ディスプレイ広告の基本
~広告の特徴を理解して効果最大化~
ディスプレイ広告は、様々なデジタル広告がある中でも、視覚的アプローチによって認知拡大に強みを持った優れたデジタル広告の1つです。
さまざまなデジタル施策が登場するなか、試行錯誤を繰り返すマーケティング担当者にとって、ディスプレイ広告は ” 時代遅れの施策 ” とみなされていることがあります。しかし、最適な文言と魅力的なビジュアルのディスプレイ広告は、現代であってもブランド認知を向上させ、顧客を惹きつける優れたデジタルアプローチ方法の1つであることは周知の事実です。
今回の記事では、海外向けディスプレイ広告の基本からメリット・デメリット、海外向けディスプレイ広告を成功に導くためのヒントなど、ディスプレイ広告の魅力をお伝えします。
目次
- 1.ディスプレイ広告とは?
- 2.ディスプレイ広告のメリット
- 3.ディスプレイ広告のデメリット
- 4.「検索広告vsディスプレイ広告」比較
- 5.「ネイティブ広告vsディスプレイ広告」比較
- 6.海外向けディスプレイ広告、効果最大化のポイント
- 7.さいごに
ディスプレイ広告とは?
ディスプレイ広告は「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれ、ウェブサイト、ブログ、YouTube、モバイルアプリなどインターネット上のさまざまな場所に表示することができるデジタル広告です。テキストはもちろんのこと、画像や動画、アニメーションなどを組み合わせたレスポンシブ広告でユーザーにアプローチすることができる視認性に優れた広告の1種です。
ディスプレイ広告は、テキストベースの検索広告やテキストと画像で構成されるバナー広告とは異なり、ユーザーに”視覚的に”訴求することができるため、商品を認知していない潜在顧客向けた「認知拡大」や既に商品を認識している準健在層に向けたリマーケティングによる「自社想起」などに優れた効果を発揮します。
ディスプレイ広告を配信するには、まず広告を配信する目的やターゲット層を設定し、広告が表示される場所やタイムゾーン、ターゲティングの種類を決めていきます。次に、広告デザインを決定し、クリエイティブを作成し、最後に広告枠を購入して配信の設定を行います。
ディスプレイ広告のメリット
視覚的なアプローチを強みとするディスプレイ広告ですが、活用することにより生まれるメリットとしては、以下が挙げられます。
1.多くのユーザーにリーチできる
先述の通り、Googleが提供する「GDN(Googleディスプレイネットワーク)」やYahoo!が提供している「YDA(Yahoo!ディスプレイネットワーク」、Bingのような広告配信ネットワークなどを組み合わせることで、広告配信先の選択肢がグっと広がるため、世界中のユーザーに対してアプローチすることが可能となります。
Googleディスプレイネットワークだけで、「全インターネットユーザーの90%を網羅している」という点だけ見ても、ディスプレイ広告には大きな可能性があると言えるのではないでしょうか。
2.潜在顧客へのアプローチが可能!
