中国で人気検索エンジン「Baidu(バイドゥ)」とは?
~特徴・広告の種類・マーケティング活用を解説!~
中国の人気検索エンジン「Baidu(バイドゥ)」とは?
~特徴・広告の種類・マーケティング活用を解説!~
中国検索エンジン市場でトップシェアをもつBaidu(百度/バイドゥ)は、2006年に日本支社Baidu Japanを設立しました。日本企業は Baidu Japan を通じて中国法人がなくとも、中国語圏向けのリスティング広告、アドネットワーク広告といったインターネット広告による中国向けプロモーションができるようになりました。
2023年に入り、規制緩和により訪日中国人観光客は徐々に増加いることに加え、2023年8月には約3年半ぶりに団体旅行が解禁したことで、今後、中国人観光客の急激な増加が見込まれています。このような状況の中で、今後、中国人に向けたプロモーションをご検討されている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事は、国内唯一5年連続、Baidu 優秀代理店に選出されたこともあるインフォキュービック・ジャパンが中国のインターネット事情とともに、プロモーションには絶対に欠かせないBaiduの基本からプロモーション活用できる「Baidu広告」について、詳しくご紹介していきます。
目次
- 中国のインターネット事情
- 中国人気の検索エンジン「Baidu(バイドゥ)」とは?
- Baiduの主力サービス
- Baidu × デジタルマーケティング
- Baiduで出稿できる広告種類とは?
- Baidu広告アカウントを開設するには?
- さいごに
中国のインターネット事情
Baidu の概要に入る前に、理解しておきたいのが「中国のインターネット事情」です。
日本で「検索エンジンとは?」と聞かれるとGoogleやYahooと答える方が多いかと思いますが、中国では、全く事情が異なっています。中国では、中国政府が実施する「グレートファイアウォール」というネット検閲システムによって、中国国内から海外ネットワークに安易に接続する事は出来ません。そのため、中国国内からはGoogleやYahoo、FacebookやInstagramといった、世界中で広く利用されている検索エンジンやSNSを利用することはできないため、独自のデジタル市場が形成されていいます。
中国人気の検索エンジン「Baidu/百度(バイドゥ)」とは?
独自のインターネット事情が形成されている中国で、2000年1月にRobin Li 氏とEric Xu 氏によって設立された「Baidu」は、中国版Googleと言われるほど中国の検索エンジン市場において、確固たる地位を築いてきました。近年では検索エンジンサービスだけでなく、金融テクノロジー、人工知能(AI)や自動運転など、検索サービス以外のさまざまな分野に注力しているグローバル企業です。
2005年からはナスダックに上場、2021年には 香港証券取引所 (SEHK)にも上場しています。 2007年12月からBaiduは中国企業として初めてNASDAQ-100指数に採用されており、世界的な市場での存在感を示しています。
検索エンジンとしてのBaiduは、2023年6月の時点でBaiduの月間ユーザーは6億7,700万人、1日の平均100億回以上検索されるなど、中国検索エンジン市場では不動の地位を築いています。さらに、Baiduには DU Groupと呼ばれるグローバルビジネスユニットもあり、世界中の20億人を超えるアクティブユーザーにさまざまなサービスを提供しています。
つまり「Baidu」は、中国を代表する検索エンジンであり、世界最大のテクノロジー企業の1つなのです。
Baiduの主力サービス
先述したように、Baidu は検索エンジンだけでなく、さまざまなインターネットサービスを展開しています。現在、Baiduは「モバイルエコシステム・AIクラウド・自動運転及びその他」の3つの分類に注力しており、さまざまな分野でビジネスの成長を強化していることが伺えます。
ここでは、その一部をご紹介します。
- Baidu Image Search:画像検索エンジン
- Baidu Video Search:動画検索エンジン
- Baidu Games:ゲームに関するコンテンツを検索
- Baidu Wiki (百度百科):オンライン百科事典
- Baidu Post (百度贴吧):オンラインソーシャルメディア
- Baijiahao (百家号):画像・記事共有メディアネットワーク
- Baidu News (百度新闻) :国内・国際ニュース
- Baidu Zhidao (百度知道):Q&A形式データベース
- Baidu Space (百度空间):ソーシャルスペース
- Haokan (好看):ショート動画プラットフォーム
- iQIYI:動画サイト
- Baidu Bookmarks:ソーシャルブックマークサービス
- Baidu Library:オープンソース書籍プラットフォーム
- Baidu Antivirus:ウイルス対策システム
- Baidu Wangpan:クラウドシステム
- ERNIE:会話型AI
