Facebook広告戦略
~Facebook広告のコンバージョン率を上げる7つのヒント~
世界中で圧倒的多くのユーザーを獲得しているソーシャルメディア「Facebook」社名を「Meta」へと変更し、現実と仮想世界を繋げる「新しい扉」を開くなど、話題に事欠かないソーシャルメディアの1つでもあります。InstagramやTikTokの台頭により、一時期と比べて世間でもマーケターの間でも人気が落ち着いてきている印象ではあります。しかし、海外では現状は異なります。
新機能の追加などによって、未だに多くの新規ユーザーを獲得してきているFacebookは、ユーザー数が29億人を突破し、2024年以降もマーケターにとって” 価値のあるプラットフォーム ”と進化しています。
本記事では、そんなFacebookを海外向けマーケティングに効果的に活用するために、Facebook広告のコンバージョン率を上げるためのヒントをご紹介いたします。
Facebook広告とは?
Facebook広告とはFacebookに表示される有料のデジタル広告のことです。Facebook広告はさまざまなデバイスに表示され、画像や動画、スライドショーなどさまざまなフォーマットでFacebook上にいる潜在顧客やファンにリーチすることが可能な広告です。Facebookに広告を出稿したい場合、広告の作成から広告の管理、マーケティング目標に対するパフォーマンスのトラッキングまでを行うことができるツール「Meta広告マネージャー」を使用します。
Facebookで広告を配信することは、個人や企業ページへの投稿とは大きく異なります。Facebook広告には細かなターゲティング設定が用意されており、特定のターゲットだけに絞った費用対効果の高い広告を配信することが可能です。また、Meta広告マネージャーを通して広告配信を行うと、Facebook以外のInstagramやMessenger、Audience Networkも同時に広告配信が可能なため、より多くのリーチを獲得しやすい環境が整っています。
Facebook広告をの配信手順を理解する
Facebookに広告を配信する場合、以下の手順で進めていきます。
- Facebookビジネスページの作成する(広告マネージャアカウントが自動的に作成されます)
- 広告アカウントを設定する
- 支払い方法を設定する
- 広告作成してキャンペーンを開始する
海外向けFacebook広告アカウント開設から配信手順まではコチラのブログで詳しく説明していますので、記事をご覧ください。
Facebook広告を始めるための事前準備
Facebook広告を始める前に以下の5点を準備しておくと、Facebook広告をスムーズに配信することができます。
1.「広告の目的」を決めておく
Facebookでは、特定の「広告の目的」を定めたキャンペーンを作成します。そのため、事前に「この広告に一番求める成果は何か」を決定しておきましょう。2023年10月時点でMeta広告マネージャには6種類の目標が用意されているため、その中から最適な目的を選択しましょう。
- 売上:商品やサービスを購入する可能性が高い利用者を見つける
- 認知度:広告を覚えてくれる可能性が高いユーザーに、できるだけ多くリーチする
- トラフィック:指定したサイトへのトラフィックを増やす
- エンゲージメント:広告やページに対して望むアクションを行う可能性の高いユーザーを見つける
- リード:ビジネスのことをさらに知るために自分の情報を提供したいと思う利用者にリーチする
- アプリの宣伝:モバイルデバイスの利用者に、アプリをインストールしてもらうか、アプリ内で特定のアクションを実行してもらう
2.ターゲットを理解しておく
実名登録制を原則としているFacebookは、ユーザーの登録情報はもちろんのこと、利用端末やユーザーの興味関心事項やアクティビティを元にした多彩なターゲティング配信ができるため、海外デジタルマーケティング施策として無駄のない広告配信が行える優れたプラットフォームです。
広告の効果を高めるために、自社のターゲットとなるユーザーの利用者層、興味・関心事項や行動などを明確にしておきましょう。広告を作成する際に、ターゲットオーディエンスを設定し、広告を表示したいターゲットをFacebookに伝える必要があります。Facebook広告で利用できる多彩なターゲティングは以下の通りです。
3.広告予算を決めておく
Facebook広告では、1日に使用する金額かキャンペーン全体を通じて使用する総額の通算予算を設定します。予算を設定することで、広告費用が予算の上限を上回ることはありません。
