「世界のデジタル事情、要注目ポイント」
【コロナ前、2019年総括版】
昨今、世界中でデジタル市場が注目を集めていることは、みなさんもご存知のはず。しかしながら、具体的にどれだけ巨大な市場が広がっているのかと聞かれると、答えに窮する方も多いのではないでしょうか。海外マーケットを効果的にかつ効率よく進めるためには、デジタル市場に関する世界のデータがとても重要な意味を持ちます。そこで本記事では、We Are Socialが2019年に報告した世界のデジタル事情に関する注目データを一挙にご紹介するとともに、要注目ポイントを総括します。
※本記事に掲載されたすべてのデータは、We Are Socialが報告したDIGITAL 2019:GLOBAL DIGITAL OVERVIEWに掲載されています。
1.世界のデジタル事情 概要
まずは大きな枠組みとして、世界のデジタル事情を見ていきましょう。
図1 世界のデジタル事情(人口に基づいて)
図1は、世界のデジタル事情に関するデータを示したものです。現在、世界には76億7600万人の人々が暮らしていますが、その中で、ユニークモバイルユーザーは51億1200万人(全人口比67%)、インターネットユーザーは43億8800万人(全人口比57%)といわれています。また、アクティブソーシャルメディアユーザーは34億8400万人(全人口比45%)、モバイル端末を利用したソーシャルメディアユーザーは32億5600万人(全人口比42%)です。日本ではインターネット利用は当たり前という風潮がありますが、世界全体を見てみると、浸透率はわずか57%です。
図2 世界のデジタル市場の1年間の増加率(2018年→2019年)
図2は、2018年1月から2019年1月までの1年間の各項目の増加率を示したものです。世界の人口は1.1%(8400万人)、ユニークモバイルユーザーは2.0%(1億人)、インターネットユーザーは9.1%増(3億6700万人)、アクティブなソーシャルメディアユーザーは9.0%(2億8800万人)、モバイル端末を利用したソーシャルメディアユーザーは10%(2億9700万人)の増加がみられました。
世界における1年間の人口増加が1億人未満なのに対し、各項目の数は1億人、2億人、3億人と増加しています。つまり、デジタル化の進んでいなかった地域に、デジタル化の波が急激に押し寄せていることを意味します。2018年から2019年までの1年間で増加したインターネットユーザーの人数は3億6700万人。つまり、1日あたり約100万人の人々が、新たにインターネットの利用を開始しているわけです。現在、日本における1年間の出生数は過去最小の86万4千人でしたが、それとほぼ同数のインターネットユーザーが、毎日世界で新たに誕生しているのです。これを見ただけでも、世界におけるデジタル市場の巨大さを体感できるかと思います。そうです。今世界では、デジタル市場はビッグチャンスの時期となっています。
2.世界のインターネット事情
世界のインターネット事情に焦点を絞り、いくつかのデータを見ていきましょう。
図3 地域ごとのインターネット利用状況
こちらの資料は地域ごとのインターネット利用状況を示したものです。インターネット産業が盛んなアメリカを含む北米、そしてイギリス、ドイツなどを含む北欧は95%とさすがに高いインターネット普及率です。しかし、経済成長が急激に進んでいるエリアであっても50~60%、また、アフリカの一部のエリアにおいては、未だに10%台に留まっている地域もあります。
図4 1年間に増加したインターネット利用者数の国別ランキング(2018年→2019年)
図4は、1年間に増加したインターネット利用者数の国別ランキングです。第1位はインドで、約1億人の人々が新たにインターネットの利用を開始したと報告されています。第2位の中国においては約5000万人。特定の地域においてインターネットの利用率が急激に高まっているのがわかります。
図5 世界のインターネット利用者数の年次推移
図5は、世界のインターネット利用者数の年次推移を示したものです。2014年には24億8500万人だったインターネット利用者数は、わずか5年間で43億8800万人にまで増加しました。今後も徐々に増加していくと考えられます。
図6 1日のインターネット利用時間
図6は、国別にみた1日のインターネット利用時間を示したものです。世界平均は6時間42分。日本はなんと最下位の3時間45分とのことです。第1位はフィリピンで10時間02分。
図7 世界各国における固定回線のインターネット通信速度
図7は、世界各国の固定回線のインターネット通信速度を示したものです。世界平均は54.3Mbpsと報告されています。
図8 世界各国におけるモバイル端末のインターネット通信速度
図8は、世界各国におけるモバイル端末のインターネット通信速度です。世界平均は、25.1Mbpsと報告されています。
