BtoB向けソーシャルメディアチャネル、6選
~2024年の成長を後押しするベストプラットフォーム~
顧客との接点がデジタル上へ移動したいま、BtoB企業であっても購入を決定するためにソーシャルメディアを利用することが増加しています。
ソーシャルメディアにはBtoBビジネスを成功に導くための様々なチャンスと要素が含まれており、実際、多くのBtoBマーケターたちは、ソーシャルメディアを活用した海外戦略を積極的に実施しています。
「長く複雑なBtoB購買サイクルを攻略し、いかに世界の顧客にアプローチしていくか」。本記事では、BtoB企業におけるSNSマーケティングの重要性やBtoB企業に適したソーシャルメディアの特徴と活用方法を解説していきます。
目次
- BtoB企業におけるSNSマーケの重要性
- BtoBビジネスに最適なソーシャルメディアチャネル
- ・YouTube
- ・TikTok
- まとめ
BtoB企業におけるSNSマーケティングの重要性
従来のオフラインのマーケティング施策は、デジタル化が進む現在であっても顧客と繋がるための重要な方法の1つです。しかし、人々がインターネット上で過ごす時間が膨大になったことや、生活におけるソーシャルメディアの役割が変化していることを考慮すると、BtoB企業であってもソーシャルメディアの重要性は高まっています。
Gartnerの調査では、BtoB企業の購買担当者の40%が「ソーシャルメディアが購買決定に影響を与えている」と回答しています。GWI.が実施した11,653人の意思決定者を対象にした調査でも、30%以上が「新しい製品やサービスを見つけるためにSNSを使用している」と回答していることがわかりました。
日本のBtoBビジネスでは「昔からの営業担当者が企業を訪問して、新しい商品を紹介する」ことが一般化していましたが、海外の場合、企業担当者が自ら「インターネットやSNSを活用して調べる」という手段が一般的に定着してきているのです。
今後、2025年までには、BtoB領域におけるビジネス活動の80%がデジタルチャネル上で行われるようになるという試算もでていることから、BtoB企業にとっては、ソーシャルメディアを活用した海外戦略を考慮するが、今後の「ビジネスの要」と言っても過言ではありません。
BtoBビジネスに最適なソーシャルメディアチャネル
ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略を策定する際、その結果を大きく左右するのが、チャネルの選択です。対象となるターゲットが直接購買まで行うBtoCビジネスと、購買まで複数の担当者が関与し、購入決定まで長い時間がかかるBtoBビジネスでは、最適なソーシャルメディアは異なります。
ここからは、BtoBビジネスとの親和性の高いチャネルを紹介しながら、それぞれの特徴と活用方法を解説していきます。
やはり海外向けBtoBビジネスに親和性の高いソーシャルメディアといえは、LinkedInです。
LinkedInの強みは何よりも、ビジネスに関心が高い人が集まる「グローバル転職プラットフォーム」であり、さまざまな業種・業界の「ビジネスパーソン」と強い繋がりを構築することができるという点にあります。
LinkedInユーザー数はここ数年で急激に増加し、10億人を突破しました。うち6,500万人以上がビジネス上の意思決定者であり、ビジネス上の何らかの意思権限を持ったユーザーです。さらに、LinkedInの月間アクティブユーザーの約40%が「毎日LinkedInを利用している」ことを考慮すれば、LinkedInを効果的に活用することで、「毎日1億人を超える役職の就いた専門家にアプローチできる可能性がある」ということです。
さらに、LinkedInの平均コンバージョン率は、他のSNSと比較すると高い傾向がでており、Facebookが0.77%、X(Twitter)は0.69%に対し、LinkedInは2.74%と約3倍近くに跳ね上がります。これもユーザー側の利用目的がビジネスに対して意欲的なマインドセットであるための結果が起因していると見られています。
LinkedInはBtoBビジネスにおける海外戦略に欠かせない存在であると言っても過言ではありません。
BtoB × LinkedIn
LinkedInでは、顧客と繋がるためのさまざまな機能を提供しています。
