韓国独自の検索エンジン「Daum」とは?
~特徴や機能・NAVERとの違いなどを解説!~
日本ではあまり馴染みのない「Daum」ですが、韓国ではNAVERと共に誰もが知っている検索エンジンの1つです。現在のDaumは韓国で最も人気の高いSNSの1つ「カカオトーク」に吸収されていますが、韓国市場を攻略するうえで知っておきたいデジタルプラットフォームです。
今回は、韓国独自の検索エンジン「Daum」の特徴や機能・NAVERとの違いなどについて詳しくご紹介していきます!
目次
韓国独自の検索エンジン「Daum」とは?
Daumは韓国独自の検索エンジンで、韓国人でインターネットを使っている人であれば、誰でも知っている有名な検索エンジンの1つです。韓国国内の5,000万(MAU)のウェブサイト行動データを分析している INTERNET TREND の調査によると、2023年4月時点の検索エンジン市場シェアはNAVER、Googleに次いで3番目に人気の高い検索エンジンです。
Daumの歴史は古く、1995年にダウム・コミュニケーションズが設立され、1997年から韓国初の無料ウェブメールである「ハンメール(hanmail)」サービスを開始。2000年には検索サービスが開始しされ、オンラインコミュニティサービスの「カフェ」やニュースサービスの「ニュース」などを次々にリリース。韓国のインターネットポータル企業として成長しました。当初の運営会社であるDaumコミュニケーションは、2014年10月に株式会社カカオと合併し「株式会社 ダウムカカオ(Daum Kakao Corp.)」へと社名を変更。2015年10月には株式会社カカオ(Kakao Corp.)に変更して現在のDaumに至ります。
株式会社カカオは韓国で人気のメッセンジャーアプリである「カカオトーク」の運営会社であり、この併合によりDaumの主力広告である「検索広告・ブランド検索広告・ディスプレイ広告」と併せて、”カカオトーク”へ広告を出稿することができるようになりました。
それでは、Daumの機能についてご紹介します。
「Daum」の機能・特徴とは?
では、実際のDaumとはどのような機能・特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
検索サービス
Daumでは2000年に検索サービスを開始し、カフェ、ニュース、動画検索を中心に韓国検索市場でシェアを拡大しました。2003年3月にGoogle(ウェブドキュメント検索)と提携を結び、検索機能を強化しましたが、2009年5月に契約は終了し、現在ではユーザーの検索意図に最適化された独自の検索アルゴリズムによって検索結果を提供しています。
2014年にはメッセンジャーアプリで韓国シェアの90%近くを誇る「カカオトーク」と連携し、トーク内の「#検索機能」に検索結果が表示されるようになりました。「#検索機能」とはカカオトークでのトーク中に調べ物をしたい時、トークルームのテキスト入力欄の横にある「#」を押して言葉を入力すると、「Daum」の検索結果が表示され、検索結果をトークルームに共有することもできる便利な機能のことです。
Daum自体の検索エンジンシェアはあまり高くありませんが、Daumにデジタル広告を出稿する際には、韓国で圧倒的人気を誇るカカオトークのユーザーに向けた広告配信を行うことができるため、Daumへの広告配信は魅力的なデジタル施策の1つとなっています。
<参照元:Kakao>
Daumメール
Daumの無料メールサービスです。1997年5月に韓国初の無料ウェブメールサービスをスタートし、一世を風靡しました。2000年代初頭はシェア率が70%に達し、当時「ウェブメール=ハンメール」と言われるほど高い人気を誇りました。
「ハンメール(hanmail)」という名前は「韓国を代表するeメール」という意味で、2011年5月からはブランド統一の一環として「Daumメール」として運営しています。
Daumブログ(Tistory)
Daumで運営しているサービス型ブログ「Daumブログ」は、韓国で高い人気を誇っていましたが、NAVERブログが登場してからは、「ブログ= NAVERブログ」という認識が定着し、Daumブログ単体のシェア率が低下していきました。そのため、2022年9月30日をもってDaumブログはサービスを終了し、Tistoryという新たなブログサービスがスタートしています。
Tistoryは、MySQL、PHPなどに適応するのが難しい一般ユーザーをターゲットに開発されており、プラグインを使ってブログや雑誌スタイルの魅力的なWeb サイトを簡単に構築することができます。2022年「Tistory.com」は、韓国でもっともアクセスが多いサイトに選ばれています。(検索エンジンを除く)
Daum・カカオブランチ
Daum・カカオブランチのサービスは、Daumから自分の執筆した文章が投稿できる「執筆活動」のためのプラットフォームを提供しています。活動しているユーザーは一般人からプロの作家、マスコミやメディア記者、芸能人などさまざまなユーザーがサービスを利用しています。
韓国ブログサービスである「NAVERブログ・Tistory」にも似たサービスではありますが、ブランチに作品を投稿するためには、作家登録のための「審査」を受ける必要があります。人気のサービスではありますが、比較的に閉鎖的なプラットフォームのため企業のマーケティングにはおすすめしていません。
Daum Cafe(ダウム カフェ)
Daumカフェは、1999年からサービスを提供しているオンラインコミュニティサービスです。Daumカフェでは、同じ興味関心を持つ人々が集まり、コミュニティ(カフェ)を作成し、情報を共有・交流する場として多くのユーザーに利用されている人気のサービスの1つです。
