タイの最新デジタルトレンド
~独自に発達するインターネット・SNS事情~
タイでは近年インターネット利用率が急増しています。その背景として、タイ政府がデジタル大国を目指し推進している「THAILAND4.0」という施策があります。この「THAILAND4.0」はデジタル技術の導入、産業構造の高度化を目標とした政府が推進する長期国家戦略であり、国を挙げて「デジタル大国」を目指しています。
環境の整備が整うとともに、比較的料金の安いモバイルからのアクセスが大幅に増加していて、「携帯電話は1人2台持ち!」そんなタイ独自の傾向も多く見受けられます。そして、多くのタイのネットユーザーの90%以上がソーシャルメディアを利用していて、日本とは違ったタイ人独自の検索方法などが存在しています。
今回は、そんなインターネットデジタル先進国のタイにおける独自の最新のインターネット事情と、独自の検索傾向、日本では珍しい「タイあるある!」なソーシャルメディアの使い方をご紹介します。
目次
- 1.タイのインターネット利用状況
- 2.タイのソーシャルメディア利用状況
- 3.タイの検索キーワード傾向とは?
- 4.「タイ語×英語」いつ使う?
- 5.タイで「広告出稿に適したキーワード」は?
- 6.「タイ人あるある」独自のSNSの使い方
- 7.さいごに
タイのインターネット利用状況、2022
2022年、2月時点でタイのインターネットユーザーは2021年と比較して+0.2%増加し、5,450万人に達しました。現在のタイの総人口が7,001万人(2022.01時点)で、2028年までに7040万人まで人口は増加すると予測されています。
タイで最も利用されている検索エンジンは以下の通りです。
- Google:98.37%
- Bing:0.65%
- Yahoo!:0.59%
- Yandex:0.29%
- Baidu:0.01%
はやり、タイでも圧倒的にGoogleが利用されています。
では、続いてソーシャルメディアの利用状況をみていきましょう。
タイのソーシャルメディア利用状況、2022
2022年、タイの人口が7000万に対して、ソーシャルメディアユーザー数は前年比+3.4%増加して5685万人に到達しています。
2022年、タイで人気のソーシャルメディアは以下の通りでした
- Facebook 93.3%
- LINE 92.8%
- FB Messenger 84.7%
- TikTok 79.6%
- Instagram 68.7%
※YouTubeは除外
※「16~64歳までのインターネットユーザーが1か月で利用するプラットフォームは?」‐ We are Social 2022 / Data Reportal
タイで最も人気なSNSは「Facebook」で、総ユーザー数は5,005万人です。最も人気の動画プラットフォームは「YouTube」。総ユーザー数は4,280万人を突破しています。そして、LINEも人気で、総ユーザー数は4,600万アカウントを超えています。
そして、SNSの使い方も日本とは違う、タイ独自の使い方が存在します。
タイの検索キーワード傾向とは?
タイでよく使われる「Google」。Googleは毎年各国で急上昇ワードを発表しています。2021年、タイ人は何を検索していたでしょうか?タイの急上昇ワードを見てみましょう。
- เราชนะ(政府支援コロナ給付金プログラム名)
- คนละครึ่ง(政府支援コロナ給付金プログラム名)
- Popcat:(世界で人気になった猫のクリックゲーム)
- วัคซีนโควิด(ワクチン)
- Secondary Grading System(タイの教育評価システム名)
- ม.33 เรารักกัน(コロナ支援策:低金利の個人ローンプログラム名)
- โควิดวันนี้(「今日のCOVID」)
- อาการโควิด(「COVID症状」)
- กระเช้าสีดา(タイのドラマ名)
- ลอยกระทงออนไลน์(タイの灯篭流しの祭り「ローイクラトン」がオンラインでできるサービス名)
2021年は、コロナ関連の検索ワードが急上昇しました。コロナ発生以前の2019年の検索ワードは、「ドラマ関連」が圧倒的に多い傾向にありました。もともとタイ人はドラマやニュースなどへのが圧倒的に高く、ニュース・政治・テクノロジーへの興味関心も高いという傾向がありました。
ちなみに、2021年日本の急上昇ワードはこちら
- 東京2020オリンピック
- 大谷翔平
- 東京リベンジャー ズ
- モンスターハンターライズ
- 呪術廻戦
- ウマ娘 プリティーダービー
- 新型コロナウイルスワクチン
- 小松菜奈
- 夏目三久
- 小山田圭吾
同じコロナ禍であったにも関わらず、タイと全然違いますね。
2021年にタイで検索されたキーワードのほとんどが「タイ語」での検索でしたが、過去の傾向として、一部の検索キーワードには「タイ語と英語をまぜた検索」が目立ちました。これはタイ人がキーワード検索する際の独自の特徴の一つです。
「タイ語×英語」いつ使う?
タイ語を使った検索:一般的な単語や質問をするとき
例:旅行・宿泊・靴・服・車・歯ブラシなどの「単語」
「いくら・いつ・どうやって・とは」などの「質問」
英語を使った検索:海外の固有名詞、 地名、専門用語を検索するとき
例:秋葉原・池袋・城崎温泉・箱根
しかし、既にタイ人に定着している単語(例:着物・蕎麦・うどん・富士・東京・北海道などの)に関しては、元々は日本語であってもタイ語で検索するのが一般的です。
では、タイ語と英語の組み合わせ検索が一般的なタイで、SEMの視点でどのようなキーワードで出稿すればよいのでしょうか?