検索広告は、購入意図のあるユーザーに対してリーチしますが、ディスプレイ広告では自社の商品やサービスをまだ知らない”潜在顧客”に対して、テキスト・画像・動画などを組み合わせてリーチします。
視認性の高い広告であるため、ユーザーの視点を惹きつけ、ブランドコンセプトやメッセージを視覚的に伝えることができるため、ブランド認知度向上を促進する手法として有効です。
3.豊富なターゲティング機能
ディスプレイ広告では、性別・年齢はもちろんのこと、地理情報、言語、特定の検索履歴を持つユーザーに絞った広告配信が可能です。以下は、利用可能なターゲティングオプションの例です。
- コンテキストターゲティング:検索エンジン上の行動と過去の検索などの文脈(コンテキスト)からターゲットを絞ることが可能
- プレースメントターゲティング:広告を表示するウェブサイトを指定できる。また、特定のサイトをブロックすることも可能
- 人口統計を活用したターゲティング:年齢、性別、地理情報、興味など特定の要件を満たすユーザーのみに配信することが可能
- 行動ターゲティング:検索履歴やオンラインアクティビティに基づき、ユーザーを絞ることが可能。
4.料金形態
ディスプレイ広告の料金形態は、いくつかの支払い方法が用意されており、広告主がキャンペーン目標に合わせて選択することができることができます。
多くの場合はクリックされた回数に対して課金されるクリック課金(CPC)や表示された回数によって課金されるCPM課金、コンバージョンに対して課金されるCPA課金です。
ディスプレイ広告のデメリット
1.コンバージョン率は低い
ディスプレイ広告は認知度を高め、企業や製品に対しての関心を高めることができますが、購入意欲の高いユーザーに対してリーチする検索広告と比べて、コンバージョン率は低くなります。
売上を伸ばすことを目標にする場合、ディスプレイ広告は最適な選択肢ではない可能性があります。
2.配信先を細かく制御できない
ユーザーに対して興味関心、検索行動、位置情報といった優れたターゲティングオプションが用意されている一方で、「広告をどのプラットフォームに配信するか」という細かい配信先のコントロールを行うことはできません(除外することは可能)。そのため、自社の業界と関係ない配信先に広告が配信されてしまった場合であっても料金が発生してしまいます。
「検索広告 vs ディスプレイ広告」比較
ディスプレイ広告は、指定サイトへのトラフィック生成とコンバージョンの獲得という目的から、同じ効果を生むとされる検索広告と比較されることが多い手法です。しかし、結論から言うと、この2種類の広告は配信方法や目的が異なるため、それぞれの優位性を理解したうえで使い分ける必要があります。
目的
まず、ディスプレイ広告の特徴は、広告主がターゲットとするユーザーの属性や興味・関心、行動履歴などをもとに広告配信設定ができるため、あらかじめ広告をクリックする可能性が高いユーザーに対してアプローチできるという点にあります。加えて、画像・テキスト・動画など視認性が高く、企業や商品を想起させ、ブランド認知向上の効果が期待できます。
一方で、リスティング広告とも呼ばれる検索広告は、ユーザーが入力したキーワードに対しての検索結果とともに表示される広告であるため、ユーザーの購入意欲が高く、ディスプレイ広告と比べて、コンバージョン率が高くなります。
料金
検索広告のクリック単価は、キーワードや業界によって競争率が非常に高く「1クリック100ドル超え」なんて、業界などもあるのが現実です。場合によっては広告費用が予算オーバーしてしまう可能性もあり、目的に合った料金を選択できるディスプレイ広告の方がクリック単価が安くなる傾向があります。
ブランドや商品・サービスの認知向上やリマーケティング、外部サイトへの訪問促進が目的ならディスプレイ広告、直接的な販売促進やリードジェネレーションが目的ならGoogle検索広告という基準で使い分けると良いでしょう。
「ネイティブ広告 vs ディスプレイ広告」比較
世界中の3割以上の人が、デジタル広告に対して嫌悪感や不信感を抱いて広告をブロックしている昨今、ネイティブ広告はユーザーに対してストレスを与えない広告形式として注目されています。ビジュアルコンテンツを用いた広告形式であることにおいては、共通する2つの広告ですが、ディスプレイ広告とネイティブ広告とはどのような違いがあるのでしょうか。
ディスプレイ広告とネイティブ広告が大きく異なる点は「目的、料金」です。
目的