その中の1つ、LinkedInグループ機能は、グループで知識を共有し、ユーザー同士で深い繋がりを作るために設計されたコミュニティスペースです。LinkedInグループで活発に活動しているグループを探し、積極的に参加したり、独自のグループを作成したりしましょう。新しいユーザーと繋がることで、質の高い潜在顧客に出会えたり、企業間でのブランド認知向上が高まります。
LinkedIn広告では「転職プラットフォーム」という特性を生かし、他のSNSにはない非常に細かなターゲティングオプションが提供されており、狙ったターゲットオーディエンスへの無駄のないアプローチを可能にします。
例えば「製造業界、年商100億円規模以上、シニアマネージャー、資材調達、アメリカ」といったターゲットだけに広告配信などが出来るということです。以下は、一部例です。
- 会社カテゴリー:S&P500などのカスタムセグメント
- 会社のつながり:選択した会社の従業員の1次つながりにアプローチ可能
- 会社フォロワー:LinkedInページのフォロワーをターゲットにできる
- 会社の成長率:前年比の成長率をターゲットに
- 代表事業:メンバーが勤めている会社が公表している会社の主な事業
- 会社名:会社名
- 企業収益:企業の推定年間収益
- 会社規模:LinkedIn会社・団体ページに記載されている従業員数
- 職務レベル:現在の役職と影響力
- スキル:[スキル&スキル推薦]に入力されたスキルやプロフィールに記載されているスキルなど
- 経験年数:実務経験の合計年数
日本国内では、すでに古株のソーシャルメディアというイメージもあるFacebookですが、現在でも海外では活発に活用されています。
Facebookのデイリーアクティブユーザーは1日20.9億人(2023年Q3時点)であり、依然、前年同月比+5%ほど成長していることや、ユーザーが多様で幅広い層にリーチすることができることが特徴です。
更に、BtoBビジネスにおける意思決定者の48.5%が「企業や製品のリサーチにFacebookを活用している」と回答しているほか、Gartnerの調査レポートでもBtoB購入者の70%が「購入の意思決定に役立った」と回答していることから、数あるソーシャルメディアプラットフォームの中でも、BtoBビジネスに親和性の高いプラットフォームであると言えるでしょう。
BtoB × Facebook
FacebookはBtoC向けと思われがちですが、BtoBで合っても顧客とより個人的なレベルで繋がり、強固な関係構築を行うことができる優れたプラットフォームです。
近年、海外ではFacebookグループが急速に普及しており、毎月10億人以上のユーザーが利用するまでになりました。Facebookグループでは、ビジネスの共通テーマや趣味、地元グループなどが情報を共有するスペースのため、BtoBマーケティング担当者にとって潜在顧客を見つけ、つながりを構築するために最適なスペースです。Facebookグループを作成して、サブスクリプション機能を活用して限定コンテンツを共有したり、ライブ機能を活用してリアルタイムで交流などを行うことも可能です。
Facebook広告におけるBtoB向けターゲティングオプションは、LinkedInほど具体的で詳細に細分化されたものではありませんが、実名制をもとにした、正確なデータが蓄積されています。顧客の位置情報・興味関心・人口統計・アクティビティなどに基づいた高度なターゲティングが指定することができます。さらに、BtoBビジネスで活用できる以下のようなターゲティングオプションが用意されています。
- IT decision-makers:役職に基づいてIT関連の意思決定者に広告をターゲティング可能なBtoBオーディエンスセグメント
- Business decision-maker titles and interests:役職と興味関心に基づいてビジネス上の意思決定者であるユーザーに広告をターゲティングするBtoBオーディエンスセグメント
- Business decision-makers:エンジニアリング/IT、運用、人事、戦略、マーケティングの役職に就いているビジネス意思決定者にターゲティング可能なBtoBオーディエンスセグメント
- New active business(<6 mo, <12 mo, <24 mo):過去6か月・12か月・24か月以内に作成されたビジネス管理者