<Meta広告_広告オークションについて>
設定した予算はいつでも修正することもでき、予算を細かく制御できるため、初心者でも安心して広告運用を行うことができます。
4.広告掲載面を決めておく
先述したようにMeta広告では、Facebook以外に同時に広告配信が可能です。そのため、事前にどのプラットフォームに広告を配信するかを事前に決めておきましょう。
各配信面は、SNS全般と比較してビジネス利用が多い「Facebook」 、若年層に親しまれていて視認性の高い「Instagram」、Facebookでのやり取りや外部との交流に便利なチャットツール「Messenge」、Metaと連携し人気媒体に簡単に広告を配信するサービス「Audience Network」の4つです。
また、Meta広告では広告掲載場所を「配置」と呼び、「自動配置」と「手動配置」の2つの選択肢があります。自動配置(デフォルト設定)を選択すると、キャンペーンの目的に応じて高い効果が見込める面を自動的に割り出し配信します 。何らかの戦略がある場合は別ですが、とくに無い場合は「自動配置」にすることが推奨されています。
Meta広告マネージャを通して利用可能な広告掲載面は以下の通りです。
5.広告フォーマットの種類と特徴を理解しておく
Facebook広告にはさまざまな広告フォーマットが用意されています。自社のビジネスストーリーを伝えるために最適なフォーマットを選択できるよう広告フォーマットの種類と特徴を理解しておきましょう。
画像広告
画像は1枚の画像とテキストを組み合わせて、ブランドのサービスなどを紹介するシンプルなフォーマットです。独自性を感じさせる印象的なビジュアルを使用することでブランドの周知にも役立ちます。
広告はMeta広告マネージャーで作成し、広告完成後は審査が入ります。審査に通過した後、その広告は掲載でき、ブランドの周知のほか販売促進プロセスにも助けになるはずです。自動配置を選択すると、Facebook、Messenger、Instagram、Audience Networkといった複数の配置に表示されます。
動画広告
動画は映像、音声、動きでブランドやサービスのストーリーなどを紹介していくためのフォーマットです。動画の長さは気軽に見られる短いものから、じっくりと見る長い動画まで、Meta広告マネージャで作成が可能です。画像広告と比べて、より多くの情報をユーザーに伝えることができます。動画広告を作成する際は、テーマ1つに絞って展開しましょう。
配置される場所はFacebook、Messenger、Instagram、Meta Audience Networkなど複数にわけられます。配置される場所によって使用可能な動画の長さが異なります。商品の使い方紹介動画や、個性的な使い方をする道具を掲載するなど、動きに特徴のある商品紹介時に重宝します。
カルーセル広告
カルーセル広告は、1つの広告に最大で10の画像や動画を組み込むことができ、それぞれに見出しや説明、リンクなどが付けられるのが特徴です。1度に複数の商品などが掲載できるため、不動産や個々に紹介ページを持つ商品の紹介に適しています。
また、カルーセル内に動画を活用することで、商品やキャンペーンの魅力などをアピールできます。別々の画像を複数使用も可能ですが、広告全体を大きなキャンバスとしてとらえ、1枚の大きな画像として使用すれば、インパクトのある広告が打ち出せるなど多角的なプロモーションが可能なフォーマットです。Facebook、Messenger、Instagram、Meta Audience Networkにまたがる複数の配置に表示されます。
コレクション広告
コレクション広告は、ビジュアル中心の画面で、利用者が広告をタップするとフルスクリーンの広告フォーマット「インスタントエクスペリエンス」で広告が表示されます。コレクション広告は、商品の認知度が低かったとしても動画や画像に興味を持った人がタップすることにより、即座に商品サイトへ誘導を促します。ビジュアルにインパクトがあれば、利用者を惹きつけやすく、ウェブサイトやアプリへ誘導してコンバージョン率アップにも貢献します。サービスや商品展開が多い企業には、とても魅力的な広告タイプです。
Facebookフィード、Instagramフィード、Instagramストーリーズなど、複数の配置に配信できます。
スライドショー広告
スライドショー広告は、動き、音、テキストを組み合わせることで費用をかけずに動画並みのインパクトを生み出すことができる優れたフォーマットの1つです。動画に比べて読み込み速度が5分の1程度と速いため、スムーズに再生することができます。