- Apollo (阿波罗):自動運転プロジェクト
- Jidu Auto:電気自動車
- Xiaodu:スマートディスプレイ
- Baidu Health (百度健康):オンライン診療
- Baidu Maps(百度地图):中国国内の地図システム
- Baidu Duer:仮想アシスタント
Baidu × デジタルマーケティング
Baiduをマーケティング戦略として利用する際には、「検索順位を上げるためのSEO対策と、Baidu上で表示できる各種デジタル広告」を利用することが重要です。
検索順位を上げるためのSEO対策に関しては、頻繁に更新を繰り返しウェブページの鮮度を保持することや、オリジナル単語を含めること、webサイトの表示速度を上げることなど、Googleとは異なるSEO対策が重要になります。もちろん、独自のアルゴリズム、設定、ユーザー行動を深く理解する必要があります。また、検閲方針によって検索結果の閲覧が行われているため、政治的にデリケートな情報や有害と思われる情報にも配慮する必要があります。
各種デジタル広告は、主にBaiduTuiguang(Baidu Phoenix Nest)、Baidu Pay For Placement (P4P)など、Baidu独自の管理プラットフォームを通じて広告出稿を行います。これは、中国版Google Adwordsまたは、AdSenseと同様の広告管理プラットフォームです。Baiduではリスティング広告、アドネットワーク広告、インフィード広告、ブランドリンク広告など、さまざまなデジタル広告をマーケティングに活用することができます。
Baidu広告はGoogle広告などと同じように、うまく活用できれば大きな成果が望めますが良い成果を出すためにはGoogleの広告出稿とは異なる桁の金額が必要となります。そのため、戦略を持たずにただ掲載を代理店に依頼するだけでは、お金の垂れ流しになってしまうことも十分考えられます。中国向けマーケティング施策に取り組む際は、中国マーケティングに精通する代理店を利用することを強くお勧めします。
「Baidu」で出稿できる広告種類とは?
Baiduをマーケティング戦略として利用する際には、検索順位を上げるためのSEOと、デジタル広告の利用が重要です。さて、ここから本題ですがBaiduには用途に応じて主に下記のような広告メニューがあります。
- リスティング広告
- アドネットワーク広告
- インフィード広告
- ブランドリンク広告
それぞれの広告にはどんな特徴があるのか見ていきましょう。
1.リスティング広告
まずは恐らく皆さんが一番よくご存じである「リスティング広告」からご紹介します。
Baiduのリスティング広告もGoogleリスティング広告と同様に「索連動型検索広告」で、ユーザーの検索結果に企業広告などを掲載できる検索型広告です。
Baidu のリスティング広告を活用する企業は、キーワードの調査、広告の関連性、魅力的な広告コピー、効果的なランディングページの最適化に重点を置く必要があります。それに加え、管理画面はなかなか複雑で、中国人運用者であってっもインタフェースに慣れるまで時間がかかります。
Baiduリスティング広告の主な特徴としては、以下の通りです。
- コピーライティングは2行(広告の配置によっては1行だけ表示されることもある
- 検索結果上位に最大5つ広告枠
- 有料広告と自然検索結果の区別がつきにくい
- 広告キーワードの価格は変動する可能性あり
中国では、西洋諸国と比べて、有料検索に対する信頼度は高い傾向があると言われています。実際の検索結果は上記画像の赤枠の中に検索広告が表示されます。入稿規定はタイトルが半角9~50文字、説明文①は半角9~80文字、説明文②も半角9~80文字です。
日本と中国の検索習慣の違い
中国の検索習慣は日本とは大きく異なるため、中国語と中国文化を深く理解しておく必要があります。例えば、「鶏の足」を中国語に直訳すると「鸡脚」ですが、ほとんどの中国人は「凤爪」と検索するため検索ボリュームも2倍近く異なります。また、キーワードを掛け合わせての検索より、単一キーワードでの検索のほうがよく使われています。
Baiduリスティング広告で成果を出すためには、このような中国独自の検索習慣を理解して広告運用を行う必要があります。
マッチタイプ
BaiduではGoogleとは異なり5つのマッチタイプがあります。完全一致に関しては、Googleと同様ですが、部分一致に関しては大きな違いがあるため、「部分一致(完全を含む)」をおススメしています。キーワードが少なすぎたり、検索数が少ないキーワードだと広告の表示回数が少なすぎてしまうこともありますのでご注意下さい。
2.アドネットワーク広告
Baiduアドネットワーク広告は「百意(BaiYi)」プラットフォームを使用することで、Baiduと提携した60万以上のサードパーティWebサイトやモバイルアプリ、ソフトウェアプロバイダーにディスプレイ広告やリマーケティング広告などを配信することができるDSP広告です。
性別や年齢、興味関心、キーワード、デバイスの種類などに基づいたターゲティングが可能となり、幅広いリーチを可能にします。