タイで「広告出稿に適したキーワード」は?
広告出稿の目標にもよりますが、「タイ語」のキーワードは検索ボリュームの母数が多いですが、パフォーマンスがあまり良くない傾向にあります。そして逆に、「英語」はボリュームは少ないがパフォーマンスは良い傾向にあります。また、「タイ語と英語」の掛け合わせは、パフォーマンスは英語とタイ語の中間ぐらいになる傾向にあります。つまり、狙いは★の部分!
※あくまでもこれは傾向になりますので、実際にキーワードを出稿する際には狙うキーワードによって大きく異なる場合もありますのでご注意下さい。
「タイ人あるある」独自のSNSの使い方とは?
タイ人あるある「Facebook」の使い方
Facebookは現在タイ人に欠かせないソーシャルメディアの一つです。前述したようにタイにおけるFacebookユーザーは2022年、5,005万人を超えており、最も人気のあるソーシャルメディアの1つとして、日常的にFacebookが利用されています。(タイでは、Facebookの利用が13歳以上に制限されています。)
タイ人の独特なFacebookの使い方については、大きく2つあります。
1つ目は、FB Messengerを活用して顧客やビジネスパートナーとコミュニケーションをとることが一般的になっています。会社への問い合わせや、顧客への返答に使用するため、FB Messengerの人気が高まりダウンロードをする人が増えました。事実、タイでは世界平均の3倍以上もメッセージ投稿が行われています。これはユーザー⇔企業といったB2C企業に限ったことではなく、B2B企業であってもこのような使い方をしています。
2つ目は、FacebookのLive機能でリアルタイムにモノを販売することです。実際にこの機能を使って商品を売ることで無名だった人が有名人になり、人生が変わったとう事例もあります。また、近年では中小企業が積極的にFacebookを活用する傾向がみられています。Facebookを利用してブランドを宣伝、顧客ベースを増やし、eコマースプラットフォームとして使用する傾向が強くなっています。
タイ人あるある「YouTube」の使い方
タイでもYouTubeの人気は非常に高く、ユーザー数は4,280万人を超えています。YouTube広告でリーチできるユーザーは人口の61.1%にあたります。YouTubeを利用するユーザーの多くは「何かを視聴する」のではなく音楽を聴くために利用することが多い傾向にあります。YouTubeのインサイトデータでは2017年から2018年までの統計を示しており、タイ人がよく聴く音楽ジャンルは「タイの演歌」という結果でした。
タイ人あるある「LINE」の使い方
LINEの主な使い方と言えば個人用の連絡手段ではないでしょうか?日本では「友達、友人、知り合いの連絡を取ることに使う」が一般的だと思います。しかし、タイではビジネスでの連絡手段として、そしてメールのように問い合わせの手段の一つとして使われています。
例:「転職会社や企業は、面接をLINEのテレビ電話機能を使って行う」、「LINEでグループを作成し、入金後そのグループに招待されてサービスを受ける」(専門的な講座を受けられるオンライン学習、漫画や小説などを読めるエンタメサービス)ちなみにオンラインサービスの提供はFacebookでも一般的になっています。
タイ人あるある「Instagram」の使い方
タイのInstagramの利用者は1850万人でした。そのうちInstagram広告でリーチできるユーザーは人口の26.4%にあたります。Facebook同様、Instagramも年齢制限が設けられており、13歳以上でないと利用できません。
Instagramは日本でしばしば「インスタ」と略して呼ばれますが、タイでは「IG」と呼ばれています。タイ人はGoogle検索で「ig○○」と検索するのが一般的になっています。
※○○は名前(特に有名人)もしくはInstagramに関する機能名。タイでは不必要品などを、写真を撮ってInstagramに「これを売ります!」と投稿して商品を売買する、フリマアプリのような使い方をします。
いかに簡単に使えて、簡単にサービスを提供できるかを追求した結果、タイ人のソーシャルメディアでの個性的な使い方に繋がったようです。
さいごに
タイではソーシャルメディアの利用率がとても高く、タイへ進出する際は、ソーシャルメディアを活用した企業マーケティングは「必須」です。チャンスを逃さないためにもタイの最新情報をキャッチアップしておきましょう!
インフォキュービック・ジャパンでは、Facebook・LinkedInをはじめとする有力SNS媒体を用いたグローバルSNSマーケティングを得意にしております。日本からアジアに向けたデジタルマーケティングでお困りごとがございましたら、お気軽にお申し付けください。
アブドゥンロマン 紗利奈
株株式会社インフォキュービック・ジャパン Digital Marketing Team Consultant。タイと日本のハーフ。タイで育ち現地のプリンスオフソンクラー大学(Prince of Songkla University)で経営学部会計学科を学び、卒業後はタイの日系企業に就職。来日後、インフォキュービック・ジャパンに入社。趣味は園芸。