こちらのFacebook広告ガイドでは、フォーマットを選択して、広告の目的を選択することで、推奨されるデザインやテキスト文字数、広告規格などを確認することができます。クリエイティブ制作に取り掛かる前に事前に確認しておくことをおススメします。
いま、注目すべきFacebookトレンド
Facebook広告のコンバージョン率を上げるためのヒントに入る前に、Facebookマーケティングにおける主要なトレンドをいくつかご紹介します。
1.動画広告の人気が高い
数年前から高まっている「動画人気」は、2023年末の現在も過熱しています。Facebookの動画は1日に約5億人 が視聴すると言われており、その人気ぶりにFacebookも動画に多額の投資を行っています。さらに、Facebook動画の視聴数は、InstagramやYouTubeよりも多いことから、デジタルマーケティングを担当するマーケターの75%が動画の投稿先にFacebookを選んでいます。
動画コンテンツが人気のなか、自社の広告をより多くの人に観てもらうためには、視聴者がどのような状況で観ているか想像することも大切です。Metaのレポートによると、動画広告に”字幕”を追加したところ、動画視聴時間が平均12%増加しました。今後、Facebookでは動画広告内で簡単に字幕(キャプション)を追加できる機能を実装予定です。
2.ショート動画が席巻
Vineから始まり、TikTokで爆発的に人気が高まったショート動画は、現在のソーシャルメディアプラットフォームを席巻しています。Facebookでもショート動画の人気は非常に高く、この傾向はさらに続くと予測されます。Facebook広告で使用できる動画の長さは、配置によって異なります。Metaのレポートでは、15秒以内のショート動画のほうがエンゲージメントが高くなると言及しています。長く撮影しがちな場合は、数本にわけるなど工夫するとエンゲージメントに違いが出てくるでしょう。
3.ショッピング機能が搭載され「ショッピング広告」が開始
2020年6月から、InstagramとFacebookで共通管理できる「ショップ機能」が導入されました。FacebookやInstagramから直接、自社製品の展示・販売ができる同機能で、自社ECを持つ企業にとっては、ぜひ活用していきたい機能の1つです。
さらに、ショップ機能がパワーアップした「Advantage+ ショッピング広告」がスタート。Advantage+ ショッピングキャンペーンは、AIを活用して少ない設定時間で多くのコンバージョンを促進します。国ごとに最大8つのAdvantage+ ショッピングキャンペーンを仕掛けられる点も、海外を視野にいれた企業にとっては見逃せない特徴です。
Facebook広告のコンバージョン率を上げる7つのヒント
Facebookの平均コンバージョン率は業界によってさまざまです。Sidecarのレポートによると2022年、Facebook広告の平均コンバージョン率は6.57%でした。この数字をどう評価するかは、業種、業界、投下できる予算などを合わせてみる必要がありますが、キャンペーンが成果に結びついていないという場合でも、慌てる必要はありません。重要なことは、言うまでもなく、しっかり分析して、調整を加えて最適化することです。
Facebook広告が上手くいかない場合、まずは「技術的な問題・クリエイティブの問題」2つの軸で考えてみましょう。
技術的な問題
- 予算が適正でない
- ターゲティングが不十分
- キャンペーン構造を理解していない
- 明確な目的がない
- 広告フォーマットが適正でない
クリエイティブの問題
- コピー、見出し文、ラインディングページが適正でない
- ビジュアルが適正でない
- 明確な価値提案がない
更に、深堀していくために、Facebook広告のコンバージョン率を上げるための7つのヒントをご紹介します。
1.目標を明確にする
Facebook広告の目的は、新規顧客の獲得か顧客との関係性維持なのか、目標を明確にしましょう。方向性が決まらなければ、Facebook広告のマーケティング目標の選択ができません。マーケティング目標に迷われた方は、先述した「広告の目的」を参考にしたうえで、Facebook広告運用の目標を定めましょう。
2.明確なクリエイティブ戦略を立てる
競合ひしめくフィード内で自社のコンテンツを目立たせるためには、明確なクリエイティブ戦略が必要です。クリエイティブは見やすさ、理解のしやすさを意識して作成しましょう。また画像・動画内のテキストは多すぎると見にくくなり、広告のパフォーマンスが低くなる可能性があります。