ユーザーは自分の興味のあるDaumカフェに参加することで、カフェ内のユーザー同士でコメントやチャットなどを通してコミュニケーションを図ります。以前、韓国では「カフェといえばDaum」と言われるほど絶大な人気を誇りましたが、「NAVERカフェ」の登場により利用率が減少傾向にありました。しかし、実は近年またDaumカフェに再び「熱いブーム」がやってきました。
その理由は、なんと!「韓流ブーム」。
最近では、アイドルや俳優の運営会社などがファンとの交流の場として、Daumカフェ上に「ファンカフェ(팬카페)」を開設して、プラットフォーム上にファンに向けたメッセージなどを書き込んだり、特別なコンテンツや告知などを投稿するなどして「交流できるファンクラブ」としてコミュニティ構築に活用しています。
芸能人や俳優などの交流・情報交換のためのカフェは「ファンカフェ」と呼ばれ、ファンカフェは芸能事務所などが公式に運営している場合がほとんどです。実際、韓国で活躍する多くの芸能人の公式のファンカフェが存在し、韓流ブームの影響で世界中のファンからのアクセスや加入が増加しています。Daumカフェの登録や利用に料金はかからず、外国人でも登録することができるため韓国以外からのアクセスも多くなっています。
<参照元:Daum cafe(팬카페)>
ファンが芸能人を応援する目的で開設されるファンカフェも多く存在しています。公開された芸能人のカフェの中から最もアクティブなカフェが選定され、「公式ファンカフェ(ペンカフェ)」に選ばれると「公式エンブレム・検索表示・応援ウィジェット」などの特典が与えられるため、ファンは自分が応援する人物のカフェのランクを上げるため、積極的にカフェに参加しています。世界的な韓流ブームにより「Daumカフェ」は再び活気を取り戻しているのが現状です。
それではDaumカフェとよく比べられるNAVERカフェとの違いについて見てみましょう。
Daumカフェ vs NAVERカフェ
ここでは、DaumカフェとNAVERカフェとの違いを見ていきましょう。
Daumカフェは公開設定を行うことができ、完全な匿名性が保証されています。Daumカフェは加入時に指定したニックネームだけを表示させ利用することができます。一方、NAVERはカフェ毎にニックネームを設定しても、IDが分かる仕組みになっていて、ID・最終アクセス日・年齢公開における選択権限は管理者であってもありません。
Daumカフェの場合、やはり人気のファンカフェ(ペンカフェ)や一般コミュニティが多いという特徴があります。NAVERカフェの場合は、地域コミュニティやゲームコミュニティが多い傾向です。
Daumカフェはオンライン上でカフェサービスをいち早く導入しただけに、ユーザーの年齢層が高い傾向があります。中高年が中心となっているカフェなども活発に活動しています。それに対してNAVERカフェは、NAVERブログとの併用するユーザーが多く、若い世代が中心に活動しているという特徴があります。
Daumカフェではカカオアカウントとの連携が可能で、カカオアカウントで取得・保有したスタンプやコメントはDaumカフェ内で利用できるなどアプリ連携が進んでいます。一方NAVERカフェでは、スタンプ押しは可能なものの子会社であるLINEスタンプなどの使用は出来ません。
NAVERがカフェサービスを始めた当初Daumカフェにはまだカフェ内での検索機能がなく、掲示板にコメントをつける機能も2002年になってようやく可能になりました。(現在はカフェ内の投稿検索も可能)。
POINT
✓ Daumカフェは匿名性を保証
✓ 機能面ではNAVERカフェに軍配が上がる
「Daumカカオ検索広告」とは?
検索エンジンであるDaum内に検索広告を配信することが可能です。
先述しましたがDaumの検索広告では、Daumと同じ検索エンジンを使用しているNateの「PC/モバイル検索画面」や、カカオトークと提携しているWebニュースやDaumカフェ、動画視聴プラットフォーム AfricaTV にもデジタル広告を配信することができます。
これらの広告では「ユーザーが検索したキーワード・コンテンツ履歴・コンテンツと広告の関連性」に基づいて表示されることと、「クリックが発生した場合のみ費用が請求されること」から目的と合致している場合、費用対効果の高い広告施策と言えるでしょう。検索広告は表示されるエリア別に大きく「プリミアムリンク・ワイドリンク・スペシャルリンク/スポンサーボックス」の3種類に分けられます。
Daumで利用できる3つの検索広告
プリミアムリンク
NAVERの「パワーリンク」と同じく検索結果画面の最上位に表示される広告で、検索結果には最大で10個の広告が表示されます。
<参照元: Daum>
ワイドリンク
需要の高い一部のキーワードに限り、検索結果ページのスペシャルリンクの下に広告が表示されます。検索結果には最大で5つの広告が表示されます。
<参照元: Daum>
スペシャルリンク/ スポンサーボックス
スペシャルリンク/ スポンサーボックスはCPCではなく、掲載期間によって課金される方式を採用しています。基本的には1か月単位での購入が必要となります。サムネイルイメージやテキスト広告を一緒に表示でき、視認性が高いのが特徴です。
<参照元:Daum>
POINT
Daumを活用したデジタルマーケティングでは、誰でも簡単にDaumの検索トレンドが調査できる「カカオデータトレンド」を活用することで、Daumの検索トレンドを「期間・デバイス・年齢・地域別」で把握することができます!韓国マーケティングを実施する際は、是非、活用してみてください。
さいごに
NAVERに比べると日本ではあまり知られていないDaumですが、韓国では無料メールサービスを最初に導入したり、カカオトークと連携したりと現在もサービスの幅を広げつつあります。
韓国マーケティングにおいては、DaumやNaverなどの検索エンジンを効果的に活用することで、多くの韓国人ユーザーにアプローチすることができるでしょう。韓国に向けたリスティング広告などを活用した韓国マーケティングにご興味がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。