Baidu BaiYiの管理画面
可能なターゲティング設定
アドネットワーク広告では、ユーザーの行動(検索、興味、アプリダウンロード履歴)や位置情報など多彩なターゲティングを組み合わせることが可能です。
- 検索行動分析:検索キーワード履歴、ユーザーニーズ
- 使用情報履歴:サイトの訪問履歴、入力した文字、使用したソフトウェア
- 位置情報の記録:現在地、過去の行動履歴、頻繁に訪れる場所、特定の場所の滞在時間
- 行為情報記録:インストールしたアプリ、使用した時間、接触した広告、クリックした広告
例えば、下の図の様に「日本旅行」「日本自由旅行」「東京自由旅行」のキーワードを追加することにより、この「三つのキーワードを検索したことのあるユーザーに対する広告配信」が可能となり、より精度の高い広告配信を行うことができます。
Baiduには、「変更履歴の確認機能」や「ランディングページスコアの計測機能」など、さまざまな「運用支援ツール」が用意されており、配信状況に応じての調整がより簡単でかつ便利に行えるようになっています。
③インフィード広告
Baiduインフィード広告は、Baiduの公式アプリである以下4つのモバイルアプリなどで広告配信が可能です。1日に1億2,000万人以上が閲覧するため、認知拡大の向上が期待できる広告です。
- 「手机百度(Baidu Mobile)」Baiduモバイルアプリ 60億PV/Day
- 「百度小说(Baidu Xiaoshuo) 」Baidu小説アプリ
- 「百度贴吧(Baidu Fans)」 掲示板アプリ 35億PV/Day
- 「百度浏览器(Baidu Browser)」モバイルブラウザ 1.3億/Month
特にこれらのアプリは中国国内でも利用ユーザー数が非常に多く、広告のインプレッション回数を増やし、認知拡大を目的とした利用であれば非常におすすめです。
特に「手机百度(Baidu Mobile)」はBaidu検索のモバイルアプリで、上記4つのアプリと比較すると、ウェブのアクセス数では1日平均が60億回、1日のアクティブユーザーは1.2億人と、非常に多くのユーザーに利用されておりインプレッション回数を増やす効果が期待できます。
インフィード広告は「動画形式」の広告も出稿可能です。また、ユーザーのフィルタリング方法として、「ユーザーが過去に検索したことのあるキーワード」というターゲティング設定を追加することもでき、広告と配信先ユーザーとの関連性を高めることができます。この様な機能を活用することで、広告の内容に興味度の高いユーザーに効率的に広告配信することが可能となり、結果広告をクリックする確率も高くなることが予想されます。
④ブランドリンク広告
指定した自社の企業名、ブランド名、サービス名などを、ユーザーがBaiduで検索した際に連動して表示される「期間保証型の検索広告」です。広告はテキスト、画像、動画などの広告素材を活用して、PC・WAP・アプリのBaidu検索結果画面のトップに表示されます。
ブランドリンク広告では、自社のブランド名で検索したユーザーの検索画面内に画像や動画広告を独占表示することができるため、より効果的に自社のブランド認知向上や獲得系CV(売上、申込)の効果が高いため、中国EC企業などはブランドリンク広告を積極的に活用しています。他社にリスティングでキーワードを購入されていた場合であっても、ブランドリンク広告を出稿していれば競合他社の広告を押し下げて広告表示することができるため、より訴求力の高い場所に広告配信をすることが出来ます。平均CTRは40%程度もあり「誘導効果」も高い広告配信となります。
上記図は、ブランドリンク広告によってどのような効果があるかヒートマップなどにより可視化した一例のデータです。ユーザーのクリックはブランドリンク広告のエリアに集中しており、検索結果1ページ目の滞在時間は約3倍に拡張することがわかっています。このことからも効果の高い広告施策の1つと言えるでしょう。
Baidu広告アカウントを開設するには?
Baiduの広告アカウントを開設するには、中国に現地法人がなくとも広告を配信することが可能です。ただし、広告からの遷移先は中国語である必要があります。また、広告アカウントを開設するためには、法的な書類をBaiduに提出し審査を受ける必要があります。
- 掲載可否の審査
- 必要書類の送付
- 代理店経由の申込
通常アカウントが承認されるまで10~14営業日ほどかかる場合があります。審査手順は厳格であり、最低予算金額の規定が設けられています。Baiduの書類審査が承認されると、電子メールが届きます。
アカウントの準備ができたら、早速キャンペーンを開始することができます!
さいごに
中国の検索エンジンは独特の進化を遂げており、中国市場をターゲットにする際は、中国に適したマーケティング戦略を練る必要があります。中国には各産業で「世界が注目する巨大市場」が広がっています。その可能性は無限大。
インフォキュービック・ジャパンでは、さまざまなアイデアを駆使して、貴社にしかできないマーケティング施策をご提案します。
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。