韓国向けインバウンドプロモーション 3つのポイント
~韓国人観光客の特徴から最適なプロモーション手法まで~
目次
気づけば日本での生活も5年目。未だに街中で韓国語を耳にすると嬉しくなる韓国出身マーケターです。
日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計によると、2024年9月時点で日本を訪れる外国人観光客のうち約4分の1を韓国人観光客が占めており、過去最高を記録した2018年を上回ることが見込まれています。
こうした状況の中、自治体・ホテル業・航空業といった様々なお客様から訪日韓国人観光客をターゲットとしたプロモーションのご相談も増えており、本記事ではインバウンドプロモーション戦略に役立つ「訪日韓国人観光客の特徴」と「効果的なプロモーションタイミング」「主なプロモーション手法」という3つのポイントについてご紹介します。
訪日韓国人観光客の特徴
インバウンドプロモーションを成功させるには、まずはターゲット顧客の特性を正確に把握することが欠かせません。ここでは訪日韓国人観光客の主な特徴を紹介します
1.韓国人観光客の4人中3人は「リピーター」
日本政府観光局(JNTO)によると、訪日韓国人観光客の75.8%がリピーターです。リピーターは初訪問者と比較して、旅行前後で求める体験が大きく異なるという特徴があります。
- 旅行マエに期待するもの:日本食、ショッピング、自然観光など
- 旅行アトに期待するもの:温泉入浴、旅館宿泊、日本の生活体験など
このデータから自社のターゲットに合う訴求内容を、初訪日者とリピーターで分けることも有効と考えられます。
2. 20~30代の若年層が多い
韓国の大手カード会社KB国民カードの調査によると、日本行き航空券を購入した39%が20代、29%が30代だったそうです。これらのデータから、若年層が訪日韓国人観光客の中心層を形成していることがわかります。
そのため、デジタル情報に触れる機会が多いこの世代をターゲットとする場合、SNS(Instagram、YouTube、TikTok)での動画プロモーショやインフルエンサーを活用した視覚的なプロモーションが効果的と言えるでしょう。
3.旅行スタイルは少人数の「FIT(海外個人旅行)」
韓国のリサーチ企業 コンシューマーインサイトによると、海外旅行へ行く際の人数は、2人が38.8%と最も多く、旅行スタイルとしては60.1%がFIT(個人旅行)を選択していることが分かっています。SNSなどが発達し、情報収集が容易に行える近年は、大規模な団体旅行やパッケージツアーよりは個々のニーズを満たせる柔軟な旅行計画を求めています。この傾向を踏まえ、少人数向けのカスタマイズ可能な旅行プランのプロモーションの展開を検討することも有効です。
効果的なプロモーションのタイミング
韓国人観光客が訪日する時期や旅行計画を立て始めるタイミングに合わせてプロモーションを行うことも、プロモーションの効率を最大化する要素の一つです。訪日韓国観光客はどんな時期を好み、いつから旅行を計画するのでしょうか?
韓国観光Data Labが公開した月別の訪日韓国人観光客数データによると、旅行制限があった2020年~2022年を除く過去10年間では、「12月~2月に訪日需要が集中する」傾向が確認されています。この時期には年末年始・冬休み・旧正月(ソルナル)の連休を利用して日本を訪れる観光客が多いと考えられます。しかし、訪日韓国人観光客数は為替レートや日韓関係の影響を受けるため、こうした要因もプロモーション戦略を立てる際に考慮する必要があります。
また、スカイスキャナーが公開した2023年の韓国人旅行者に関するデータによると、韓国人は「旅行の30~59日前から計画を立て始め、事前予約を行う」という特徴があります。この傾向を踏まえると、訪日需要が見込まれる2か月前からプロモーションを集中展開することで、効率的に潜在顧客へアプローチできます。
韓国人観光客に最適なプロモーション手法
早くからインターネットが普及した韓国では、デジタルを用いた旅行情報の収集が主流です。ここでは主要な手法を俯瞰し、それぞれの活用イメージを紹介します。
検索エンジンを活用する
韓国で高いシェアを持つ「NAVER」や「Google」のキーワード検索広告、また「NAVER Blog」や「Tistory」などブログの運用は、需要獲得や認知拡大に効果的です。
<具体例>
「日本 温泉 旅行」「大阪 グルメ」「沖縄 航空券」といった旅行関連キーワードで検索結果の上位にウェブサイトやブログ記事を表示し、観光需要を獲得します。また、地域名や季節性に基づいたキーワード戦略を用いることで、潜在的なターゲット層へのアプローチが可能です。
※2024年版、韓国で人気の検索エンジンはこちらの記事より詳しく紹介しています。
ソーシャルメディアを活用する
「Instagram・TikTok・YouTube」などのプラットフォームを活用し、話題作りや情報発信に効果的です。
<具体例>
ショート動画で日本の観光地やグルメを紹介したり、「#일본여행(日本旅行)」や「#온천여행(温泉旅行)」といったハッシュタグキャンペーンを展開することで、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の拡散を促進します。また、ターゲット層の行動データを基にした精度の高い広告配信も可能です。
※韓国向けSNSマーケティング成功のヒントはこちらの記事より成功事例を取り入れて紹介しています。
OTAプラットフォームを活用する
「Expedia・Triple・Agoda・MyRealTrip・Booking.com」など、オンライン旅行会社(OTA)が運営するプラットフォームは、宿泊施設やツアー商品と親和性が高く、インバウンドプロモーションにおいて重要なチャネルです。
<具体例>
日本特有の観光需要が高まる時期や韓国の大型連休に合わせて、限定プランを展開したり、OTAプラットフォームが運営している記事などにネイティブ広告を出稿するなど、旅行を計画中のターゲット層に効果的にアプローチできます。。
インフルエンサーと協業する
韓国国内で影響力のあるインフルエンサーや芸能人と協力し、観光地やサービスの体験を視覚的に訴求でき、情報の2次拡散や口コミによる宣伝効果を高められます。
<具体例>
旅行系YouTuberが日本の温泉や伝統文化をVlog形式で紹介することで、親近感を与えながら、情報の拡散効果を高めることが可能です。信頼性が高く、直接的な購買意欲を喚起しやすいのが特徴です。
さいごに
韓国向けインバウンドプロモーション戦略で押さえておきたいポイントをご紹介しました。後半で触れたOTAプラットフォームの中には、韓国独自のものも含まれており、初めて耳にした方もいらっしゃるかもしれません。
訪日韓国人観光客の情報収集元など、さらに詳しいデータとインサイトは、以下のURLからダウンロードできるホワイトペーパーにて詳しく解説しておりますので、ぜひお役立てください!
ヨンス チェ マーケティング部
大学では日本語の通訳・翻訳を専攻し、韓国から日本への移住を決意。 「日本と世界をデジタルで繋ぐ」マーケターとして活躍したいとを思い、インフォキュービック・ジャパンへ入社。 淡水エビ・タランチュラ・大型オウム・希少クワガタなどの飼育・繁殖経験もあるほど生き物が大好きです。現在、ヤモリを飼育して10年以上、ヤモリ愛に溢れた韓国人です。