また、リード獲得フォームやカスタムオーディエンス、類似オーディエンスなどBtoB企業のマーケティング担当者が活用できる多くの機能が実装されています。
YouTube
動画マーケティングを牽引する存在であるYouTubeは、世界中でMAUは24.9億人以上を誇る、無料動画プラットフォームです。
企業やブランドはYouTubeを通して動画を配信することで、海外の顧客に対して自社の商品やサービスの認知度を高め、新規顧客を生み出すことができるため、優れたマーケティングツールの1つとして多くの企業がYouTubeを活用しています。
消費者の50%以上が「他のどのコンテンツよりも動画を好む」傾向があり、60%以上が「テレビよりもオンラインで動画を視聴することを好む」という傾向があることを考慮すると、動画プラットフォームの王様「YouTube」を活用しない手はありません。
BtoB × YouTube
YouTubeは世界で2番目に大きい検索エンジンであり、Google・Facebookに次ぐ地球上で3番目にアクセスの多いウェブサイトです。そのため、世界中の幅広い潜在顧客にリーチすることができ、BtoBマーケティング担当者にとって強力なプラットフォームの1つです。
GWI.の1万人以上を対象にした調査でも、意思決定者の10人中5人は「新製品やサービスを検討する際にYouTubeを使用する」と回答しています。
BtoB企業にとって、製品やサービスが技術的に複雑な場合、動画は他のどのコンテンツタイプよりも明確に情報を伝えるために最適な手段です。特にBtoB企業の場合、製品紹介やデモンストレーション、製品の有効性など、視聴者の疑問を解決するような動画は高いパフォーマンスを発揮します。視聴者の興味関心トピックや自社の専門分野に関連するトピックなどの動画を公開しましょう。
また、YouTube広告を効果的に活用できれば、例えニッチな産業であったとしても多くの潜在顧客・顕在顧客を見つけられる可能性があります。YouTube広告では、親会社であるGoogleのデータを使用するため、適切なメッセージを適切なタイミングで配信することが可能です。
YouTube広告の詳細に関しては、「海外向けYoutube広告【完全ガイド】」の記事で詳しく説明をしています。
ユーザーの61%以上が34歳未満であるInstagramのユーザー数は、13億人を超え、若者に非常に人気の高いソーシャルメディアです。
Instagramは、写真・動画などのビジュアルコミュニケーションに重点を置いたプラットフォームであり、ユーザーたちの多くは「最新のトレンド・ブランド・魅力的なコンテンツ・新しいアイデア」を求めてInstagramを利用しています。
BtoC向けの印象が非常に強いインスタグラムですが、ユーザーの50%以上がインスタグラムで企業やブランドをフォローし、毎日約2億人のユーザーが何かしらのビジネスアカウントを訪問しています。ユーザーの60%がInstagramを通じて新商品情報を入手し、その情報は、購入判断にも大きく影響を及ぼしていると答えており、BtoBブランドプロモーションの海外戦略においても大きな効果を生み出していることを示しています。
BtoB × Instagram
Instagramでは視認性が高い「ビジュアルコンテンツ」を活用することで、Instagram上で強力な存在感を発揮することが可能であり、BtoB企業にとって強力なリード獲得ツールとなりえるでしょう。
Instagram上でもっとも重視されるのは、視覚情報です。投稿するコンテンツは、1080×1080のサイズで見られることを大前提に作成すること、そして、ユーザーが楽しめるようなアイキャッチーで映えるコンテンツであることは、Instagramを活用する上での必須条件となっています。
そして、ストーリーズやリールといったショートムービー機能は、認知度向上や信頼の獲得においても、非常に有効に働きます。ただし内容は、企業や製品、サービスのインサイドストーリーなど、温かみや人間らしさを感じられるものにフォーカスした方がリード生成に役立ちます。
Instagram広告ではFacebook同様に、顧客の位置情報・興味関心・人口統計・アクティビティなどに基づいた高度なターゲティングを指定することができます。