洗練された動画は多くあるため、トレンドのサウンド・ビジュアルの採用や、高速モーションなどの活用。さらにブランドの限定商品を投稿するなど、オリジナル性の高い動画を制作し差別化を図ることもできます。
対象となるユーザーへの理解を深め、目的に合ったクリエイティブ戦略を立案しましょう。
3.刺さる、魅力的なコピーを採用する
コンバージョン率の高いFacebook広告を作成するためには、魅力的なクリエイティブが不可欠です。画像や映像ももちろん重要ですが、言葉には行動を促す力があります。説得力のある広告コピーを作成するためには、ターゲットユーザーに語りかける言葉を使用します。行動喚起のワードを含め、シンプルに表現することも大切です。
リピーターに対しては「私たち」と表現すると、より親近感が生まれます。ターゲットに合わせて、どのような言葉を選択するか丁寧に考えていくことが大切です。
近年、ChatGPTやAIを活用したコンテンツジェネレーターなどの登場により、2023年の第1四半期には、過去3年間と比較し「広告文の長さが約25%増加した」ことが分かりました。生成AIをうまく活用することで、自分では思いつかないようなヒントをくれるかもしれません。
4.コンバージョン率の高いランディングページを構築する
広告クリエイティブと広告クリック後に遷移するランディングページは、一貫性のあるデザインのものを制作しましょう。とくに広告上のリンクをクリックした先に表示されるランディングページは、とても重要です。広告でアピールした内容と相違があると、離脱につながってしまいます。
Facebook広告に大きなエネルギーを注ぐあまり、ランディングページにまで意識が向かない場合、最終的にコンバージョンまで繋がりません。コンバージョン率の高いランディングページを制作するためのヒントは以下の通りです。
- シンプルかつ内容を明確にする
- どんな価値が提供できるかに焦点を当てる
- コピーや見出しは、説得力のある言葉を選択
- 目線の流れに配慮したデザインとする
- 口コミや事例などを活用する
- 自社の信頼性が感じられる情報を表示する
5.Advantage+キャンペーンを試す
Advantage+ショッピングキャンペーンは、2022年10月より順次スタートした、広告キャンペーンを自動的に最適化してくれる広告施策です。機能学習と自動化システムを活用し、もっとも反応しそうなものを予測して表示します。配信したい国を選択してターゲティングするほか、複数のターゲットの設定が可能。新規・既存ターゲットのどちらが響くか、別々でのデータ排出ができます。抽出結果を見ながら比率の調整をしていけば、効率的に広告配信ができます。
1つの広告に150件までのクリエイティブを入稿でき、機械学習によって組み合わせてから配信されます。クリエイティブ数を多くすることで、さまざまなパターンの広告が配信できるため、クリエイティブ数を多くすることが推奨されています。
6.新しいフォーマットと配置を試してみる
Facebook広告では、4つの配信プラットフォームとさまざまな広告フォーマットが用意されています。広告を出稿して、一定期間配信を行った後、思ったようなパフォーマンスが得られない場合は配信先やフォーマットを変更するだけで、大きく結果が変わることもあります。
既存のキャンペーンと平行して新フォーマットを走らせてみましょう。「A/Bテスト」を実施することで、どのフォーマットが好まれているか判断することができます。広告を分析し、テスト、改善を繰り返しましょう。
7.予算を確保する
競合ひしめくFacebook広告は、シンプルに多くの金額を費やすほど、より多くの人に広告が表示される仕組みです。MetaによるとFacebook上のアクティブなビジネスページは、2億社以上存在しており、Facebookには700万人を超えるアクティブな広告主が存在しています。
やはり、海外市場でFacebook広告を成功に導くためには、それなりの金額を一定期間投資する必要があります。
まとめ
海外向けにFacebook広告を出稿することは、さほど難しいことではありません。しかし、世界中の多くの企業が試行錯誤を繰り返すなか、高い成果を出すためには、常に新しい情報を仕入れ、分析・テスト・改善、試行錯誤を繰り返しながら運用を続けていくことが何よりも大切です。
Facebookは海外デジタルマーケティングにおいて必要不可欠ともいえる媒体です。SNSを活用したグローバルマーケティングでお困りのことがございましたら、ぜひ私たちにお申し付けください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。