まず、ネイティブ広告は、ウェブサイトのデザインに溶け込むように設定された広告で、サイト内のコンテンツと一体となって表示される広告です。コンテンツの一部として記事内に溶け込んでいるため、ユーザーの検索行動の邪魔にならず、クリック率が高くなる傾向にあります。一方ディスプレイ広告は、明確に広告であることがわかるように表示されるため、ブランドや商品・サービスの認知度向上やリターケティングによって自社想起させるなどに強みのある広告形式です。
料金
ネイティブ広告の料金は掲載先のウェブサイトの雰囲気やコンセプトに合わせたクリエイティブの制作が必要となります。高い品質が求められ、コストも時間もかかるため広告費用という点においては、ネイティブ広告の方がコストがかかる傾向があります。大手情報メディアへの広告掲載となると、1記事分のネイティブ広告の作成・投稿費用だけで100万円を超えるケースも珍しくないうえに、効果測定後の広告を修正する際にも、新たな作成コストが発生します。
一方ディスプレイ広告は、クリック課金、インプレッション課金、コンバージョン課金などが用意されており、広告主がキャンペーン目標に合わせて選択することができることができます。いずれの課金方式であっても相場価格は比較的安価となっています。
限られた広告予算の中で費用対効果を高めていくためにも、それぞれの広告のメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで適した手法を見極めることが大切です。
海外向けディスプレイ広告、効果最大化のポイント
幅広いターゲティングとターゲット層への確実なリーチが可能であるという強みを持つディスプレイ広告ですが、ただ配信をするだけでは広告運用が成功したとは言えません。ここからは、ディスプレイ広告の運用を成功させるための7つのヒントをお伝えします!初めて海外向けにディスプレイ広告を取り入れるという方だけでなく、もっと運用成績を伸ばしたいという方も、ぜひ、参考にしてください。
1.正しいターゲティングを設定する
ディスプレイ広告は、さまざまな広告枠に広告が配信されてしまう可能性があります。そのため、狙ったターゲット層に確実にリーチするためには、正しいターゲティング設定を行うことが不可欠です。
ターゲットユーザーの年齢、所在地、言語、職業、行動などの情報を含むペルソナ(BtoC)・オーディエンス(BtoB)を特定し、顧客像を明確にしておきましょう。さらに、目標を設定し測定可能なKPIを決定します。
2.レスポンシブディスプレイ広告を使用する
レスポンシブディスプレイ広告を使用することで、配信先のデバイスの種類やサイズに応じて、画像・見出し・ロゴ・動画・説明文が自動的に調整されるため、ユーザーにとって常に最適なレイアウトで広告を表示することができることができます。
<Google広告_レスポンシブディスプレイ広告>
自動で広告が最適化されることで、広告表示の精度が向上するため、ユーザーにストレスを与えることなく、結果的に広告のクリック率向上につながります。加えて、レスポンシブディスプレイ広告であれば、広告サイズに合わせて何パターンも作成する手間やコストが省け、効率的に広告作成を進めることができます。
ただし、レスポンシブディスプレイ広告に使用するアセットについては、自動最適化に対応させるためにさまざまな規定があるので、準拠するものを用意をする必要があります。
3.高品質の画像や動画を使用する
視認性の高いディスプレイ広告に使用する画像や動画は、企業や商品を理解するために役立ちます。最良の結果を得るために、ぼやけて不明瞭なものや過剰なフィルターを使用した画像などは使用しないでください。
また、入稿した際に、各画像を表示して再確認することをおススメします。
<shopify_ディスプレイ広告例>
4.明確な価値を提示する
ディスプレイ広告は、商品やサービスに関する情報を掲載するのではなく、その商品やサービス、またはブランドが競合他社とどのような違いがあるか、どのような価値をユーザーに提供しているかなど、明確な価値を提示することで、よりクリックへと繋がります。企業やブランドからの強いメッセージを視覚的に発信することが、成功への重要なポイントとなります。
特別オファー、クーポン、割引、プロモーションコードなど、ユーザーの意思決定を後押しするために必要なものを加えましょう。
5.魅力的な行動を促すフレーズを加える
広告のクリック率向上のために、CTAボタンを設置することは、一般的に広く取り入れられていますが、そのボタンのデザインやレイアウト、表示されるメッセージによって、ユーザーがクリックするか否かの結果は大きく変わってきます。
