インド発モバイル医療サービス3選
~自分で採血まで? 13億人を超える巨大医療市場のいま~
人口13.5億人以上の巨大市場!
インドで人気のモバイル医療サービスアプリ
世界トップの人口を抱える中国に迫る勢いで人口増加の続くインド。人口は世界第2位となる13.5億人を超え、今も毎年2500万人の人口が増えつづけており、2027年前後には中国を抜き「世界一」になると予測されています。
そんな人口増加が止まらないインドの社会問題の一つが「医療サービス」です。多くの人が暮らす中、医療規制・環境整備の遅れにより、医療費が安定せず、近年インドの医療費は上昇傾向にあります。また、無料で受診が可能な公的医療機関の供給も限られており、病院自体が都市部に集中し、農村部では病院に行くだけでもかなりの労力が必要になり、受診自体を諦めてしまう人々が多くいるのが現状です。さらには医師や設備不足が深刻化し、不衛生な環境下で長時間の診察待ちを強いられるなどの状況が問題視されています。
このような状況の中、近年のインターネット、テクノロジーの発達に伴い、パソコンやスマートフォンを使用して医師の紹介や、問診から薬の配達までを行える様々なIT医療サービスが登場し、インドの医療環境が大きく変化したのをご存じでしょうか?
この記事では、巨大市場インドで先進国に負けないような医療サービスを提供するモバイルアプリを紹介します。
【医師予約やオンライン診断までできる総合型医療サービス】
『DocsApp』 https://www.docsapp.in/
インドが直面する、病院・医師不足といった社会問題解決を目指し、インド工科大学の卒業生2人によって立ち上げられた企業が「Docs App」です。多言語国家インドで、英語を含めた8つの言語に対応しています。
登録されている医師は内科、外科、小児科、産婦人科、歯科など18科。5000人を超す専門医が登録されており、365日24時間体制で患者をサポート。また、受診要請をしてから30分以内に診断を受けられる、オンライン医療診断サービスを提供していることも多くのユーザーの支持を集めています。
問診から診察・処方箋の発行・薬の送付など、通常の病院内で行われる全ての事がアプリ1つで完結します。採血などが必要な場合は、自宅に採血キットを手配し、自分で採血し検査結果はアプリ内見れるという。診療時間が約30分前後で済ませられるため、時間の節約にもなる上、1回の診察にかかる料金は2$前後と安く、クレジットカード、スマホ決済アプリで完結。薬もアプリ上からオーダーすれば、都市部は当日、田舎でもほぼ翌日中に届けられます。
問診内容は全てAIによって処理され、この問診の時点で60~70%程の病気は判明するといいます。
現在では1日7000人以上がこのサービスを使って受診し、治療を受けており、2018年からは年間のサブスクリプション契約サービスの提供も開始され、法人契約なども増加しています。既述のようにAIを活用しているため、今後も利用者が増えれば増えるほどデータサンプルが増え、診察の精度は上がっていくでしょう。
『Practo』 https://www.practo.com/
2008年に医師向けサービスから始まった「Practo」は、現在「医師検索・予約サービス・医療情報サービス」を展開しています。創業者の1人であるShashank ND氏は、父親の膝の手術にあたり、米国の医師にセカンドオピニオンを求めた際、紙のカルテに記載されたすべての情報を写真で撮影し米国に送信するなど、非常に時間と手間を要しました。さらに医者に関する情報が少なく、執刀医の選択肢も限られていました。この経験をもとに、インドの医療の現状を変えようと、友人のAbhinav Lal氏と2人で在学中にPractoを立ち上げました。
プラットフォームの基本機能としてPractoのユーザーは、「医師の検索」や「医師から提供された医療情報の入手」「Q&A機能を使用して簡単なアドバイスなどを受ける」「診療予約」などを利用する事が出来ます。「医師の検索」では、一般診療から歯科、産婦人科など11科。周辺の病院を検索~予約までを行う事が出来ます。
同プラットフォームはインド国内はもちろん、フィリピン、インドネシア、シンガポール、ブラジルなどでも利用され、グローバルサービスとして認知されています。現在は中国のWechatなどを提供するTencentと連携して市場拡大を図っています。またPractoは、患者側へのサービス提供以外にも、診療データ管理用のソフトウェアを医療施設に向けて販売しており、同ソフトウェアは世界中15か国以上で利用されています。
【自宅にいながら豊富な商品をセレクトできるオンラインドラッグストア】
『Netmeds』https://www.netmeds.com/
南インドの東側チェンナイを拠点とし、質の高い医薬品を調剤しているオンラインドラッグストアの「Netmeds」は、800以上の都市でサービスを展開しています。Netmedsを利用すれば、地方の農村部であっても簡単な操作で薬を注文し、自宅まで届けてもらうことができます。
何といっても取り扱っている薬の種類が豊富で、各疾患の先発薬はもちろん、ジェネリックまで幅広い商品群の中から購入が可能です。さらには、処方箋を必要としないビタミン剤、ダイエット・フィットネスサプリメント、ハーブ製品、ベビー・マザーケア製品、ビューティーケア製品まで取り扱っている他、慢性疾患の患者のための定期購入の通知機能があるなど、ユーザーの使いやすさを追及しています。また、セールなども随時行われており、お得に薬を購入できるのも人気の理由です。
まとめ
先進国と違い、整った医療環境が身近ではないインドは、病院施設そのもののインフラが整う前に、テクノロジーを駆使したはるかに前進したサービスが広がってきています。消費者と医療従事者、双方の抱える問題を解決するようなサービスが生まれ、インドの医療産業は大きな分岐点に立っているといえるのではないでしょうか。
また、巨大なマーケットから感じられるポテンシャルの高さは世界屈指と言えるでしょう。医療・ヘルスケア業界をはじめ巨大なインドマーケットに日本企業が進出するためには、デジタルマーケティングが不可欠です。そのなかでも、インド現地の感性・好みを踏まえた英語ウェブサイトを制作することは全てのスタートといえるかもしれません。英語ウェブサイト制作をご検討でしたら、インフォキュービック・ジャパンに是非お声掛けください!
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。