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2020年10月16日

“感情”に訴えかける「エモーション広告」
~海外ユーザーに響くクリエイティブとは?~

欧米を筆頭に加熱している動画マーケティングは、日本国内にも大きな影響を与え、今やもはや標準的で特別ではなくなってきています。そのため、今では動画や華やかなバナー等を作成するだけではユーザーにファンになってもらうことはできません。それに加えテレビのようなマスに向けた画一的なアプローチではもはや効果が出にくくなっている背景から、視聴者に感動を与えるような方法で、それらをパーソナライズする必要があります。競合から一歩抜きんでるには、「ターゲットオーディエンスと感情的に繋がれるかどうか」がクリエイティブを作成する際に最も重要なポイントの一つです。

情報量が多い現代社会において、常に様々な情報に晒されているなかで、ユーザーはダイレクトに「広告」と感じるものは、無意識に避ける傾向にあります。そんななか出てきた手法が「情緒的な内容で感動を与えたり、驚きによってユーザーの心を動かすコンテンツ」です。

今回は、マーケティング業界においてよく使われている感情の“トリガー”と、そのトリガーを使用した広告事例をいくつかご紹介していきます。

 

“感情”をトリガーに!人々を引き寄せる広告とは?

check Happiness(幸せ)

幸せを誘発する広告は、人々をポジティブな状態にし、ブランドをより身近に感じさせます。幸福を扱った事例としてコカ・コーラの広告をご紹介します。


<コカ・コーラ:ハピネスキャンペーン>

コカ・コーラは” Choose Happiness. What Are You Waiting For?”「待ってるのではなく、幸せを掴み取れ」をテーマとして、“Not only can you be happy, you should be happy, right now, and all you have to do is reach out and grab it. “「あなたは幸せになることができるし、今もすでに幸せであるはず。そして重要なことは幸せを自分で選んでつかみ取ることだ」

というメッセージを広告を通して伝えています。幸せな現状や、掴み取る幸せの傍にはコカ・コーラがいつもあるというような動画の構成になっており、視聴者の心に寄り添う温かい存在としてコカ・コーラが印象付けています。

 

check Sadness(悲しみ)

残念ながら、人生は必ずしも幸せな広告のみで解決できるとは限らないため、困難な状況にある顧客と、困難に関連する広告を関連付けて共感させることが重要です。


<Heads Up | Heads Together & The FA>

キャンペーンでは、メンタルヘルスに関する一般的な偏見と、それに苦しむ人々をサポートする方法について議論しています。45歳未満の男性の最も多い死因は自殺であり、男性は他人に助けを求めにくいという調査結果が発端で、悲しい事実とメンタルヘルスについての理解を男性に人気な“サッカー”を通して伝えています。

 

check Humor(ユーモア)

様々な人が様々な意見を言い合う場であるソーシャルメディアに対して、多くの人は否定的な感情を抱きがちです。こうした状況で人々に共通した“笑い”を提供することで、“親しみ”や“安心”という印象を与え、ブランドの存在感が高まる効果を期待します。


Zendesk | ‟I like it when he gives me the business>

米国のクラウド型カスタマーサービスプラットフォームを提供する「Zendesk」は、巧妙なストーリーテリングとユーモアのある動画で、顧客の感情を刺激し掴み、顧客とのより良い関係を構築することに成功しています。

企業と顧客の立場の声を老夫婦のインタビューに置き換え、それぞれの立場から「Zendesk」という企業がどのように素晴らしい企業であるかを伝えています。役者さんの演技もピカイチですが、設定・構成・ストーリーの伝え方も思わず「さすが!」と言ってしまう秀逸な動画です。

 

check Anger(怒り)

私たちは皆、”変えたい”や”変えなければならない”というような強い感情を何か特定の問題に対して抱いていると思います。この強い感情が、怒りに変わることもしばしば。この感情を捉えて行動を促すことが広告でできれば、その怒りをエンパワーメントに変える大きな効果を持つことができます。


<#LikeAGirl:女性のエンパワーメントキャンペーン>

P&G社「オールウェイズ」が企画したこのキャンペーン。

しばしば使われるフレーズ“You [throw/act/hit] LIKE A GIRL”(「女の子みたいに投げたり、走ったり、泳いだりしなさい」)をあえてキャンペーンに取り入れることで、若い女の子たちに“女の子みたいに”何かをすることを促されることに対して、彼女たちが「Like a girl」の先入観に囚われていることを浮き彫りにしました。

Like a girl(女の子みたいに)行動するのではなく、自分らしく行動することの重要性(女性のエンパワーメント)を伝えたこのキャンペーンは世界中で反響を得て数多くの賞を受賞しています。

 

check Fear(恐怖)

恐怖は、人々に企業のブランドや商品、そしてサービスを印象付けるのに大変効果的です。例えば、アルコール、薬物乱用、喫煙などの行動を止めさせたり、始めることを防止したりする際に有効です。


<WWF:気候変動の広告>

世界野生生物基金は、地球温暖化の有害な影響についての認識を高めるために、広告にインパクトの大きな画像を使用して、あえて”恐怖”の感情を刺激しています。気候変動を止めなければ、気候変動があなたの人生を変える可能性があるという恐怖を感じさせて印象付けています。

 

さいごに

感情を上手く使って人々に印象付ける広告をご紹介しました。多額予算を使用し多くの人に触れる広告を打ったからといって効果的であるとは限りません。伝えるメッセージを感情で強く結びつれられれば、シンプルなバナー広告や動画であっても、視聴者に大きな影響を与えることができるでしょう。

ブランドイメージと感情を結び付けて訴求する広告を、私たちと一緒に制作してみませんか?ぜひお気軽にご相談ください!

多言語リスティング広告_バナー

 

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。