これらのデータから、各地域において狙い目となるビジネスの形が見えてきます。インターネットの普及率が低い地域においては、インターネット利用の普及を進めるインフラ整備の需要が高まります。安価にかつ安定したネットワークの構築ができれば、そのエリアにおいて大きな成功を収めることができるでしょう。しかし、高性能のアプリやデバイスは、通信速度や費用の問題から需要は低そうです。その一方で、インターネットの普及率が高い地域においては、他の企業と差別化するための経験やアイデアがより重要になります。経済的に安定している国が多く、大きな売り上げ増を期待できる反面、多くの競合の中に埋没してしまう可能性もあります。現在、多くのインターネット関連企業が狙っているのは、普及率50~60%の後進国です。インドや東南アジアは、今後の人口ボーナスが期待できることから、インターネットインフラ事業やアプリ開発企業の注目の的となっています。
3.世界のソーシャルメディア事情
世界のソーシャルメディア事情を見ていきたいと思います。
図9 世界におけるソーシャルメディア利用者の割合
図9は、世界のソーシャルメディア利用者の割合を示したものです。インターネット利用者の割合と関連した結果が示されており、インターネットが広く広がっている地域においては、ソーシャルメディアが積極的に利用されている様子が伺えます。
図10 世界におけるソーシャルメディア利用者の年齢および性別
図10は、世界のソーシャルメディア利用者の年齢および性別です。20代、30代を中心に利用されていることがわかります。
図11 世界各国における一日当たりのソーシャルメディア利用時間
図11は、世界各国の一日当たりのソーシャルメディア利用時間を示したものです。平均平均では、2時間16分の時間をソーシャルメディアに費やしていることが明らかとなりました。日本の時間はわずか36分で、世界的にみても極端に少ないことがわかります。
図12 世界における主要SNSのアクティブユーザーアカウント数
図12は、世界の主要ソーシャルメディアのアクティブユーザーアカウント数です。トップはFacebookの22億7100万人、第2位はYouTubeの19億人、第3位はWhatsAppの15億人です。
図13 世界各国における主要SNS
図13は、世界各国で利用されている主要SNSです。カナダや南米、一部のヨーロッパ諸国ではWhatAppの人気が高いことが伺えます。その一方、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパの一部の国においてはFacebookが人気のようです。また、WeChatは中国のみですが、上記のランキングで5位に入るなど存在感を示しています。
図14 各SNSに広告を投稿した際に視聴する可能性のあるユーザー数
図14は、主要SNSに広告を投稿した際に視聴する可能性のあるユーザー数を示したものです。トップはやはりFacebookで、理論上は21億2100万人もの人々に広告を届けることが可能です。また、LinkedInが特別にピックアップされていることからも、現在LinkedInは世界の広告市場において注目のSNSであることが伺い知れます。
現在、広告関連市場の主戦場ともいえるSNSの状況について見てきました。図11に示されているように、日本国内のSNS利用時間は36分と短く、SNSマーケティングがそれほどの効果を及ぼさないのでは、と思う方もいることでしょう。しかし、世界の実情は全く異なります。世界の多くの国では、SNSの活用はもはや生活の一部となっており、以前は人々が余暇時間にテレビを視聴していたように、現在ではSNSを開くというのがあたり前になってきました。海外マーケティングを効果的に進めるためには、SNSマーケティングが非常に重要になってくることは、上記のデータからもお分かりいただけるかと思います。
しかしながら、各SNSはそれぞれ異なる特徴を有しているため、SNSに対する深い理解、またSNSマーケティングの正しい知識がなければ、SNSを活用したマーケティングで大きな成功を収めることは難しいといえます。さらに、人気のSNSは国ごとにも異なっていますので、ターゲットとする国に応じた最適なSNSの選定およびマーケティング戦略を練る必要があるでしょう。
4.終わりに
本記事では、世界のデジタル事情に関するデータを中心に紹介してきました。今やデジタル市場は世界のトレンドです。世界のデジタル分野における成功は、企業の大きな収益獲得に直結します。しかしながら、競合も多いことから容易には踏み込めない分野と認識されている方も多いと思います。実際のところ、企業が単独で世界のデジタル市場にチャレンジするというケースはごくわずかで、多くの企業が弊社のような海外マーケティング、デジタルマーケティングを主に扱う企業の支援を受けつつ、海外マーケティングに着手しているのが現状です。デジタル市場の隆盛は、今後も継続するだろうと考えられています。
今後、ターゲット国や地域でよく使われているデジタルメディアを把握することは御社の海外進出の第一歩となります。グローバルマーケティングをご検討中でしたら、ぜひ海外特化のインフォキュービック・ジャパンにお声掛けください!
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。