでしょう。
Metaでは「Make-A-Video AI」、Googleでは「Image Video」という名で、入力されたテキストに従い、AIがショート動画を自動生成するシステムを展開しており、ショート動画を用いたマーケティング合戦は、今後も一層白熱することが予想されています。
ショート動画以外にも、360度映像による動画コンテンツは、ユーザーによりリアルな体験を提供し、サイトのコンセプトやメッセージがより強く伝わるという強みがあり、インバウンド系ウェブサイトなどで積極的に活用されるようになってきました。
文章を読むよりも、動画により視覚的に与えられた情報の方がユーザーの記憶に残りやすいことから、ここにあげたような手法で動画を活用することで、そのサイトの印象を永続的に記憶に残すことができるのでしょう。
▼ 拡張現実
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)は、ウェブデザインにおける新たなスタンダードとなるであろうウェブトレンドとして、世界中で注目を集めているトピックです。
サイト上で簡単にVR体験ができる最新技術「 Web VR」対応のサイト制作は、特に注目度が高く、3D空間を活用することで、物件の内覧などにおいて、より直感的に情報を伝えることが可能となります。
また、スマートフォンカメラを使用したARコンテンツの表示は、インテリアや不動産、アパレルなど様々な商材を扱う企業でも導入されており、その代表的な一例が、スウェーデンの家具メーカー「IKEA」です。
<IKEA _ AR技術により、実際にカメラで映し出されている部屋に、画面上でIKEAの商品を好きに配置することができるアプリ「IKEA Studio」は、様々な製品の組み合わせや部屋に置いた際のサイズ感を、購入前に簡単に試すことができます>
AR機能をウェブサイトに埋め込むことで、ユーザーエンゲージメントやブランドロイヤリティが向上し、サイトを訪問したユーザーのニーズを満たし、満足度を高めることにも大きく貢献しています。このようにWeb VRやAR技術は、ユーザーに対しこれまで以上に強烈なインパクトを与えるだけでなく、共感や一体感を感じるインタラクティブな体験を提供します。
それにより、購入などの意思決定を強く後押しする効果をもたらすため、ウェブサイト制作においては、ぜひ取り入れるべき最新技術であることは、間違いないでしょう。
▼ 人工知能チャットボット
様々な業界・業種において、ポジティブなインパクトをもたらすことが注目を集めている人工知能(AI)ですが、ウェブサイトにおいても、2023年は一層重要な役割を果たすことが期待されています。
代表的なAI活用事例としては、チャットボットを実装することです。人工知能を活用して応答するチャットボットを統合することで、データを集計して顧客満足度の向上に大きく貢献するでしょう。
仮想アシスタントとして、有能で魅力的なAIが対応することで、ユーザーとの関係性を深めることができ、エンゲージメントやロイヤリティ向上につながるでしょう。
▼ 3Dデザイン
近年、スクロールによりユーザーをページに引き込むウェブトレンドが、ウェブデザインの現場において人気を集めていますが、2023年はそのトレンドがさらに進化し、完璧にレタリングされた3Dの世界「完全没入型サイト」がウェブトレンドとして台頭しています。
3Dデザインは、2Dデザインと比較すると、よりリアルな表現が可能となることから、ビジュアルエフェクトが与える印象や魅力を強化することができ、VRやARと組み合わせることで、一層高い没入感をユーザーに与えることができます。
オンライン上で見た商品であっても、商品を360度から確認できることで、より詳細に商品を理解することができ、結果として購入率向上につながります。
商品説明に限らず、3Dデザインは、サイトのアイコンやイラスト、アニメーションの作成など、幅広く活用されており、サイト内の様々な要素が3D化されていることで、ユーザーの想像力を刺激し、満足度の高い没入体験をユーザーに提供することが可能となるのです。
▼ マイクロインタラクション
ユーザーがサイト上で行なったアクションに対して、視覚的や聴覚的なアクションを発生させる、相互間の小さなやり取りのことを意味する「マイクロインタラクション」は、ユーザーエクスペリエンス向上に貢献する、2023年のウェブトレンドの一つです。
マイクロインタラクションには、様々なパターンがありますが、ウェブサイトをより魅力的でインタラクティブなウェブ体験を提供できる優れた方法の1つです。代表的な事例としては以下のようなものがあげられます。
クリックボタン
クリックボタンは、ウェブデザインにおいて広く活用されているマイクロインタラクションの一つで、視覚的に感情に働きかけるようなアニメーションが用いられる事例が多く見られます。
通知機能
お知らせが届いた時やクーポンが追加された時など、サイト上でユーザーが見逃してしまいがちな変化を知らせるために用いられる手法で、メール受信BOXのアイコンに受信メール数が表示されるアニメーションがよく知られています。
進行状況
データのダウンロードやアップロードの際に、進捗状況のステータスバーなどを表示することで、待機中にユーザーが受けるストレスを軽減することができます。これらに代表されるマイクロインタラクションを実装することで、ユーザーは心地よくサイト内での探索を続けることができます。
ユーザー視点で機能性の高い、ストレスレスなウェブデザインを実現するうえで、マイクロインタラクションは不可欠な要素となっており、2023年もその重要性は一層高まることが予想されます。
▼ Instagram統合
写真や動画などのビジュアルコンテンツで構成されているInstagramは、多くのユーザーにブランドコンセプトや商品の情報を視覚的に与えるうえで非常に有効に働くプラットフォームです。
近年では、Instagram上のコンテンツのウェブサイトとの統合・連携により、サイト訪問者数の増加やブランド認知度の向上が期待できるとして、ウェブデザインに取り込むニーズが高まっており、2023年のトレンドトピックとしても注目されています。
事実、ユーザー自身が作りだすコンテンツ(User Generated Contents)は、BtoCビジネスにおいて、購買意欲喚起に大きな影響を与える重要なコンテンツとして認識されています。Crowdriffの調査に参加した人の79%は、「ユーザーが生成したコンテンツが意思決定に大きな影響を及ぼした」と回答しています。また、観光や旅行の計画を立てる際も、実在するユーザーの生の声や感想が映し出されたSNSやブログなどの投稿記事が、高いエンゲージメントを獲得し、より高いロイヤルティも期待できる費用対効果の高いコンテンツタイプの1つとして注目を集めています。
代表的なInstagramとの連携によるウェブデザインの成功事例としては、カリフォルニア州のオフィシャル観光サイト「Visit California」があげられます。当サイトでは、カリフォルニアを訪れた人が「#VISITCARIFOLNIA」とタグ付けして投稿した写真がウェブサイトでもまとめて表示されるようなデザインを施しています。実際に現地を訪れた人のリアルな感想や楽しむ様子が感じられるUGC(ユーザー生成コンテンツ)をウェブサイトに反映させることで、カリフォルニアが魅力的な観光地であることの訴求力を高めることに成功している事例と言えるでしょう。
まとめ
ビジュアルコミュニケーションを活用したデジタルマーケティング戦略が主流となる中、ウェブサイトデザインの重要性は一層高まっています。
今回は、ウェブサイトの魅力を高めるために見逃せないサイトデザインのトレンドを8つ紹介しました。没入感を感じられるビジュアルコンテンツや一体感・遊び心を感じながらも無駄のない操作性やインタラクションなど、今回紹介したトレンドはいずれも、ウェブサイトは企業やブランドの「顔」として重要な役割を担うようになっていることを示唆しています。
2023年、ウェブサイトの新規制作や更新を検討している担当者の方は、ぜひこれらのトレンドを加味しながら、サイト設計を進めてはいかがでしょうか?
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。