アメリカ版2ちゃんねるのような、掲示板型SNSのRedditは、英語圏ユーザーを中心に利用者数を増やしています。欧米では、2021年にTwitterの利用者数・利用時間を超え、現在急成長中のソーシャルメディアです。
2020年1月の時点で月間アクティブユーザーが4億3000万人に到達し、2019年から2021年にかけて、月間アクティブユーザーは30%も増加しています。日本ではあまり知られていないRedditですが、この驚異的な伸び率は、TikTokやPinterestに次ぐ3位の伸び率です。
Redditの最も大きな特徴は、ユーザーの大多数が「20代〜40代」の「男性」で、ITリテラシーが高く、テクノロジーに精通しているという点です。そのため、BtoBテクノロジービジネスのマーケティング戦略に活用されるケースも増加しています。
BtoB × Reddit
潜在顧客が集結するRedditは、戦略的にアプローチすることで、潜在顧客を発掘するための優れたチャネルの1つです。Redditには、BtoB企業や役職、業界などに関するさまざまなコミュニティ(サブレディット)が存在しています。
ターゲットとなる潜在顧客がいる可能性の高いサブレディットを特定して、ユーザーが興味を持つような有益で関連性の高いコンテンツを共有します。Redditユーザーは質の高いコンテンツを高く評価するため、問題解決や有意義な議論のきっかけを提供しましょう。
ただし、Redditではサブレディットによって独自のルールや文化が存在しています。自社の宣伝を厳しく禁止するサブレディットもあり、ルールとガイドラインを把握する必要があります。
TikTok
ショートムービーに特化した動画プラットフォームであるTikTokは、若年層に限らず幅広いターゲット層に対して、アプローチすることが可能なソーシャルメディアです。
2023年10月時点で、TikTokの月間アクティブユーザー数は12億1800万人に達し、2022年モバイルアプリは6億7200ダウンロードされ、「世界で最もダウンロードされたモバイルアプリ」でした。
TikTokのエンゲージメント率はInstagramと比較しても高く、加えて、ユーザーの購買意欲が喚起されやすく、実際の購入率も高いため、適切なアプローチをとることでBtoB企業であっても価値のあるマーケティングプラットフォームです。実際、ShopifyやSemrushなどBtoB企業であっても視聴者と繋がり、認知拡大にTikTokを上手く活用しています。
BtoB × TikTok
TikTokユーザーは何か新しいことを学ぶことが大好きです。
TikTokユーザーの84%は「何か新しいことを発見したり、学習するための情報源」としてTikTokを使用しています。実践的なヒントや楽しい事実を共有しながら、自社の専門知識を紹介することで、業界での権威を確立することができるでしょう。
加えて、2023年以降のTikTokアルゴリズムは、真面目なコンテンツよりも、軽くて楽しい、ユーモラスなコンテンツなど、 “エンターテイメント性” を重要視しています。BtoB企業がTikTokを活用する場合、「固く・真面目な製品説明動画」ではなく、楽しい事実を共有し、ユーモア溢れる動画にすることを意識しましょう。
TikTok広告では、年齢や性別、場所、興味関心事項などのデータを活用して、適切なターゲットに広告を配信することが可能です。TikTok Ads Manager は、画像広告フォーマットと動画広告フォーマットの両方をサポートしているほか、さまざまな広告オプションを利用することができます。
まとめ
ソーシャルメディアは「企業⇔顧客」を強固に繋ぐ素晴らしいデジタルツールです。これまで一部の大企業を中心に展開されていた海外向けソーシャルメディアマーケティングでしたが、近年、小中規模のBtoB企業であっても海外向けに活用する企業が目立つようになってきました。海外向けSNSマーケティングにおいては、SNSの特徴を理解して、いかに効果的に活用するかが成功を握るカギとなってきます。
インフォキュービック・ジャパンでは、Facebook・LinkedInをはじめとするさまざまなSNS媒体を用いたグローバルSNSマーケティングを得意にしています!日本から世界に向けたデジタルマーケティングでお困りごとがございましたら、お気軽にお申し付けください。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。