まず見出しには、明確でシンプルな文言を使用し、商品やサービスをわかりやすく説明しましょう。誇大広告や日常会話のようなメッセージは避け、英語表記にする場合は、大文字と小文字を使い分け、一目でメッセージを理解できるようにする必要があります。
また、ボタンに表示されるメッセージも、単なる「Click here(ここをクリック)」ではなく、ユーザーが「広告をクリックして、もっとその商品やサービスのことを知りたい」と思うような魅力的な文言にするよう、言葉選びには細心の注意を払いましょう。
6.ランディングページとデザインが一致している
ディスプレイ広告をクリックした後の移動先である外部のランディングページ(LP)は、ユーザーが離脱することなくコンバージョンに至るよう促すためにも、ユーザーエクスペリエンスの高いデザインであることが重要です。
例えば、移動先のLPが広告から受けたイメージと全く異なる印象を受けるようなデザインだとどうでしょうか?また、CTAボタンをクリックしたにもかかわらず、LP内で次のアクションが明確に示されていなければ、ユーザーは早々にページを離脱してしまうでしょう。このようにLPデザインの最適化は、コンバージョン獲得を達成し、ディスプレイ広告の成功に欠かせない要素の一つであるため、ユーザー視点に立ってLPのUXをしっかりと検証することが大切です。
7.自動化で運用する
GDNやYDA(Yahooのディスプレイ広告ネットワーク)、Bingなどの広告配信ネットワークは非常に広いく、その中で広告主のニーズにマッチしたキャンペーンを設定するためには、強力なアルゴリズムに基づく自動運用に任せた方が懸命であるケースが少なくありません。
GDNでは、スマートディスプレイキャンペーン という、ディスプレイ広告運用に関する複雑な設定を一括してサポートするサービスを設けており、以下の3つの最適化技術により、キャンペーンの精度を高め、広告主の負担を軽減しています。
1. 自動入札
指定された目標コンバージョン単価に基づき、入札単価を自動調整します。
2. 自動ターゲット設定
コンバージョンに至る可能性の高いユーザーにリーチできるよう、ターゲット設定を自動最適化します。
3. 広告の自動作成
広告の見出し、説明、ロゴ、画像など、広告主が設定したパーツを自動で最適なレイアウトに配置し、広告枠に合わせて柔軟にレイアウトやサイズを自動的に調整します。
上記のような自動運用を活用することで、高い効果が得られる可能性が最大化されたキャンペーンを、広告運用初心者であっても、簡単に作成することが可能となります。ただし、このような自動運用の場合、様々な設定が最適化されるためには、学習するための時間が必要です。この学習期間は、大体2〜4週間が必要とされており、学習期間中は結果が芳しくないからといって設定を頻繁に変えたりせず、「試験運用期間」と割り切ることも大切です。
8.「静的 or 動的」、テストをする
ディスプレイ広告のフォーマットは、静止画だけでなく、アニメーションや動画を用いることができます。躍動感のある動的広告と動きのない静的広告は、それぞれにおいて強みがあり、高いマーケティング効果をあげることが期待できる広告形式です。
動的なディスプレイ広告は、デザインやビジュアルエフェクトの選択肢が豊富であるため、ユーザーに対してより魅力的な視覚体験を提供することができることから、クリック率、コンバージョン率ともに高くなる傾向にあります。
一方で、静的なディスプレイ広告は、動きがない分シンプルで明確なメッセージを打ち出しやすく、ブランドイメージを印象付けやすいというメリットに加え、動的広告に比べてクリエイティブ作成の工数も軽減することができます。そのため、最も高い確率で広告を成功に導くのであれば、動的・静的両方のディスプレイ広告を取り入れることをおすすめします。ただし、どのような塩梅で取り入れるのが最良な運用方法であるかについては、テストを実施し、広告の目的やターゲット層、キャンペーンの設定要素などから、多角的に検証していくとよいでしょう。
さいごに
ディスプレイ広告はデジタル広告の中でもコンバージョン率は高くない広告形態ではありますが、自社のブランド認知を高め、自社想起には優れたマーケティング手法の1つです。適切に運用を行い、最適化することで、海外市場であってもリーチを広げることができるでしょう。
「海外での認知を高めたい!」と思ったら、ぜひ、お気軽にご相談ください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。